王太子らしく格好良く、彼女を見つけて見せる!
シルヴィアに嫌われていたのではなかったと安堵した俺は彼女の捜索に加わろうとした。
「僕も捜しにいきます」
そして誰よりも先に彼女を保護するんだ。王城の中とは言え危険がない訳ではないし、広い場内で迷い心細く何処かで震えているかもしれない。そんな彼女を私が見つけて安心させてあげるんだ。そう思ったのに。
「お前が行ったところでお守りに着く騎士の仕事を増やすだけだ。大人しくしておれ」
「子供扱いはやめて下さい!僕だって、立派な王太子となったのに」
「まったく、気を抜けばすぐこれだ。そんな言葉使いの大人がどこにおる?所詮付け焼き刃、シルヴィア嬢もがっかりだろうな」
「な、、!」
「もう、あなた!」
俺を揶揄って遊ぶ父を母が嗜める。
「とにかく、今はシルヴィア嬢の安全が第一だ。いいか、十分に注意して捜索にあたるように」
「は!」
父は呼び出しに応じ参上した騎士団長に指示を出すとグレイ夫妻を伴って会場を出ようと私の側近や護衛騎士を自分らの護衛に着くように命じた。
「という訳でセシル、お前の護衛に人を割く余裕はない。一人で自室に戻り待機しておれ」
「!…はい!」
好きに捜し回れと許可が下り勢いよく部屋を飛び出そうとする俺に釘を刺すことも父は忘れない。
「どこでシルヴィアがお前を目にするとも限らんのだから、部屋に戻るまでも王太子らしい振る舞いを心がけ気を抜くなよ?」
「わ、分かっております!」
品もなく駆け出そうとしていた私は背筋を伸ばし可能な速度で歩き出した。