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一章「俺が人類兵器と呼んだあいつ」前編

あまり時間がなかったので半分で一度投稿します^^


母さんが亡くなってから二度目の命日の時のこと。

前日雪が降っていたせいか、その日は凄く寒かった。

マフラーを忘れてやはり失敗だったか。

今日は朝から忙かったせいで、急いで家をでた為に忘れてしまったのだ。

手袋はいつも鞄に入っているから大丈夫だったものの、

やはりこれだけでは寒い。

何か温かいものでも買って帰るか。

ふと、そこで携帯が揺れた。

ポケットから携帯をとり、サブディスプレイで名前を見る。

「母さん」

そう書かれたのを見て少しびっくりしたが、それがすぐ誰だかわかった。

あの馬鹿親父……

親父は母さんが死んだ後、母さんの携帯を解約せずに自分で保管しているらしく、

たまにそこからメールして来ては、母さんのふりをしている。

それを親父に問い詰めて見ると、何の事やらと言う顔で見てくるのだが、

そんなことするの親父しかいない事はわかりきっているので、

俺はそれ以上問い詰める事はせずに、ほおっておくことにしたのだ。

ふと、息がこぼれた。

親父は母さんが亡くなってから仕事をやめ、

家事をしている。

お金の方はどうしてか問題無いようで、

「父さんが母さんの代わりになってやるからな!」

とか、言っているのだが、俺からしてみればただただ面倒な親父で、

あまり関わらないで欲しいと言うのが本音だった。

これが反抗期と言うものなのか?

自分ではよくわからないが、多分そうなんだろう。

俺もそんな年頃なんだな、とか思っていると、

携帯の揺れが収まり、そこでやっと俺はようやく携帯を広げた。

とそこで、いつもと違う事に気がついた。

ん? なんだ、電話だったのか。

いつもはメールで送ってくる筈なのだが、

今日は電話だった。

少しだけ心拍数が上がった気がした。

メールならわかる。

声も聞こえなければ姿も見えない。

だから、それを送っているのが親父だったとしても、

直接的にばれる事は無いからだ。

しかし、それが電話だったとすれば?

声を聞けば流石に俺でも親父だってわかる。

それに、親父だってそんなわかりきった事はしないはずだ。

なら誰なんだ?


一体誰が――


ふとそこで、母さんの微笑んだ表情が脳裏に浮かんだ。

いや、しかしそんなのはありえない。

母さんは死んだんだ。

死んだ人から電話が来るなんて話、聞いた事も無い。

そうは思っているものの、

心の奥底では少しの期待があったに違いない。

もう一度かかってこないものかと、携帯を片手に俺は立ち尽くしていたのは、

恐らくそれの表れなのだろう。

もしも母さんだったなら、もしも母さんだったなら。

いっぱい話したい事はあるし、聞いて欲しい事もある。

もしかして命日だから?神様が一度だけ話す機会を与えてくれたのか?

気がつけば、寒いはずなのに汗が零れはじめていた。

もう一度……もう一度……

俺はそう念じながら、携帯を強く握った。

と、そこで念が通じたのか、ディスプレイが光り、

再度携帯が震え始めた。

俺はおそるおそるディスプレイを覗いた。

「母さん」

ディスプレイにはそう映っている。

俺は思いっきり生唾を飲み込み、

震える指で、着信ボタンを押した。

緊張が走る。

「もしもし」

もしもこの返事で母さんの優しい言葉が帰って来てくれたのなら、

俺はなんて返そうか?

「母さん!? 母さんなの!? 」

とでも言って見るか、

それとも母さんとわかりきっているのに

「え、誰ですか? 」と一度揺らして見るか? 

俺は相手の返答が来るまでに、

脳内で何十通りのパターンを想定して身構えていた。

どれだっていい。早く、母さん声を聞かせてくれ――


「たけちゃーん、ママですよー、はーと。 うふふ 」


なんだろうか。

自然と体が動くとはこういう事で、

気が付けば俺の指は電話を切っていた。

てか、今の誰なんだ?

あからさまにオカマ口調だった気がするのだが、気のせいか?

新手の嫌がらせ?まさか親父が?

色んな疑問が生まれ、いても立ってもいられなくなった俺は親父に電話をして見る事にした。

ツー……ガチャっ

「おぉ!武! どうした!」

いつもながらワンコール目で出てきやがる。

てか、どんな風に待機していたらワンコール目ででられるんだか。

「あのさ、さっき電話してきたの父さんでしょ? なんかよう?」

「あぁ? 何言ってるんだ武! 寝ぼけてんのか? 俺は電話なんかしてないぞ! 」

電話してない? そんなわけ無い。

母さんの携帯は親父が持ってるんだ。

親父に違いない。絶対に白状させてやる。

「でもさっき母さんの携帯から――」

「何でも良いから、早く帰ってこい! そうだ、父さんの為に温かいもの買って帰ってこいよー!寒いからなー! わはは! 」

「だから、母さんの携帯から――」

と言いかけた所で、電話は切れた。

切られたと言うべきか、何かうまく逃げられたと言うべきか。

とりあえず、早く帰って問い詰めよう。

いたずらで親父が母さんのふりをしているにしても、

今回のは許せない。

電話までしてきて、母さん真似(全然似て無かったが)までして電話してきて。

とにかく一度文句を言わないときがすまない。

俺はとりあえず温かいものを買いに近くのコンビニの方に足を向けた。

間違えてはいけない。

親父の為に買いに行くのではなく、

あくまでも自分のためだ。

そう言い聞かせ俺は歩き出した。

とそこで不意に、ちょうど通りかかった屋台の焼き芋屋に目を奪われた。

何でだろう、何だか懐かしい。そんな感じがした。

焼き芋……昔母さんと良く一緒に食べたな……

そういえば母さんが死んでから、俺は焼き芋を食べていない事に気が付いた。

何だか今まで、母さんの事を思い出さないようにして自然と避けてきていたのだろうか?

なんにせよもう二年目の命日。

帰って仏壇の前で久しぶりに母さんと食べるか。

そうしよう。

俺はそう思い、コンビニに向けた足を屋台へと変更し、歩き出した。

屋台には愛想の良さそうなおじさんが店を開いていた。

「いらっしゃい!いくつ買う?」

「じゃあ、二つで。」

「あいよ!ちょっとまってな!」

俺の分と母さんの分。

二つで十分だろう。

親父がなんかいってきたらお湯でも飲ませておけば問題ないはずだ。

「あい、おまち!」

そう言っておじさんは焼き芋の入った袋を差し出した。

「ありがとうございます。」

袋をもらい、俺は財布からお金を取り出しておじさんに渡した。

「あい!また来てな!」

おじさんはニコッと笑い、軽く手を振った。

寒いし早く帰ろう。

早く焼き芋食べたいし。

俺はおじさんに軽くお辞儀をして、

親父にどう問い詰めるかを考えながら、また、久々の焼き芋に心踊らせながら、

家へ向かって歩き出したのだった。



読んでいただきありがとうございました^^

感想などあればよろしくお願いします^^

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