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序章「母の一言」

久々に復活しました。


ざっとお三年ぶりでございます。


高校生活中は小説を一切描かなかったのですが、

何か不意に書きたくなって、また再度登録し書き始めることに。


これは、前に友達とリレー小説をしながら描いていたものが原作です。


少し、、、というか一杯矛盾点的なものは生まれますが、

笑って見過ごしてくださると嬉しいです^^

いくつの時だっただろう。

そうだ。

まだ小学生の頃で、

母と二人で地方のお祭りに行った時のことだ。

「たけちゃん楽しい? 」

俺が輪投げで楽しんでいるときに、

不意に母が微笑みながら横から声をかけてきた。

「うん、楽しいよ! 」

「そう、それは良かったわ」

母は俺の声を聞いてか、いっそ嬉しそうに微笑んで俺の頭を優しくなでた。

その顔を見て俺もなんだかいっそ楽しくなった気がした。

俺は母の微笑む姿が本当に好きだった。

「でも、もうそろそろ帰りましょうかね。時間も遅いし、お父さんもおうちで心配してるわよ」

そういうと母は立ち上がり、俺の手を軽く掴んだ。

俺はその手を振りほどいて、

「えー、もうちょっと遊びたいよー」

と体を揺らしながら駄々をこねた。

それでも母はもう一度、今度は両手で俺の手をつかんで

「いつかおうちでもお祭りをしてあげますから、ね? 今日は帰りましょう」

と言った。

「うぅー……、ぜったい? 」

「えぇ、絶対、やくそくよ。」

母は微笑んで俺の手を少し強く握った。

母の微笑には勝てない。

あの表情の前では駄々をこねるのも罪に感じる。

「わかった。なら、かえる!でもぜったいだよ!ぜったいおうちでもおまつりだからね!」

「わかってますよ、さぁ、かえりましょう」

俺と母は手を繋ぎゆっくり帰っていった。


あの時の母の言葉を俺は小さい頃信じきっていた。

あの時は本当にいつか家でお祭りをやると思っていたし、

母も毎晩毎晩俺に「もう少し待ってね」と言ってきて、

母の言うことは絶対におきると言う何処からともなく生まれてきた自信まであったくらいだ。


しかし母はその数年後、

俺が中学に上がると同時に亡くなった。


交通事故だった。


病院に搬送され、

意識が朦朧としながら、辛い表情を浮かべ、

母は泣きながら俺に「ごめんね、お家でお祭りできなくて」

と、言葉を言い残し、息を引き取った。

その時一緒にいた父は母の手をつかみ、

「俺が……俺が叶えてやるから……俺がいつか家でお祭りするから……」

と、轟音のように響く鳴き声を院内に響かせながら言ったのだった。


それからと言うもの、父は毎朝いつも

「朝は起きたらカーニバルだ!」

とか言い出すようになった。

反抗期を迎え始めた俺は

「んなことあるわけないだろ!」

と、愛想無い言葉を父に投げ、怒りながら学校に出ていく。

それが日常だった。


それが、平常だったのだ。


だが……しかし……今のこの状況は何だ?

ここは俺の家だ……と思う(確証はない。)

この狭いリビング(いや、今ではもともとリビングだったところか)の中で

何故こんなに騒いでいるのだ。

俺の横を走り回るガキ。

それを応援するように踊っているフラガール。

バーテーブル?(何か長い板が配置されている)の様なところで、

バニーガールとカクテルを作っているマスターらしき人間もいる。

それに、太鼓を叩いている奴や、合唱をしている奴までいる。

深い溜息とともに、俺は頭を抱えた。

「どうして……どうしてこんなに俺の朝はカーニバルなんだ!!」

腹の底から、不意に出た言葉だった。


全てはあの母の一言からはじまったのか。


今になって思う。


あの時俺が駄々をこねていなかったら。


こんな事にはなっていなかった。


それに、


あいつも来なかっただろうに。

読んでいただきありがとうございました^^

感想などあればよろしくお願いします^^

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