都市伝説『メリーちゃん』
(暗いわ…狭いわ…)
「あー、荷造りメンドイ」
(この声はご主人様!?早くここから出して!そして新鮮な外の空気を…!)
「…あれ?こんな洋風人形あったかな?」
(何言ってるの!貴女が小さい頃、どんな時でも一緒にいたでしょ!?)
「う〜ん…今まで忘れてたからどうでもいいか」
(良くないわよ)
「アタシには必要ないから従姉妹にでもあげるか」
プルルルル、プルルルル
ピッ
「私メリー、今あなたのいるマンションの前にいるの」
「…多分番号を間違えてますよ」
「いいえ、あってるわ」
「アタシの知り合いに『メリー』なんて名前の人もあだ名の人もいません」
「私はあなたに捨てられた人形よ」「悪戯電話なら切りますよ」
「ちょっ、待って!悪戯電話なん―」
ピッ
「もう少しマシなこと言いなさいよね」
プルルルル、プルルルル
ピッ
「もしもしどちらさまですか?」
「私メリー、今二階にい―」
ピッ
「二回もかけてくるなんて…よっぽどの暇人ね」
プルルルル、プルルルル
ピッ
「なんで途中で切っちゃうの!?」
「生憎悪戯電話の相手するほど暇じゃないのよ」
「だから悪戯電話じゃないって言ってるでしょ!」
「はいはい」
「何なのよ、そのどうでもいい感じ丸出しな返事!」「実際にどうでもいいからね」
「なっ…ふざけないでよ!私はいっし―」
ピッ
「ドライブモードっと…これでよし」
ブルブルブル、ブルブルブル
ピッ
「私メリー、い―」
ピッ
「もうこんな時間…少し休憩しようかしら」
ブルブルブル、ブルブルブル
ピッ
…ブルブルブル、ブルブルブル
ピッ
「時報のくせにしつこいわね」
「あなたが素直に話を聞けばいいだけでしょ!?それより時報って何よ!?」
「毎日同じ時間に電話かけてくるなんて時報以外になんて言えばいいのよ」
「私はメリーよ!とにかく話を聞きなさい!」
「しょうがないなぁ、少しだけよ」
「…何か釈然としないけど、まぁいいわ。私メリー、今三階にいるの」
「だから?」
「すぐにあなたの部屋に行くわ。首を洗ってまっ―」ピッ
「来るなら来るでさっさと来なさいよ」
〜一週間後〜
ブルブルブル、ブルブルブル
ピッ
「……」
「毎日同じ時間にご苦労様」
「…よ」
「はい?」
「あなたの部屋、何階なのよ!?」
「教えません。てか今何処にいるの」
「屋上よ!!」
「あっそ」
「早く教えなさいよ!でないとまたカラスにみつか、キャア!?いつの間に!?ちょっと止めて、つつくな!ついばむな!離して!あぁやっぱダメ離さないで!おち、落ち、キャァァァァァァァ!」
ガサガサガサ
ボトッ
ツーツーツー…
「…あ、雨。洗濯物しまわなきゃ」