紫の節・姉弟
エルフェミスは弟に自分がアヤカシの森にいたのがわかった理由ついて尋ねてきた。
「……順を追ってお話し致します……。普段通り騎士団の任務に勤しんでいる中、姉上の相棒のQG『インドラ』様から僕の紋章を介して、姉上の持っていらっしゃる紋章から発せられるEL信号がアヤカシの森で途絶えたという報せを聞き、僕は急遽部下に引き継ぎをして、エアロボードであそこまで駆け付けた次第です。」
エルフッドは姉の相棒のカムイであるインドラから緊急の報せがあったと述べた。
「そう……、またしても相棒……、いえ、何より弟に助けられたわね……。本来わたしが助けるべき立場なのに……。」
エルフェミスは自分が助けて貰った事に後ろめたさを感じた。
助けて貰った相手が弟である事もそれに拍車をかけた。
「何を仰せですか姉上。姉上は四つ葉の騎士団の団長で、グルンガルドになくてはならぬ存在ですよ。僕は弟である以上に、騎士団の副長として姉上を全力で支え、四つ葉の騎士団全体でグルンガルドを護る使命があるんです。」
エルフッドは姉に自分の使命を語った。
「……色々ありがとう。エルフッド……、悪いけど……、暫く一人にして貰っていいかしら……?」
「……わかりました、姉上……。では、失礼……。」
エルフッドは姉に一礼して談話室を後にした。
エルフェミスは暫く泣き伏せった。
因縁の相手との乗り比べに敗れた挙げ句ヴェーメを失った事の悔しさ、アヤカシの森での恐怖、アヤカシ共に襲われていたところを弟と、何より因縁の相手に助けられた事からの自分の不甲斐なさ等、負の感情にまみれていたのだ。
それから一夜明け、エルフェミスは今日も四つ葉の騎士団長として、弟や団員達と共にグルンガルドの治安の回復等の使命に勤しむのであった。
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そちらもご愛顧頂けると嬉しい限りです。