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青の節・グルンガルドの問題

 四つ葉の騎士団本拠の談話室ではアヤカシの森から帰還したばかりの姉弟二人きりで向かい合って会話していた。


「姉上……、一人でアヤカシの森に行くなんて僕……、肝を冷やしましたよ……。」


 エルフッドはエルフェミスの危険な行動に肝を冷やしたと述べた。


「エルフッド……、わたしだってあの森が危険だって事はわかってるの……。好き好んで行った訳じゃないわ……。」


 エルフェミスはアヤカシの森が危険地帯である事を理解しており、望んで入った訳ではないと答えた。


「その()むに已まれぬ理由とは一体……?」


 エルフッドはアヤカシの森に行った事情について尋ねた。


「フレンよ……。」

「フレン……、確かTC団首領の者ですね……。彼がどうかなさいましたか?」

「ヴェーメで飛行中に奇遇にもあいつと会ったの……。ヴェーメの乗り比べしないかと切り出されて初めは断ったの。そしたらあいつ……、わたし達四つ葉の騎士団の事を『騎士道ごっこ』と辱めてきたの……。わたし……、あいつが組織を(おとし)めたのが赦せなくて勝負に乗ったの……。」

「それで、あの森で乗り比べをしたって事ですか?」

「ええ……、ヴェーメで森をくぐり抜け、先に森の外へ抜けた方が勝ちで、上空に出たら反則負けというあいつの定めたルールで勝負したんだけど……、あいつヴェーメに刃を積んで切り倒した樹木で妨害してきて……、わたしが卑怯だと言ったら、そう言うならそのやり方に打ち勝てばいい、また、ルールにおいて樹木での妨害について触れてないと主張したの……。わたし……、あいつにだけは負けたくないと必死になったけど……、ヴェーメが樹木に衝突して大破してしまったわ……。わたし……、あいつらがいる限りグルンガルドに胸を張れない……。」

「姉上、TC団は義賊です。彼等と事を構えたらただでさえ治安の良くないグルンガルドの治安が益々悪くなります。」

「……エルフッド、あなたは悔しくないの……?わたし達四つ葉の騎士団があいつらにいいようにされてるのよ。」


 エルフェミスは弟に自分達がTC団にいいようにされていて悔しくないか尋ねた。


「……確かに僕も悔しいですよ……。FC号の離陸式の直前で見物客を装ったフレン達に騙されて人質にされたから……。でも、フレンから僕達が空に進出したら自分達が路頭に迷う事になる。自分が路頭に迷うのは構わないが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()事と、僕達が空に進出しない限り自分達は一切の略奪を働かないと聞いて、僕はFC号をTC団に明け渡すよう姉上に説得しました。姉上もそれに承諾した筈です。」

「そりゃ……、弟の身柄と飛行艇を天秤にかけられたら承諾せざるを得ないわよ。」

「あれ以来、TC団が僕等に略奪を働いていませんよ。ただ……、例の条約でTC団と事を構えられないのをいいことに偽TC団が跋扈してグルンガルドの治安が悪くなってしまいましたけどね……。でも、僕等四つ葉の騎士団がきちんと活動出来るのはTC団のお陰でもあるんです。」

「……エルフッド……、あんな目にあってもあいつらの肩を持つなんてお人好しもいいとこね。」


 エルフェミスはTC団に対して穏健なエルフッドをお人好しと吐き捨てた。


「姉上……、確かに僕はお人好しかもしれません……。姉上がTC団に対して好意的でないのは勝手です……。それは心の問題ですから……。ただ……、四つ葉の騎士団の本分を忘れないで頂きたい。グルンガルドの治安並びに、来るべき刻に備えてのAU達の育成、何より各ガルドの国境なき騎士団との様々な連携等TC団では出来ない事がいっぱいあります。それに比べて彼等が出来る事は何ですか?()()()()()()()()()()()()()()()()くらいです。」


 エルフッドも自分がお人好しと認めながらも、四つ葉の騎士団の本分を忘れないで欲しい、また自分達が出来る事等を姉に語った。


「……わかったわ……。これからも四つ葉の騎士団の本分を全うするつもりよ……。」


 エルフェミスはTC団との確執を秘めるも、自分の束ねる騎士団の本分を全うすると語った。


「ところで……、大破したヴェーメの件ですが……。」


 エルフッドは今度は大破したヴェーメについて話題を切り替えた。


「あれはごめん……。確か四つ葉の騎士団の備品だし……。」


 エルフェミスは備品を破損させた事について弟に詫びた。


「まあ……、姉上が無事ならそれに越した事はないですよ……。ただ……、ヴェーメは一台60KGですよ。それに比べてエアロボードは約3KG……。つまり、エアロボード約20台分の損失なんです。」

「えっ……!?」


 エルフェミスは弟から損失の話を聞かされ動揺した。

 ヴェーメの製造コストは一台60,000ゲルダで、エアロボードは一台約3,000ゲルダだ。


「姉上、ヴェーメの補償の件はいいです。その代わり、今後遠出をする際は僕に仰せ下さい。」


 エルフッドはヴェーメの補償の必要はない代わりに遠出をする場合に自分に申し付けるよう姉に伝えた。


「わかったわ……。エルフッド……、わたしも話があるけど……、どうしてわたしがアヤカシの森にいた事がわかったの?」


 エルフェミスは弟が何故自分がアヤカシの森にいた事がわかったのか尋ねた。

 果たして弟はどう答えるのだろうか……?

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