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赤の節・因縁の二人

 グルンガルド(緑の世界)の上空をグルンガルドを管轄する国境なき騎士団『四つ葉の騎士団(クローバーナイツ)』団長にて、レンジャークイーンの異名を持つエルフの女性『エルフェミス』はデクード(木材)EL(エレメンタル)ビークル『ヴェーメ』に乗って飛行していた。

 彼女を乗せたヴェーメは風属性の緑色のEL粒子を後方に散らしながら飛行し、ヴェーメから空にまき散らされたEL粒子は空と同化するかのように消えていった。


(ふふっ……、やはり空は最高ね……。まるで鳥になった気分だわ……。)


 エルフェミスが悦に浸っている中……。


「よう、四つ葉の姐ちゃん、一人で空へ遠出とは随分暇だなあ。」


 同じくヴェーメに乗った一人のニュートラルの男性がエルフェミスの横に並びながら彼女に声をかけてきた。


「あなたは……、TC(トリッククローバー)団首領の『フレン』!……暇だなんてご挨拶ね。これもパトロールの一環よ。」



 エルフェミスとフレン……、いや、四つ葉の騎士団とTC団の間にはただならぬ因縁がある。

 四つ葉の騎士団がグルンガルド中の賊を空から摘発するべく、飛行艇『FC(フライングクローバー)号』を建造して空へ進出しようとした際、義賊で知られるTC団は四つ葉の騎士団副長にて団長エルフェミスの弟『エルフッド』を人質に取ってFC号を奪った。世に言う『FC号事件』である。

 事件後、四つ葉の騎士団とTC団との間で『クローバー条約』が締結された。その内容は『四つ葉の騎士団が空での軍事展開をしない限り、TC団は四つ葉の騎士団に対して一切の略奪を行わない』で、飛行艇『エターナルフレンズ(旧FC)号』を保有するTC団が制空権を持ち、彼等にそれを封じられた四つ葉の騎士団には明らかに不利な条約だ。

 これらの出来事から四つ葉の騎士団とTC団の仲はあまり良くない。中でもこのリーダー同士の確執は著しいと言っていいだろう。



「パトロールねえ……、なんなら俺を捕まえてみるか?あんたらにとっては俺達TC団は盗賊でしかねえんだからよ。」

「出来ないし、するつもりもないわ。わたし達が空に拠点を構えない限りあなた達は略奪を働かないって取り決めがあるし。」

「相変わらず(かて)え事言うんだな。なあ……、折角お互いヴェーメに乗ってんだ……。退屈しのぎに俺と乗り比べしねえか!?」

「結構よ。」

「はっは~ん、さては俺達TC団に負けるのを恐れてんだな~!?それともあんたらクローバーナイツは()()()()()()やってるって事かい!?」


 フレンは乗り比べに乗り気でないエルフェミスを挑発した。


「!!……わかったわ……!」


 フレンに自分の組織を辱められたエルフェミスは挑発に乗ってしまった。


「そうこなくっちゃな!じゃあ、ルールは俺が決めるぜ。今から()()()()()()()()()()()()()()んだ。先に森の外へ抜けた方が勝ちだ。但し、途中で()()()()()()()()()()だから忘れんじゃねえぞ!」


 フレンは乗り比べのルールを決めた。

 ヴェーメで森の中をくぐって先に森の外に抜けた方が勝ちだが、空へ出たら反則負けとする内容だ。


「ええ、いいわよ。」


 エルフェミスは承諾した。


「じゃあ、始めるぜ!四つ葉の姐ちゃんよぉ、負けて吠え面かくなよ!」

「その言葉、あなたにそのまま返してやるわ!レンジャークイーンの意地を見せてあげる!」


 二人は森へ急降下した。

 いよいよ二人の乗り比べが始まった。

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