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アストロガール book2  作者: shoushou
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鬼産の槍

アストロガール 鬼産の槍


 その暗いラビリンスで生まれ、物心ついてからどれだけ時間がたったのだろうか。

 頭上も左右も岩で囲まれた、地底の国に、ダイヤと呼ばれる少女はいた。

親というものはおらず、指導員のもとで他の子供たちと集団生活を送っていた・・・

指導員:「自分の係りはきちっとしなさい、なぜ昼までに終わらなかったの!」

ダイヤ:「だって子豚がつぶされそうになっていたんだもの

指導員:「そんなことは大人に任せておけばいいの!」

サファー:「先生、終わらなかったことは反省してますから、着替えさせてください、臭いがついたままじゃ食事の場にいけません。」

作業着を着替えたが、別の作業着という感じの服で、皆同じ服装だった。

サファー:「オニババまたいつもの癇癪をおこして~、こないだも卵を落した子を何時間もいびってたのよ。」

ダイヤ:「でも、前は優しかった。」

サファー:「うん、でもよくあることじゃない。」

 食堂に行くと、十歳の儀から帰ってきた上の子たちがいた、

なんだか食べ物を口に入れるのに躊躇していた、互いに口の中を見せ合ったりしてる。

ダイヤ:「なにをしているの?」

上の子:「十歳の儀が終わったら、口の中のこれが発達してきたんだよ。」

その口の中を見せる。

ダイヤ:「え?なにそれ」

サファー:「?、ダイヤの口にもあるでしょ?」

ダイヤ:「ないよ、そんなの」

サファー:「ダイヤ、口の中見せて」

ほら、口を開けて見せた。

不思議がっていたサファーの表情が一変した、理解しがたく、許すことのできない違反を見つけ、怒りに燃えている。

サファーの怒声もしくは悲しみの叫びで大人たちが集まってきて、困惑するダイヤを取り囲み、口蓋をこじ開け確認し、

あーでもないこーでもないと議論したのち、ダイヤをそこから連れ出した。

そのとき、振り向けばテーブルに伏し、うなだれたサファーの姿が見えた。

 下りのエレベーターの中で、オパーチが言った。

「神様の判断を仰ごう」

ダイヤ:(神様?十歳の儀はまださきじゃないの?)

エレベーターを降り、暗い洞窟を進むと、水に満たされた鍾乳洞の中に、水面上に浮かぶ台形の島があり、そこに立たされた、池に背を向けさせる形で。

オパーチ:「神様お出でください、この約束された子について、あなたの決断をたまわりたく存じます」

背後に水を掻く音がし、滴る音と共に何かの息が近づいてきた、ダイヤは恐怖と緊張により動悸がはげしくなっていた。

何か:「食ってしまうのは簡単だ、だがそいつは鍵を持っている」

子供のような声で背後の何かがしゃべった、それの正体を見たいと思ったが、頭より高い位置からで、背後の池は深く見えた、しかも食べると言った。

何か:「二度もわが半身を宿さないなら、最下級の奴隷として置いておけ、いずれ赤い城から迎えに来ようぞ」

ダイヤは駆け出した、膝までつかる水を激しく漕ぎ、大人たちの手をすり抜け、後ろから追いかけてくる水しぶきから逃げた。

枝分かれした窟内の乾いた路を逃げ惑ううち、赤い扉に出くわす、扉がひとりでに開き、ダイヤを呼ぶような、風の音が奥から聞こえた。

唸り声が後方から聞こえ、慄きながらダイヤは門をくぐりその扉を閉めた。

 そこは周りを岩で囲まれた洞窟と違い、平らな壁と天井、整った内装が施された建築然とした通路で、しけった空気が嘘のように消え去っていた。

背後を警戒しながら、エントランスに来た時、カーブ階段上の踊場から声がかかった。

女性:「ようこそダイヤ、あなたがここに来るのをまっていました。」

疑問よりも・・・

ダイヤ:「助けて、何かに追われてるの、すぐそこまで来てる!」

女性:「落ち着きなさい、この階にはいません。」

降りてきた女性はダイヤの手を取り、さっきの扉の所まで連れてきた。

女性:「開いてみなさい」

開けると、・・・目下に黒い大地その先に灰色がかった海とその上の青い空とひりつく暑い日ざしがあった。

手前に石組の塀と石畳があり、右手の方に建物の突き出した部分が見えた、赤い壁と赤い屋根の・・・城だ。

ダイヤ:「なに・・・これ、エレベーター?」

女性:「いいえ、ここは万物の法則を超越した空間、地下や地上を自在に移動し、時間の流れすら変えてしまう場所・・・ようこそシュリン城へ。」

 シュリン城ではなんでも手に入った、シュリンの女王様が指図しただけで食べ物でも衣服でも魔法のように現れた。

ダイヤは作業着然とした服からブラウスにかわり、日課は国語と大昔の映画やアニメ、図書館~もっぱら絵本、などにかわった。

要するに大人しい、お淑やかな少女に成長していた。ただし、身長は伸びていなかった。

週末に植物庭園の手入れを手伝うくらいで、城では何もしなくてよかった、掃除も洗濯、補修も自動で完了していて、いつも綺麗になっていた。

女王:「いずれ、あなたに城のすべてを譲ります、それまでに学び鍛え一人前に成長してください。」

ダイヤ:「なぜわたしなのですか?、他にも子供はいたのに。」

女王:「あなたは私にとって特別な子なのです。」

 それがいつまでも続くかと思われた、数年後のある日、ダイヤは城壁の上にある庭で水やりをしていた時に、突然地震が起こった。

ただの地震ではなく、空間ごと揺さぶられる地震で、ダイヤは城外に投げ出され落下するだけではなく、

なんども城壁に押し付けられて落下速度がその摩擦力によって減衰し地面に激突するでもなく落ちて跳ねた。

くびを上げれば石組みが崩れ落ちかけていて、慌てて逃げた。

地震が収まるころに、城が燃えるように赤く発光し、光る輪郭を残しつつ消滅した。

そして、そらが裂け、空間が音を立てて崩れ落ち、次元断層が出現した。


 とにかく、そこは何にもない、黒いアメーバだけしかいない世界で、

先に鉄板で次元断層を塞いでアメーバの侵入を食い止めてから、滅多に立ち入る機会もないまま放置されていた。

アメーバは動きがのろくても肉食性で、くっついた鳥や犬やらを覆いこんで消化してしまい、

兵糧攻めにしたって緑色に変色して光合成をし始める。

とにかく侵入した分は軍隊の火炎放射器で駆除された。

 その世界に、わざわざ入ろうという話。

ブラン:「たぶん、もうそろそろアルハナさんが来るころだ」

モグラス:「もしこれなかったら誰が来るって?」

ブラン:「たぶん、ロナさんか、リズさん」

モグ○○○:「だれが来たって女なら大歓迎だぜ、お前ら妊娠させんなよ!」

ブラン:「なんでや種族からして違うやろ(笑)」

モグチ○○:「いや、愛は種の壁を越えるんだぜ、俺が今夜落してやるぜ!」

ブラン:「このやろう、人間はらませずにお前がはらめ」

モグチン○:「あっいやっやめて、犯される!」

ブランが仲間の地底人のケツをつかんでヘコヘコしてると、後ろから声がした。

レンリ:「なんだ・・・こいつら」

ブラン:「あ、もしかしてアルハナさんの代理ですか?」

レンリ:「もしかしてあんたらがアルハナの地底人?」

モグチ○○:「そうだぜ!今日からよろしくな!」

レンリ:「うぇ・・・」

一同はレンリの引っ張ってきた荷物に視線がいった、軽自動車一台分くらいある大きさのキャリーケース、レンリと同じレモン色。

ブラン:「これまたでっかいスーツケースで」

レンリ:「今つけてるアーマーが一ランク下がってるのを胸元開きに改造したやつで、

この中に入ってるのがほんまもん。それに武器を新調したから調整のための道具が入ってる」

ブラン:「あ、武器つったら、あれ、アールはんの」

なんか包みからふたつ輪っかの連なったものを取り出して見せた。

ブラン:「アールはんが地底で使える武器にと渡しなはったものです」

レンリ:「なに?」

ブラン:「ビームシザーです、スイッチを無線で入れてください」

手渡されたモノのスイッチをいれると光の刃が伸びてハサミになった・・・だが。

レンリ:「これ、虹みたいに光らな気ぃ済まんの?」

ハサミの刃は色を次々変化させていた、赤・青・黄色・緑と繰り返す。

ブラン:「さぁ?」

モグラス:「にぎやかになってええやんけ(笑)」

レンリ:「いらねー、あたしにはこれがあるし」

ハンマー。

モグ○○○:「えー、今から洞窟の中でそれ振るの?天井つっかえん?」

レンリ:「慣れてるから大丈夫」

モグ○○○:「うわ、けったいなやっちゃなー、脳筋やろそれー」

レンリ:「ソルレイドハンマーだ、ハンマーの頭部に電磁石で動く鉄芯がしこんであって、なぐると」

そこらへんの岩に振りかざす、岩が砕け、ハンマーをひっくり返すと、頭部の平面から鉄芯が突き出していて、スッと引っ込んだ。

レンリ:「鉄芯が反射的に打撃を追加する、さらに」

ハンマーを置いてスイッチ、ソルレイドが作動し、砂煙をあげてハンマーが弾けて立ち、それをガシッと受け止めてつかんだ。 

レンリ:「無線スイッチで操れば、狭い空間でも打撃を加えることができる」

モグ○○○:「なにそのこだわり、ハンマーにどんだけこだわんの?鉄砲じゃダメ?」

レンリ:「あたしの父が拳銃自殺した、だからダメだ」

モグ○○○:「あ、ごめんなさい・・・・(真面目な理由!?)」

 封鎖壁の扉は高いところにあって、スロープを上がり、軋む歯車仕掛けの施錠を外し、重い扉を観音開きに開いた。

熱気があふれ出てきた、カンカン照りの太陽が高く上がり、潮の香りが風にのって来る。

地面には青のりでも漂着したように濃ゆい暗緑色のアメーバがへばりついて散乱してている。

スロープを下り、アタッシュケースを引きながら荒地を歩いた。

ブラン:「ところで、俺たち自己紹介せずに同伴してるんだけど」

レンリ:「あら、うっかりしてた」

ブラン:「ブランです」

レンリ:「レンリよ」

モグラス:「モグラスや」

モグ○○○:「俺はモグ○○○だぜ」

レンリ:「え?」

モグチン○:「見たまんまだろ、うひひひ」

黄色い体毛をなびかせる様に回る。

レンリ:「子供みたい」

モグチンコ:「下半身は大人だぜ、俺の10ミリリボルバーをみせてやろうか?」

レンリは愛想笑い。

ブラン:「俺一度他人のちんこのデカい奴触ってみたいんだけど、今から剥いていい?」

モグチンチン:「いやダメダメ、野郎はお呼びじゃないぜ」

ブラン:「口だけだからこいつ、童貞のくせしてセクハラ発言垂れ流し」

モグ○○○:「いうなよ!#」

モグラス:「探索の目的を確認しようか、1週間前、四菱重工の新型地底探査機ドリケラー1が異界探査中に消息を絶った、

乗組員は1名、堂本貞春30歳独身男性、近眼メガネあり、新型アストロバイオアーマー通称D_ダイバーを装備。

人類未踏の地での地下資源探査が目的だった。我々は堂本貞春30歳こと童貞さんを発見救出するのが目的であーる」

モグソチン:「なーにが言いたいんや禿」

ブラン:「禿だけにすべっとるし、堂本が童貞かはわからんやろ」

モグラス:「ほらあそこだ」

土が盛られてひと山できており、麓に大穴があいている様に見える、近くに行ってみると穴は埋まっている。

モグラス:「ドリケラーは短距離テレポーテーション機能で削った土砂を後方に飛ばして進む、掘った後はこんなふうに埋ってしまうんだ」

モグチン:「って追いかけようがないじゃん!」

モグラス:「まま、ここは天然の洞窟が地下に広がってるさかい、そこから辿って追いかけてみよか」

 一同は海辺まで歩いた。

レンリは潮風にのって、柑橘類の香が微かにするのを嗅ぎ取った、どこにも木が生えていないのに。

ブランはサンゴの石がゴツゴツ突き出た岸部の影に何か人影らしきものを見た、もう一度じっくり見てもその影形を再び見ることができない。

崖下、大きな洞窟がぽっかり開いていて、中から水が流れ出ている。

モグラス:「ごらんのとおり、石灰岩を地下水が侵食してできた洞窟だ、岸部にはこんな穴がいくつも開いている、ただな、」

ガイガーカウンターを近づけると高い線量が出た。

モグラス:「なぜか、いくつかの穴から高い放射線がでるんだ。」

レンリ:「なるほど、それで地底探査しに行ったのか。」

ブラン:「俺たちのアストロバイオマテリアルはこんなちんけなバンドでごつい装甲服じゃない、

電池切れで動けなくなるのは洞窟暮らしには向かないからな。

今回は放射能対策でお守りとしてつけてるが、化けもんが出た時はレンリさんの出番だ。」

レンリ:「そのライフルは飾りかよ。」

手ごろな岩陰にキャリーケースをおき、開けて中から迷彩カバーを出した。

モグチン:「空きスペースいっぱいあるじゃん、俺らの荷物も入れてよ。」

レンリ:「えー;」

モグチン:「要らんもの外に置いときたいじゃん?重いし、落とし穴にはまったら必要ない荷物と心中せなならんくなるじゃん?」

レンリ:「まあいいか・・・変なもの入れないでね」

ブラン:「ついでに暗証番号も教えてもらえない?共用にするなら他の人も開けられないと困るし」

レンリ:「おい、おまえら、セクハラやぞ#」

ブラン:「レンリ姉さんの荷物には触りませんから!lll」


 洞窟の中へ入り、水ににつかりながら、なだらかに削られた岩の間の流水を遡った。

途中は天井が低くなったり水が深くなったりし、体を濡らしながら奥へと進む。

鍾乳石が垂れ下がり、水気により光沢を生じている。湿気と冷気が満ち、照明の当たらない所から、暗黒が奥へ奥へと際限なく続いている。

 丁度いい乾いた足場を見つけ、一旦腰を落ち着けた。

レンリはまた柑橘類の匂いを嗅いだ、あたりを見回すと・・・・

モグラスが脇にスプレーを吹きかけている、柑橘類の香がそこからモワモワと。

レンリ:「いや、何を吹きかけてはるの?」

モグラス:「いやーこの歳で腋臭が臭って、女性がいるからエチケットは守らんと」

レンリ:「そんなににおうてへん、紛らわしいからやめてや」

ブラン:「消臭スプレーがあるならモグ○○○のパンツに使えばよかったのに」

モグチンポ:「やーね人の下着を汚物みたいに言っちゃってー」

ブラン:「お前パンツ二枚しか持ってないだろ、洗ったのはいつ?」

モグチンポコ:「144時間前かな」

ブラン:「着替えたのは?」

モグポコチン「143時間前。」

レンリ:「ちょっとー!、捨ててきて!」

モグポンチ:「いひひひ、今更あとには引き返せないぜ!」


 就寝室、ダイヤが袋をもって入ってきた。シュリン城にいた時より背が伸びていた。

ベッドに腰掛けていたサファーは教科書を置いた。

サファー:「また貝拾い?」

ダイヤ:「おなかがすくから」

サファー:「あの海岸では被爆するわ」

ダイヤ:「平気よ、基準値以下だもん」

甕にジャラジャラ入れてそれを持って行った、水を入れて戻ったらその甕をベッドの下に隠した。

後は砂貫が終わるのを待つ、一仕事終えてベッドに横になった。

ダイヤ:「・・・・裂けめの人たちを見たわ、動物みたいなのが三人、女の人が一人。」

サファー:「報告したの?」

ダイヤ:「知らないわ、うんざりする結果が見えてる。」

サファー:「そのよそ者たちには近づかないでね、異界を知りたくてもね」

サファーは部屋を出ていった、ベッドの下からパチパチ泡が弾ける音がしていた。


 洞窟をだいぶ進んだ頃、水の中に何かが見えた、近づくとパイプの口があって、そのパイプが奥へと続いている。

レンリ:「ちょっとこれ、文明がある。」

ブラン:「何の報告もなかったんだけど。」

モグ○○○:「出た、未知との遭遇、ファーストコンタクト。」

モグラス:「言葉通じるんかや」

レンリ:「無理、AI翻訳は学習する必要があるから、いきなり未知の言語を通訳させても無茶苦茶になる。」

ブラン:「まず、地底に住むモグラは自分の巣穴に入ってきたものは何でもかみ殺す習性がある、

こいつも侵入者がきたら攻撃してくるかもしれない。」

モグ○○○:「まだあってもないのに物騒だな、もしかするとポルトラム語の収斂進化亜種かもしれないぜ。」

ブラン:「滅んでるかもな、なんで自己顕示するようなものが何一つなかったんだ?」

沈黙、かぶりを振ってレンリは進み始めた、足元のパイプは金属でできていた、踏みながら歩いていると二本目が現れた。

ブラン:「レンリ右手。」

手の上に電灯が設置してある、電線が付いてて、岩壁にU字釘で打ち付けて引いてある。

辿っていくとボックスが設置してあって、開けると分電盤。

むやみにスイッチを入れるのは憚られる。レンリのアーマーの甲手をつけて確かめると磁界がある、ということは電気が来ている。

レンリ:「ライフルの装填準備!」

ブラン:「勘弁してほしいぜ、俺のタマは飾りなんだよ」

二本目のパイプが三叉路で曲がってそこに扉があった、開けるといくつもパイプが接続しており、上にタンクがある、

その先の階段を上がって扉を開けると、たい肥の臭いと牛の鳴き声が響く空間に出た。

レンリ:「牛飼ってる!」

牛に乳房があって、注ぎ口の付いた容器が置かれているあたり酪農やってるらしい。

次の扉の向こうは飼料倉庫、さらに次が煌々と照明を照らした室内プラント。

レンリ:「地上がアメーバに浸食されてるから地下で何もかも育ててるんだ。」

ブラン:「ところで、この電気はどうやって起こしてんの?」

モグ○○○:「・・・・え、まさか」

その時数メートル向こうの突き当りの扉が開いた、兵士らしき者らがなだれ込んで来るのが見える。

銃火器を構えてる、レンリはプラントのラックを片手で横向きに移動させた。

牽制で発砲しあい、プランターが割れ土が床にこぼれ落ちる。

レンリたちは後退し、牛の横を通って下水設備の部屋へ戻ってきた。

モグラスが慎重に階段を下りていて、最後尾のブランは業を煮やしてタンクの上に飛び乗った、

だが天板が踏み抜けた、瞬間、ブランはそのタンクが肥溜め(微生物分解槽)だと気づき、

あるまじき瞬発力で落下中の天板を蹴って飛び上がり、タンクの裏に頭から落下した、

パイプとパイプの隙間に刺さるようにつっこみ、衝撃で気絶した。

天板が汚水の中に落ちる音で、モグ○○○は振り向き、ブランが見当たらないことに気付いた。

モグ○○○:「ブランは?」

モグラス:「ありゃ?、いかん、タンクの中に落ちた!」

レンリはタンクにハンマーで穴を穿った、汚水があふれ出したが、中に誰もいない。

モグ○○○:「!?、パイプの中に吸い込まれたのか?」

レンリ:「こんな細いのに?」

階段上の扉から兵士が顔を出した、モグ○○○は発砲し牽制する、とりあえずブランのことは置いといて逃げなければ。

水路に出ると明かりがついている、奥側から水をはねながら大勢走って来る音が聞こえる。

レンリらは出口に向かって下りだした。


 パイプの隙間で目を覚ましたブランはもがいてそこから体を出し、起き上がって周りをうかがう。

兵士らは階段を下りて水路のほうに向かってる。

兵士:「やってくれたぜ、設備が無茶苦茶だ。」

兵士B:「どうせ捕まえれば手下になるんだ、その時が来たらたっぷり礼をくれてやれ」

彼らが通り過ぎたら、ブランは階段を上がって牛舎に入った。


 レンリらの後ろから呼びかける声・・・・

オパーチ:「待たれよー、貴殿らは堂本くんの仲間だろうー」

立ち止まって声のほうを見る、鍾乳筍の向こうから黒い服を着た老人が現れた。

オパーチ:「兵たちが無作法を働きすまなかった、他のコロニーからのスパイだと思っておったのでな。」

レンリ:「堂本がいるのか?」

オパーチ:「案内しよう、まずはお詫びをしたい。」

モグ○○○:「一歩前進だな、 おい、爺さん、さっきの騒動で仲間が行方不明になってんだ。」

オパーチ:「ほう、どんな人だね?」

モグ○○○:「俺と同じ種族で毛が黒いのだよ。」

オパーチ:「分かった、兵たちに探させよう、ではこちらへ。」

 オパーチについて行き、広間へ入った、大勢の人間が脱穀やら干し肉作りやら様々な作業をおこなっていた。

その大勢の目がレンリらに向き、好奇の目で見ている。

オパーチは彼らの間を抜けて、通路を進み、食堂へ案内した。

給仕の男に話しかけ、レンリらに料理が来るまでくつろぐよう言って出ていった。

モグ○○○:「あー腹減った、飯はまだかい。ごはん、ごはん。」

レンリ:「緊張感のない奴」

モグ○○○:「そんなに張り詰めんなって、危機は去ったんだぜ、後は堂本を連れて帰ればお終い、楽勝だぜ。」

料理が運ばれてきた、サラダからローストチキン、クラムチャウダー、バケット、その他、地下で作った食物とは思えない豊富さだ。

食べ始めてから、モグ○○○とモグラスが激しくかっ込み、食い尽くせばおかわり。

レンリがその勢いに驚いてる。

モグ○○○:「おいおい食が止まってんぞ、口に合わなかった?」

レンリ:「うーうん、よー食べんな思うて」

モグラス:「食い意地はっとるだけや」

気付くとオパーチが泣いてる。

レンリ:「あの、オパーチさん?どうなされました?」

オパーチ:「いや、たくさん食べてもらってうれしいんです。昔を思い出しましてね、

今でこそ豊かになってますが、昔は食べるに苦労しまして、試行錯誤の繰り返し、失敗の連続でしたわ。

そのうえ主に至っては聞く耳持たんで贅沢三昧、何度破たんしかけたことか。

さらには横暴ふるって嫌がらせのように、ナメクジを食べて飢えをしのげと・・・うっうっ;;」

レンリ・モグ○○○・モグラス:「ーーーー!?ーーーー」

兵士が入ってきてオパーチに言った。

兵:「オパーチどの、オミク様とデルタ様そしてミュウ様の御一行がこちらに向かっているとのことです。」

オパーチ:「なんと!、お客人の皆様には申し訳ありませんが、ここで外させてもらいます、では」

いそいそと出ていった。

レンリ:「なんだったんだ?」

モグ○○○:「さっきので食えなくなったんだけど。」


 地底湖。

何か:「なぜ今のこのタイミングで来るのだ?、しかも勢ぞろいで!」

オパーチ:「神様が招致を断り続けたので、向こうもしびれを切らして直接来訪することにしたんでしょう」

何か:「やってられるか、侵入者は堂本と同じ生体変換を持っているんだろ?」

オパーチ:「はい、D-ダイビングアーマーと読んでおりました。」

何か:「奴らをオミク共にけしかけろ。」

オパーチ:「お待ちください、オミク様方を傷つけてはなりません、もし原子力施設が事故を起こしたら、

民の受け入れ先がなくなります。それに神様だって負傷したら治療する場所がなくては困るでしょ。」

何か:「お前は何様だ!神である俺の言うことに逆らうな馬鹿が、ぶっ殺すぞ。

あいつらのつまらん説教など聞いてられんだろうが、鬱陶しい奴らはチャンスがあるうちに消してしまえ。」

オパーチ:「かしこまりました、では贄の踊り食いを用意いたしましょう。

異界人を欺くためには正常なものを使うことになりますが如何でしょう。」

何か:「ぬ!?、なるほど;仕方あるまい、俺も選別に立ち会おう。」


 気配で目が覚めたダイヤは、戸口に視線をやる。

ダイヤ:「サファー?」

ベットから起き上がり、ドアを開けて通路を見たが誰もいない。

貝たちは口を開けて漏斗から水を吐いているだろうか、見てみようとベットの下を覗き込んだ。

熊!?なにか黒い毛むくじゃらが潜んでいる、目が合って。

ブラン:「ナニモイマセンヨ」

ダイヤは立ち上がり、再びかがんで。

ダイヤ:「しゃべれるの!?」

ブラン:「イナイッテバ」

引きずり出されるブラン。

ブラン:「まって、やめて!怪しいものじゃありませんから!警察呼ばないで!」

ダイヤ:「騒ぐと見つかるわよ、あなた異界人ね」

ブラン:「あーそうだ、ヒト科と信じてもらえないけど異界から来た人間さ」

ダイヤ:「聞きたいことがあるの、異界では・・・・誰かに従わなくても、共同体を存続させることは可能なの?」

ブラン:「いきなり難しいこと聞くよな、まず、父ちゃん母ちゃんがいて子供は従うよな、

その父ちゃん母ちゃんは村長やら神父やらに従い、村長や神父は国もしくは都道府県の勧告に従う。

みんな共同体の行政に従って共同体の一部になって公共の恩恵にあずかる、

逆に従わずに脱税したり公共の道路で暴走したり不法投棄したり勝手やられたらみんな困るじゃん、まあそんなとこだな」

ダイヤ:「ごめんなさい、そういうのはわかってるの、ただ知りたいことについての説明が難しいの」

ブラン:「おれ、説明頑張ったんだけど?;」

 通路が騒がしくなった、ダイヤはそとに出て集団に加わる。

ダイヤ:「何が始まるの?」

サファー:「生贄を来訪した頭領達に与えるんだと。」

 広間に子供たちが集められていた、首がねじれたり、震えて倒れそうになってたり、

目が張れて手探りしてたり、いろいろ障害を抱えてるようにもみえる。

男:「諸君は最後の時まで誓うか、神様のおやくにたてることを」

子供ら:「誓います、どうぞ僕たち私たちの血肉を神様のお役に立ててください。」

その答え方は健常者のようだった。

オパーチがやってきた。

オパーチ:「違うぞ、今回は失敗者を使うのではないぞ。」

つづいて何かがやってきた。

何か:「今日は正常な子供の命を使わせてもらおう」 

子供ら:「ああ神様だ!我らの神様!崇高なる神様!」

狂気じみてほめたたえてる、ブランが陰から覗いてみると、奇妙な怪物が子供らの向こうにいた、

足元は子供に隠れて分かりずらい、頭から胴体がウーパールーパー、尻尾はサソリ、腕と指のある手があって、

なぜか足はナイフのような昆虫の脚ような六本脚。サメのような口に伸び縮みする唇、瞼の無い目、左右のえらのような赤い突起物。

そいつはしゃべるし、人間を配下にして神様と呼ばせている。

ブラン:「ああ、こいつのことか・・・」

ヤモリが視線を一点にして固まる。

ヤモリ:「お!お!かわいいなこいつ」

一団の中の女児に目をつけ、尻尾の赤い先端を自身の背中や壁や床に擦りまわす。

突然その尻尾を振り先端の針で女児の腹部を突き刺し、壁に押し付けて尻尾を激しく震わせる。

オパーチ:「いけません神様!、今は成人の儀ではありません、お止めください!」

やもりは興奮しながら尻尾を女児から外し、バツが悪そうに帰って行った。

床に倒れた女児は大人に抱えられたが、耳から触手が伸び出でて蛇のようにのたうっていた。

戻ってくるダイヤに声をかける。

ブラン:(ダイヤ!)

ダイヤ:「なにやってるの、見つかるわよ」

ブラン:「なんだい、あのペドフィリアの化け物は?」

ダイヤ:「ペドフィ?なんて?」

ブラン:「HENTAIの化け物」

ダイヤ:「サア、ワタシニハワカラナイワ、アレガナニヲシテイタカモ ワカラナイ ワカラナイ」

ブラン:「おっおう・・・・;」


地上に洞窟の天井が崩落してできた穴がいくつか開いており、アメーバが落ちて餌が来るのを待っていた。

そこに来訪した集団により薪がくべられ、火をつけアメーバを払い、道がつくられた。

先の怪物と同じ種の怪物が、集団と共にその道を通過した、続いて二匹目、三匹目と同じく集団を引き連れて通過した。

それらは洞窟を進み、先の住民らに迎えられ、地下湖に入った。

 オミク:「ジーカーはどうした、出迎えに来なかったぞ。」

オパーチ:「ただいま取り込み中でして、しばらくお待ちください」

デルタ:「居留守か、あのバカはまだガキの様なことをしてるのか」

ミュウ:「ジーカーは自分のことをまだ神様と呼ばせてるのか?」

オパーチ:「ええ、主の希望で呼称はそのようになっております」

三匹は失笑した。

ミュウ:「神様とやらは地下に引きこもってろくに奇跡も起こさずに信者の子供を食ったり犯したりしてるんだろ。」

デルタ:「不潔で怠惰な神だな、知恵もなければ能もない」

オミク:「例の異世界人はどうした」

オパーチ:「休息しております、原子力の仕事に使わせていただき、彼が疲労しましたので」

オミク:「異世界人とその技術を使って異世界を侵略すべきだ、我らはアメーバに侵された地から脱出し、もっと豊かで安定した生活を実現するべきだ」

ミュウ:「まだ居座るのか、赤い城のために、ダイヤが次元の裂けめができるときに城は焼失したと言ったではないか、

そもそもジーカーは自分になぜ城の相続権があるのか疑問を持たないのか?、どう考えてもおかしいだろ」

デルタ:「だからジーカーがダイヤに相続するという話を勘違いしてるのだろうて、あいつは頭が足りないから自分の都合がいいように解釈するんだ」

オミク:「ジーカーが出るまでここに座り込む、本人と直談判して夢から覚めてもらわなければ。」

世知辛い話をしながらオミクは煙草をくわえて火をつけた。


 原子力発電所は洞窟をくりぬいてすえつけられていた、

中央に原子炉を囲む金属の建屋とレンガ積みの塀があって、パイプや電線が周りから渡されている。

壁際に管制室の建物があり、二階がガラス張りで中が見える。

そして原子炉の右にドリケラー1が置かれていた、堂本はここまで掘り進んできてたのか。

レンリ:「あの車両を見に行ってもいいか?」

兵士:「なりません、我が軍の押収品には指一本触れさせるなと命じられています。」

モグラス:「堂本君はここで働いてるんだろ?どこにいるんだ?」

兵士:「現在お会いにはなれません。日を改めください。」

レンリ:「無理よ、一日でも早く仕事を片づたいのに行ったり来たりできないわ。

やぶへびで他の仕事が舞い込んで来たら永久に解決しないから。」

モグタック:「そうよ、こっちは恋だっていそがしいんだからね、ぷんぷんっ」

レンリ:「どうしてそんな嘘つくの」

兵士が呼ばれて向こうへ行ったとき、後ろから声をかけられた、横穴のふちに男児がいて、手招きしている。

近くへ行くと小声で話し出した。

男児:「助けてください、僕たち竜の生贄にされるんです。」

レンリ:「生贄?なんで?」

男児:「竜が暴れないように子供をささげて諌めているのです、僕たちは食べられたくない、

どうか悪い竜を退治してくださいD-ダイバーにしかできないのです。」

レンリ:「堂本は?」

男児:「大人たちが囲い込んでてダメなんです。」

モグオチンチン:「ヒーローじゃんやったね!、倒したらみんなの手柄にしようね!」

レンリ:「まてこら、・・・・相方どこいった?」

モグチンチンオ:「お話ししようぜベッドまで+十+」


 地底湖の空間に子供たちが入ってきて石の台座までやってきた。

子供たち:「わたしたちは饗宴の供物、生贄の踊り食いでございます。どうぞお召し上がりください」

オミク:「えらいええもん出してくれんな、なんだ?詫びのしるしか?」

デルタ:「こいつは話し合いがまとまりそうな気配がするぜダンナ、ジーカーにしては気が利いてますぜ」

ミュウ:「・・・? ・・・ちょっと用足してくる」

オミク:「では頂くとするか」

デルタ:「頂きまーす」

怪物たちは子供をつかんで手足から噛み千切り、飲み込んではもう片方食いちぎり、

腹部を噛みちぎって飲み込み、胸部をかみ砕いた、残った頭を割って湖に落とした。

ミュウは離れた水上から様子をうかがっていた、自分の配下の人間たちにジェスチャーで指示を出した、

ミュウの手下は湖の外郭を回り込んでいく。

オミク:「何だ?ミュウの奴・・・」

突如入り口で打撃音と叫び声がした後、次々大人が飛ばされ、オミクらの手下たちは銃を発砲して応戦した。

そのものらがなぎ倒されてレンリが前に飛び込んできた、ソルレイドハンマーを構え、島の台座へ一気に振り下ろす。

岩が木っ端みじんになって飛散し、のけぞったオミクらの胸に食い込んだ。

子供らは吹っ飛んで砂地に倒れる。

モグラス:「ケガしてたら治療すればいい、子供だけをな。」

地底人が子供を引っ張っていく間、レンリはハンマーをデルタの頬に打ち込んだ、デルタの顔が打撃で削ぎ取れ、のたうち回る。

オミクは水の中に逃げ込む、レンリはソルレイドの収納を確認し飛んで水面から打ち込んだ、水中にソルレイドハンマーの打撃圧が加わり、

大砲の弾のような衝撃波がオミクに命中した、体が弾け、ショックで水中に上がって来る。

ミュウ:「ああ!」

レンリがとどめの一撃を加え、オミクの体は砕かれ弾け飛ぶ。

そしてレンリはミュウの間合いに入ったが、ミュウは壁際で縮こまって怯えている。

レンリ:(この程度の怪物が暴れて困っている?)

モグ○○○:「レンリー!!」

レンリは地底人と子供らがいる横穴へと飛んだ。


 その後、オミクらの手下たちは並ばされて銃殺、デルタは火炎放射器で焼かれた。

その炎に水面が照らされ、映り込んだ火の光をかき回し、ボートが進んでいく、

そしてミュウのもとへ来たとき乗っていた堂本、全身甲冑のアストロバイオアーマー、D-ダイバーが銛を投げ打った。


 フックに刺さった豚をリモコン操作のウィンチで吊し上げる、サファーは首からダラダラと血が流れる豚の全身を熱湯シャワーで洗う。

ダイヤ:「サファー」

振り向かずに相槌を打つ。

ダイヤ:「異界人はどうなったの?」

サファー:「知ってどうするの?」

ダイヤ:「知りたいだけよ」

サファー:「西へ向かったって、ペリードが連れて行ってる」

ダイヤ:「ペリードが?」

サファー:「追いかける気じゃないでしょうね、それよりも解体手伝ってよ」

ダイヤ:「・・・分かった」

ブラン:「にしても太ってんなー何喰わせてんの?」

サファー:「?クレソンとか山芋とか栽培して飼料にしてる」

ブラン:「山芋!?イノシシの好物だ、なるほど」

サファー:「どちら様?」

ダイヤ:「あああ」

ブランは包丁をとって豚の毛を削ぎ始めた、白い目出し帽と作業着で雪だるまのようだ。

サファー:「男手がないときつかったから、誰でもいいわ」

サファーも削ぐ、その後首に刃を入れ、大きなハサミで頭をつかんで胴体を抑えながら横回しにねじ切り、

降ろして腹を割り腸を取り除いてタオルで中をふき取り、背骨を斧で切り出し、二枚におろす。

アバラ骨をとって足を切り、胴をサファーの言う寸法で切り分けた。

脚の骨の切り出しはサファーがしておくという。

サファー:「ありがとう助かったわ」

 ダイヤとブランは豚の頭とあばらをひっさげて帰った。

ブラン:「ずっと気になってたことがあるんだ、サファーも他の奴らも、翻訳機を切って聞いてると口がもごついたり、

言葉じりに、ツッ ツッ と変な音を出したりしてる、彼らは口の中に何か含んでるよね。

それと神様にやられてた子、耳から触手が出ていた、そして他の子は目が腫れたり、首が捻じれたりしてた、

俺の推測だけど、失敗者ってのはあの触手が本来あるべき場所に行き当たらなかった子供のことを言ってるんじゃないかい?」

ダイヤ:「ブラン・・・もう・・・」

ブラン:「強いて言えば、奇妙なのは君だよダイヤ、他の人間は滑舌悪いのに君だけが流暢にしゃべってる、

そして失敗者なら生贄にして処分されたはずなのに君は生きている。

・・・・そして、なぜか食事を十分与えてもらえず、海まで行って貝をとって食べてる。

僕は見たんだ、君が浜辺にいたのを、そしてここに来た時、海の臭いにつられて貝の入った甕を君のベッドの下で見つけた。

君は一体何者なんだ?」

ダイヤ:「ブラン・・・私は特別でもなんでもないわ、普通の人間・・・それだけよ。」

ブラン:「ダイヤ、僕に協力してくれ、君しか人間はいないんだ。」

ダイヤ:「でも、もう無理よ、サファーが言ったでしょ、ペリードっていう子がいるって。

ペリードは成人なのよ、体は子供だけど、中の、神様の半身、ジーカーのその半身は成人なの。」

ブラン:「成人の儀か!そういうことか、ならば一刻を争う!ダイヤ、地上から追えないか?」

ダイヤ:「ええ!?地上?あそこはアメーバで覆われてて、なにがあるかもわからないわ」

ブラン:「地図がありさえすればいい、俺たち地底人は地磁気が分かるんだ、後は根性で何とかなる」

部屋の本棚から地図を引っ張り出した。

ダイヤ:「地上の文明が滅んでから千年たつわ、これに載っている通りとは限らない、風化したり地殻変動で移動しているかもしれないの」

モノクロのコピーで字がつぶれたりしてるが、現在地の印が赤鉛筆でつけてある、使える。

西に地下鉄と地下街がある、うまくいけば地下鉄の出入り口からいける。

ダイヤ:「わたしも連れて行って」

ブラン:「うん、 え? 」

ダイヤ:「言ったでしょ、ここの常識じゃない、異界の事が知りたいの」

ブラン:「知ったって、マジでがっかりするだけだよ?」

ダイヤ:「ここより人間らしい人間の社会があるんでしょ、あの裂け目を前にして、わたしは怖くてくぐれなかった。

昔ね、赤い城ってところに行ってたの、そこではなんでも手に入って、自分の思い描くものも形にできたの。」

ブラン:「え、臨死体験!?あの世では欲しいものがなんでも手に入って、寺院仏閣、神の御許、蜂蜜と牛乳の川、かわいこちゃんウハウハ」

ダイヤ:「ちがうわ!、とにかく、私は昔の文明のアニメというものをそこで見て、スキなったから自分好みのアニメを作ろうとしたの、

当然大量の作画なんて一人では書けないからアニメビルダーというソフトを使って人工知能で作ったの」

ブラン:「開口一番に、くれ!」

ダイヤ:「もうないわ、赤い城ごと消えたもの。それでね作ってみたのはいいけど、作品に感動も共感もわかなかったの、

自分の経験とアニメビルダーの描く平和な日常は大きくかい離していたから、

なんど試してもアニメビルダーは私の体験した被虐的で理不尽な世界を理解してくれなかった、

そのうちわかったの、おかしいのは私なんだって、頭がおかしいのは私なんだって」

ブラン:「なるほど、それで異界への添乗員が必要になったんだな、マジで消えちゃったの?アニメビルダー?」


 地上、日が沈んで海に向かって風が吹き、寒気を感じる。

ブランはアメーバに隠れていた地面の扉を押し上げ、ビニールに包んだダイヤを運び出した。

体制を変えて肩車して進む、地図をリストバンドの明かりで照らす、

方角を確認し、ふと、次元断層の位置にある敷地の線に気付いた、図からして大きな建物があったようだ。

ブラン:「ダイヤ、ここなんて書いてあるの?」

ダイヤ:「シュリン城、それが赤い城。」

ブラン:「???城に行ったっていつの話?」

ダイヤ:「6年前、次元の裂け目が現れるまでそこにいたの」

ブラン:「モスクレのことじゃないの?次元断層、ていうその裂け目の向こうにある国。」

ダイヤ:「別に信じなくても構わないわ」

ブラン:「参ったな・・・・、微妙な真実味がわいてきた・・・・」

 アメーバを藪漕ぎしながら西へ進み、真っ暗になってリストバンドの頼りない光だけで先を照らしていた。

窪地を見つけた、どうやら土砂で埋もれているらしい、ダイヤを入れたビニールの口を軽く縛る。

ブラン:「重曹をこぼして、匂い消しになるから」

ダイヤは袋に入った白い粉を返した、粉が舞って咳き込む。

ブラン:「ピリオド、パワーモード」

AIピリオド:「パワーモードに切り替えます」

ブランは爪で掘り始めた、階段が出た、そのまま掘り進んでシャッターに行き着く、よがんで内側にめくれていたため、すぐに隙間を見つけた。

階段を上って土を押し出した後、ダイヤの袋を開けた。

ブラン:「開いたよ、先にいって」

鈍いアメーバに穴をふさがれるより先にダイヤは滑り込んでシャッターを潜った、ブランも後から来た。

 暗い坑内を薄明りを頼りに進むと、商品棚に地下水の成分が張り付いて、赤茶けた鍾乳石の様になったものがある、

プラスチックのパッケージやガラスビンは千年そのままの状態で中身はどれも黒く、ほとんど泥水だ。

衣料品らしきものはポリエステル以外ボロボロの糸くずか何かがハンガーにかかってる有様。

パイプ椅子だったらしい、スポンジの付いたさびだらけの残骸がカウンターの下に転がっている。

ブラン:「つわものどもが夢のあと・・・・」

天井のボードがどこもかしこも剥がれて、アルミの差し渡しが丸出しでコンクリート由来の鍾乳石が付着し、

その上のコンクリの亀裂と露出した骨材の砂利で凸凹の穴から水がぼたぼた落ちてくる、天井照明は使い物にならない。

真っ暗闇が永遠に続いて、レンリたちを見つけられるのか幾分不安になってきた、

運が良ければレシーバーが反応する、それは電波を遮る壁が無くて、相手がレシーバーのスイッチを入れていればの話、

今のところ何の電波も拾ってくれない。

ダイヤ:「ヘーイ!!・・・・ ヘーイ!!・・・・」

ブラン:「オーイ!!・・・・ オーイ!!・・・・」

水の滴る音が絶え間なく続き、それ以外の音はいっさい無かった。


 レンリらは地下鉄のホームに来た、乗降場と乗降場の間の線路だったところが川になっていて、レンリらはその川をさかのぼって入ってきた。

乗降場に子供らをあげて、階段を上り駅のホールに行く、柱がいくつもあって何かのブースのあとが散見され、

中は朽ち果てテーブルだったものがささくれた朽ち木の残骸となり、白いプラスチックの化粧板の残骸が変形してそれに乗っかっている。

一か所厨房だったところがステンレスの壁と調理台とで原型をとどめており、中に入って冷凍庫を開けると動いてて霜で埋まってた。

モグ○○○:「でぇ!?電気が来てるぞ?」

照明のひもを引くと明かりがついた、地下水が来てなかったため保存状態がいい。

モグ○○○:「食いものは全部干からびてる、ビーフジャーキーだと思えば食えるかも」

レンリ:「ガスが来てない、元が生肉なら無茶しないほうがいいよ」

モグ○○○:「ファイヤーモード使ってよ」

レンリ:「燃費が悪いもん、こんな極地で電池切れはごめんよ」

モグラス:「充電はできんかね、先の打ち合いでシールドに使って消耗してるんだ」

レンリが配線の口に手甲を当てて確認したところ、周波数が合わない。

レンリ:「ちょっと難しい、周波数を合わせるのに手間暇かかるけどやってみる?」

モグラス:「できるならやってほしい、お願いよ」

モグラスのリストバンドと配線口をコネクタで繋いで、レンリのアーマーで周波数を変換する。

見ていた子供が聞く。

男児:「ずっと握って充電するの?時間かかる?」

レンリ:「10時間くらいかかっちゃうかな、ワット数が足りない。」

モグラス:「半分でいいよ、半分以下でもいい」

モグ○○○:「繋ぎかた変えて、アーマー直接つなぎの充電にしたら?エネルギーのロスを大きく減らせるんじゃない?」

レンリ:「試してみる」

コネクタコードをもう一本出してアーマーを外し、内側の接続口につないだ。

ゴーグル内表示の充電時間が短縮された。

レンリ:「うまくいったみたい、6時間になった、半分でいいなら3時間で済むわ」

モグラス:「2時間でいいわ、ありがとー」

突然レンリの左腕に痛みが走った、何かに刺された_見ると男児の口から触手が伸び、その先端に針が_

モグ○○○がつかみかかると男児は抵抗し、その他の子供がとびかかり、隠し持っていたスタンガンでモグ○○○に電撃を加えた。

男児は逃げる、そのときレンリは入口付近に置いていたソルレイドハンマーを起動させる、ソルレイドの作動でハンマーが弾け飛び、

男児に命中した、男児はくの字にへしゃげて倒れた。ほかの子供らはホームの方へ逃げていく。

モグラスたちは追いかけていく、レンリは腕の傷を見つつ、アーマーからコードを外す。

 ホームに降りた際、モグ○○○の後ろから一人だけ隠れて待ち伏せしていた子供がスタンガンで電撃を加えた。

モグ○○○:「ま゛た!?」

モグラスが振り返ったとき、ドリケラー1に似た地底戦車がホームに轟音を轟かせて走りこんできた、子供らがそれに飛び乗り、

モグラスの横を通ってモグ○○○の方へ。

モグ○○○は子供たちにつかまって地底戦車の中に押し込められた、

その間モグラスはライフルを構えていたが子供を撃てなかった。

地底戦車はそのまま走り去っていった。

レンリが駆け下りてきた、

レンリ:「モグ○○○は?」

モグラス:「さらわれた」

レンリ:「何で撃たなかったんだ?」

モグラス:「無理じゃ、相手は子供じゃ。」

ライフルを杖にし、跪くモグラス。

レンリ:「なに言ってんだ、しつけだと思って撃ち殺せばよかったんだ」

モグラス:「んな無茶な」


 ブランは地響きを感じ音を聞いた、音の強くした方へ歩を早めるとレンリとモグラスの姿があった。

ブラン:「レンリー!モグラスー!」

レンリ:「ブラン!?なんでこんなところに?」

駆け寄ってきたブランとダイヤ。

ブラン:「モグ○○○は?」

レンリ:「今度はあっちがいなくなった」

モグラス:「面目ない、今しがたさらわれてしもうた」

ブラン:「何だって!?」

ホームへ降りようとするブランを止めるレンリ。

レンリ:「待て、奴らドリケラー1のコピーを作ってる、ヘタに手を出すと今度は蛇が出るかもしれない、

それよりも情報収集して勝算を見積もった方がいい」

ブラン:「そんなこと!言ってられるかよ!モグ○○○が寄生されたらもうどうしようもないだろ!」

レンリ:「寄生?」

ブラン:「敵は寄生虫なんだ!デカいのがいるけど、それはオスで、人の体内にいるのはメスなんだ、

体内にいるメスが寄生した人を操って群体を作ってる、ヒエラルキー上、オスが上位に君臨し人々を支配してるんだ、

そしてオスとメスは交配し、産卵可能になったメスは別の人にタマゴを植え付ける、その産卵管が寄生された人の口内にあるんだ。」

レンリ:「・・・・」

モグラス:「・・・・」

ダイヤ:「ブラン!!、彼女の腕!!」

レンリの腕に丸い穴があって、赤く炎症していた。

ブラン:「刺されたの!?」

レンリ:「・・・・まって」

ブラン:「ダイヤ、取り出せば間に合うか??」

ダイヤ:「タマゴとは違うの、孵化させた幼体を直接植えるから肌を切っても間に合わない、体内の移動速度が速いの!」

レンリ:「待って_ 落ち着いて、わたしはアストロガールよ、そんな簡単に食い破られる体じゃないわ・・・」

ダイヤ:「でも、堂本さんはアーマー着ていて寄生されたのよ;;」

レンリ:「堂本・・・もう忘れかけてたわ・・・」


 甲冑が擦れ合い当たりあう音が就寝室前の通路に入ってきた、

ダイヤとサファーの部屋前で立ち止まりドアを開けて中をうかがうも、誰もいない。

通路の先の物置のほうから悲鳴がし、叱りつけるサファーの声が聞こえた。

堂本は物置の中にいるサファーに声をかけた。

堂本:「母さん、何をしてるんだい?」

サファー:「堂本!?これは!」

サファーは甕を隠そうとしたが、堂本が引っ張り上げた、中には12インチほどもあるヤモリの幼体、オスが入っていた。

サファーの指にかまれた跡がある、堂本はマスクを上げてその指を舐めた、針のついた触手が口から垂れ、糸をひいて指から離れて口の中に納まる。

堂本:「オスは殺すように言われてるじゃないか」

サファー:「それでも、私の子供よ、あなたの兄弟じゃない!、見逃して!」

堂本:「今日は母さんの様子を見に来たわけじゃないダイヤを確認しに来たんだ、

彼女は異界に強い関心を抱いていて僕によく質問していた、彼女はどこだい?」

サファー:「さぁ、わからないわ」

堂本:「神様に報告しよう、ダイヤがいなくなったって」

サファー:「お願い、この子のことだけは!」

堂本:「母さん、・・・・ぐっ!、・・・・それは・・・本当の子じゃ・・・ない・・・;」

サファーは苦しむ堂本の頬を撫で、マスクをしめてやった。


 鉄骨組で補強された広い洞窟にモグ○○○をさらったドリケラーが入ってきた、

三台並んだドリケラーコピーの横につけ、拘束されたモグ○○○を降ろした。

高台から眺めていたジーカーは、オパーチに言った。

ジーカー:「あの異界のものから生態変換を奪い、堂本のと入れ替えろ」

オパーチ:「は?、それでは堂本が弱体化してしまいます」

ジーカー:「堂本のを私のアーマーに組み込むのだ、そして最強にしろ、他に比類なき最強の神にしろ。

堂本は信用できん、奴に子種をやったが、その時奴め、俺にケツを突き出して差し向けやがった、

俺が思うにあれは自分の息子を産もうという意思の表れだったのではないのか?」

オパーチ:「存じませんが、生態変換の件はそのように申し付けましょう」

堂本:「神様、私は肯首致しかねます」

ジーカー:「いたのか!今の話は俺の想像だからな、別に隠し子を持っていなければ気にしなくていいぞ」

堂本は脳裏にサファーのことが浮かび、困惑したがその表情はマスクで見えなかった。

堂本:「神様、ダイヤがいません」

ジーカー:「なんだと?」

オパーチ:「ルルビィ!、お前は道中でダイヤを見たか!?」

ルルビィ:「見ていません!」

 ジーカーは急ぎ足でダイヤの就寝室に向かった、部屋をのぞき、ドアを体をねじるようにしてくぐった後、

タンスを開け、ベッドを返して下を見た、甕があって中身は貝だった。

部屋を出て倉庫に行った、サファーが空の甕を置きに来たところだった。

ジーカー:「待てよ!?甕?」

ジーカーは再びドアを体をよじるようにして部屋に入り、ダイヤのベッドの下から甕を取り出した。

ジーカー:「サファー!!」

サファーはびくびくしながら部屋に来た。

ジーカー:「これはなんだ!?」

床に一盛の貝をあける。

ジーカー:「ダイヤは海辺に行ってたのか!?正直に言え!」

サファー:「申し訳ありません、彼女は海辺に出かけていました、止めようとは思いましたが、

一度空腹で倒れましたので、致し方なく彼女の自由にさせました。」

オパーチ:「神様、あなたが最下級の位に彼女を置くよう命じ、規定に従って食物の量を減らしました、

しかし分配の最下級となると、彼女は労働で消耗する分、とても空腹を満たせる分量ではありませんでした。

先もサファーが言ったように倒れてしまっては命にもかかわるので、私が許可したんです。」

ジーカー:「この俺の許可なしでか!?地上に出せばダイヤが異界に逃げ出す可能性もあるんだぞ!?

お前らは俺が悪いと思っているのか!?それは違うぞ!!百人中百人に聞けば俺が正しいと言うだろう!

俺は千年生きてきた!お前らが生まれるずっと前からだ!この俺が間違えるわけがない!!」

ジーカーはオパーチを爪で引っ掻き、足のナイフの下にして執拗に何度も踏みつけ、突き刺し続け、

血まみれのオパーチをつかむと通路へ出て引きずりまわし、ごみ置き場に叩きつけてまたがり、

糞と尿の混ざった排泄物を尻から出してオパーチの死体にかけた。

それでも怒りが収まらず、吠え、唸りながらドリケラーの広間へ出てきた。

ジーカー:「ダイヤを探せ!海も地上もくまなくだ!!大洞窟に穴を開けても構わん!ドリケラー部隊出動しろ!!」

ドリケラー部隊は轟音を立てて動きだした。


 廃墟、元飲食店ブースの前に男児の死体が転がっている。

ダイヤ:「ペリドット!」

ブラン:「こいつか」

ブランはその子の口を開けた、触手が口内の、舌と同化している。

ブラン:「どうなってんだ?下あごから出てる」

よく見ると、口腔の粘膜の中に管が何本も走っている、それらが舌内で集合して触手になっているらしい。

レンリ:「なんかわかった?」

ブラン:「上だ、やっぱ脳だ」

レンリ:「こうなったら解剖しよう、そこの厨房の中に包丁とかあるからやってみよう」

ダイヤ:「ちょっと待って、ペリドットも人間よ?豚の解体みたいに扱うのは可哀そうよ」

モグラス:「嬢ちゃんの言う通りだ子供に情けをかけてやれよ」

レンリ:「なんで?」

モグラス:「なんでってあるか!あんたも人の子だろ」

レンリ:「何が何でもやるわよ、このクソガキには責任取ってもらうよ」

厨房にペリドットを持っていくレンリ。

モグラス:「ひー、今の若い子はこんなに野蛮なのか?;」

 厨房の調理台に乗せ、道具を勘でそろえた、包丁、アイスピック、肉叩き。

頭の皮に包丁で切れ目を入れて、バイオアーマーの腕力ではぎ取った、この時点でモグラスは気絶した。

次に頭骨にアイスピックを突き立て、肉叩きで打ち込んで穴の線を外周に開けて、

今度は包丁を打ち込んで穴をつないでいく、頭骨の上部が外れると脳がさらけ出された。

ブラン:「上皮にはないと、記録とってる?」

レンリ:「メットのカメラで録画してる、中身が逃げても映像は残るわ、さぁ脳にメスを入れるわよ」

メスというか、さばきというか、脳を平造りにしながら中へ進んでいく、なかなか出てこない。

ブラン:「思い切ってガバっと取ったら?」

レンリ:「どこにいてどうやって操ってんのか分からなくなるだろ」

豆腐のような切れを観察すると糸のような物が混じっている。

ブラン:「これじゃないのか?もしかして本体は線虫なのかも」

レンリ:「油断は禁物よ、ブラン、アイスピックを持ってて」

中脳付近に行き着いたとき、灰白質の下からヤモリが姿を現した、

頭から管が何本も伸びて、切られた糸と繋がっていた、尾は放射状に分散している。2インチほどの小さいジーカー。

突然口をパクパクさせ始めた、10分以上酸素が供給されず酸欠で昏睡していた寄生体が息を吹き返したのだ。

そして後ろ足のナイフで尻尾を切り、跳ねるように飛び出した。

突然の不意打ちに追い付かず、レンリとブランの包丁とピックは空ぶった、

ヤモリが床に落ち、入り口に向かって走っていくところでダイヤが踏んだ。顔を上げたダイヤはみるみる青ざめていく。

ブラン:「グッジョブ。」d

ダイヤ:「ははっ|||」b

 ぺしゃんこになったヤモリを見るレンリら。

ブラン:「思ったより小さかったな」

レンリ:「標本代はパーだわ」

ダイヤ:「?なんで標本代?」

レンリ:「アストロガールの本業は新種ハンターなの、いつの間にか人命救助やら親善大使やら変な仕事がついてきて今こうなったの」

ブラン:「あれだっけ、ジャッスルが養育費のためにフェイク映像作ってセントラルに送った騒動、

あれで厳しくなって標本持ってかないとだめになったの」

レンリ:「リアルすぎてマジで大捜索して収支が赤字になった・・・・」

ダイヤ:「へー、アニメビルダーみたいなのがあるのね」

ブラン:「そうだった、この子、ダイヤっていって、赤い城っていう謎の施設へ行って寄生虫に感染しなくなったんだよ」

ダイヤ:「ちょおっと違うわ、赤い城に行く前に宿らなくなっていたのよ、ジーカーはこれに関して赤い城の約束があると言っていたわ」

ブラン:「約束?」

ダイヤ:「私に手を出さなければ城を明け渡す」

ブラン:「そんな馬鹿な!、なんでも自由に出せて過去の歴史も閲覧できる大切な城をあんなヤモリの化け物に渡すわけないだろ!」

レンリ:「なにそれ、赤い城ってなんなの?」

 ダイヤは語った、追われて迷い込んだ大きな赤い城のことを。

女王のことを、そこでの生活のことを、そして次元断層発生時に城外へ落ち、城が燃えて消え去ったことを。

レンリ:「信じ難い話だ、だが・・・・」

レンリは黙り込んだ、下を向いて考え込む。

ブラン:「彼女はアニメ好きで、千年前のアニメから作られたアニメビルダーっていうAIソフトを使って自分の好きなようにアニメを作ってた、

でもそこで気づいたのさ、千年前の普通の人間たちの感性と今の時代の自分の感性の違いを、だから次元断層の向こうに逃げられなかった、

恐れたんだ、異質な自分が外の世界の人間たちに受け入れられないことを。」

レンリ:「人間なんてどこ行ったって一緒だよ、私たちと話せてて何が問題なんだ」

ダイヤ:「そ、それは~;」

レンリ:「バカバカしい人間どもの集まりなんか放っといて、もっと自然に触れられる所へ行くべきだよ、

木がたくさん生い茂る森や熱帯雨林のマングローブ、地殻変動と風雨によって出来上がった大地の彫刻、山を削る広大な氷河とを。

動物も沢山いる、ウサギ狐シカやイノシシ、オオカミだってタカだって。

異界それぞれ固有種がいる、浜辺の砂粒を数えるほど沢山にね。

寄生虫に感染しなかったのは奇跡じゃないか、旅立って全部忘れてしまえばいいんだ・・・・」

痛みが出て、筋肉がこわばるような感覚と脱力に見舞われるレンリ。

レンリ:(生理?)

苦しみを隠すように歩き始めた。

ブラン:「待ってよ。ダイヤ、君は地上を行け、モグラスにおぶってもらえ」

ダイヤ:「いいえ、地下を行くわ、私 道を知ってるの」


 原発近く。

ダイヤ:「昔冷却のために引いていた水の、水路の流れが変わって、別の方向から水を引き直したの、使われなくなったパイプがこれ」

枯れた水路跡にパイプの端がコンクリの箱に設置してあり、パイプは人が入れるほど大きく、原発まで続いている。

ブラン:「行った先は原発の中だけど?」

ダイヤ:「さらに下流用のパイプがあるの、途中で分岐点があってそこからパイプが細くなるから通路を行かないといけない、

でも、捕虜収容所は分岐点の近くよ」

ブラン:「行こう、・・・・レンリ?」

レンリは立ち眩みをおこしてる。

ブラン:「大丈夫か?」

レンリ:「大丈夫だ、バイオアーマーをつけてるから」

 :(・・・・)

レンリ:「なに?何か言った?」

ブランはレンリの顔を見つめながら何も言ってないと答えた_

 パイプの中を忍び足で移動し、原発の中央ヤードの中へ。

作業員が計器類の監視に来ていたが、そろそろと背後を通り抜けた。

タービンと冷却水の水流の音で耳もつんざくばかりで何も聞き取れない。

 下流の温水の中へ行こうとしたとき、レンリが止めた。

何か言ってジェスチャーしながら外へ、周りをうかがいながら出てヤードの壁をたどった。

ブラン:「レンリ、なにしてんの!?」

レンリ:「ドリケラーだ、放射線の中にダイヤを入れるなんてできないだろ」

ブラン:「よかった、まだまともだ」

管制塔から見えそうな地点で様子を伺う、と、ダイヤがさっさと行く。

ダイヤ:「大丈夫よ見てなんかいないわ」

ドリケラーに乗り込むとプラスドライバーやレンチとネジが転がってシートがなく、中途半端に復元した状態でコンソールの蓋もなかった。

ブラン:「動くの?」

レンリ:「動かない・・・・だけど電気はつく」

カメラがある、起動させるとモニターが付いてデスクトップ画面になった、いろいろソフトがあって、

日誌ファイルもある、中は日付けのついた動画ファイル。

レンリ:「記録映像かな?」

再生すると堂本が映った。

映像堂本:「会社の出した探査スケジュールに間に合いそうもない、なんの収穫もない、

鉱物があるはずのところに何もない、会社の世界とはまるで別の地球なんだ。」

レンリ:「ここらへん愚痴だな」

次の動画。

映像堂本:「まさかの大当たりだ、未知の文明を発見した、ふー!!いつかドキュメンタリー番組の映像に使われると思ってたが、マジになりそうだぜ!」

レンリ:「あ、その手があったか!!」

ブラン:「やめて?、みっともないから」

次。

映像堂本:「来たー!!ついに来た!!イヤッホー!!俺にも春が来た!!地底コロニーの女の子が俺に気があるんだって!!30越えて童貞のままだった、

だけどこれで同期の奴らに見返してやれるぜ!!待ってろよな!!」

レンリ:「は?」

ブラン:「モグラスが当たった」

モグラス:「そんな気がしてたんじゃ」

次・・・・案の定、青ざめた堂本が座っていた。

ブラン:「ハニートラップじゃねぇぇかぁぁー!!!」

映像堂本:「・・・・体の調子がおかしい、サファーは俺に何をしたんだ?・・・・頭が痛い、変な声が聞こえる・・・・神様?に・・・・」

映像は途絶えた。

レンリ:(大丈夫、堂本はアーマーを付けていなかった)

 :(そうであるかのう、生態変換は宿った生命をも強靭にするであろう?)

レンリ:「誰だ!?」

ブラン:「どうした!?」

レンリ:「誰かの声やった」

レンリは乗降口の外を見に行った。

モグラス:「のう、まさかとは思うが・・・・」

ダイヤ:「・・・・」

ブラン:「・・・・レンリ、二手に分かれよう。ダイヤ、モグラスと一緒に引き返して地上から行ってくれ、

収容所の道筋は教えてもらえば行けると思う」

ダイヤ:「でも、複雑だし、見つからずに行くための迂回路も教えられないわ」

ブラン:「気にするなよ、なんとかなるって。レンリ、俺たちは下流へ行こう。」


 ヤードの中の監視員は帰っていた。

ダイヤとモグラスはタラップを上って古い引き入れ管に入った。

 ブランとレンリは温水の中へ入った、流れに乗って進んでいく。

 :(前の男、信じて良いのか?・・・・コロニー市民とともに出てきたであろう?)

レンリはかぶりを振る。

 :(お前をはめようとしておる)

レンリ:(てめえのほうが信用できない)


 ダイヤとモグラスはパイプを出て枯れた水路跡をさかのぼり、地下道についた。

地下の噴水広場跡に来た時、地響きがして広場の彫刻が施された壁を砕きドリケラーが現れた。

ドリケラーの、棘のついた三角錐が三つすり合わせて回転するトリコンドリルが、空の池の上を蹂躙し、

ハッチから頭を出して喚く男がダイヤを呼び、ダイヤたちのほうへ方向転換し迫ってくる。

踵を返して逃げるダイヤらはパイプのほうへ向かった。


 ブランは分岐点のコンクリ箱からはい出し、レンリを引き上げる、レンリは頭痛がしてきて足腰に力を入れるのが苦痛だった。

空気を吸ったあと、さらに頭痛がひどくなり、壁にもたれた。

ブラン:「大丈夫か?」

レンリ:「生きてるから、私はまだ・・・・」

眩暈でハンマーを落とした。


 パイプ内に逃げ、ヤードへ向かうダイヤ達。

追って掘り進んできたドリケラーがパイプを小突き、衝撃でダイヤらは倒れ、パイプの鉄骨支柱が倒壊した。

モグラス:「無事か?」

ダイヤ:「なんとか」

垂れ下がったパイプの中の坂を上ろうとしたとき、キャタピラ音が迫り、目の前の通路が落下し再びパイプ内で衝撃音が響く。

分断されたパイプの口から兵士が入ってきて、逃げるダイヤを捕まえ、引きずっていく。

モグラス:「ピリオド、パワーモード」

AIピリオド:「了解」

モグラス:「これがわしのピリオドじゃい!」

兵士をぶっ飛ばす、外の兵士らに連れていかれるダイヤ、モグラスは飛び出し銃弾を浴びながら兵士らを殴り倒し、

投げ飛ばしながら追いついて引き離し、その兵を旋回してきたドリルにぶち込む。

モグラス:「行けー!嬢ちゃん早く行けー!」

モグラスは折れたパイプを抱えてドリケラーにぶつけた、意外にもドリケラーの機体が衝撃でヤード側にそれて急停止した。

四方八方から兵士や作業員が飛び出してくる、それらを振り払うモグラスだったが、リストが警告音を出し、銃弾が腹の肉を引き裂いた。


 後ろに向かって男たちが走っていき、身を隠したレンリらは聞いた、ダイヤを見つけたという声を。

レンリ:「あとは頼んだ、行ってくる」

レンリは飛んでいく。

ブラン:「おい、レンリ・・・・」

 レンリは兵士らの頭上の隙間をすり抜けて原発の空洞へ行った、ダイヤが駆けてくる その背後にモグラスの死体があった。

ダイヤを捕まえに来るものを叩きながら、ダイヤに駆け寄ろうとしたとき、堂本が走ってきてラリアットを食らわせた。

起き上がって銛の突きをはじく、ソルレイドハンマーを振り下ろし避けられたハンマーが地面を砕く。

つばぜり合いになるも、違和感を覚える。

レンリ:「弱い!?」

押し離し、ハンマーを横殴りで胴に当てると堂本は弾き飛ばされる。

ダイヤの手を引いて逃げようとした、その時。

レンリの体が硬直し、意識が飛び、ハンマーが手から滑り落ちた。

 :(苦しみは今だけじゃ、明日には我らは一つになり、神様のしもべとなるのじゃ。

神様に身も心も捧げよ、さすれば我らの栄光と繁栄は我らの手の中じゃ)

レンリ:(・・・・!・・・・?・・・・・・・・________________________)

レンリの体が宙に浮き、ダイヤの手も手から離れ、すがろうとするダイヤを突然蹴った、

意図したわけではなく、突然動いた、四肢が震え、呼吸が激しくなる。

体が空中で回転し突然飛び上がり、自由落下し、今度は頭から横に飛んで壁にぶつかった。

そこにいた者は皆、何事かと、半分知ってはいるものの、突っ立って見ていた。

砕けた壁に頭をこすりながら下降し突然反対方向に飛んで、落下しさらに飛んで、原発のヤードにぶつかり、角からえぐるように破壊した。

作業員:「原子炉を破壊されるぞー!!」

発砲が始まるも通用しない、カクカクと変則運動し、再びヤードに当たって貫いた。

堂本は飛び、レンリを捕まえる、けいれんしており、銛を弾き飛ばされる。

堂本の体重の分だけ地面へ接触しやすくなった。新設の冷却水パイプに当たり、水が噴き出す。

ドリケラーコピーが再起動し、レンリを追う。

送電ケーブルに絡まった、だがケーブルごと送電塔を引き倒しさらに暴れる、口から泡を吹き猛烈な力で手足を震わせる。

堂本が必死になって抑えているところに、トップギアでドリケラーが突っ込み、二人はドリルに飲まれ、ドリケラーの後方から

転送されたスパッタ(鉄の火の粉が)噴出し舞い上がった。

ダイヤ:「レンリさーん!;;」

ダイヤを捕まえようとする兵士を自力で振り払い、駆けて、送電ケーブルの断線により真っ暗になった通路の穴にダイヤは涙を流しながら飛び込んだ。


 居住区一帯が停電し、捕虜収容所も暗闇に飲み込まれた。

看守が懐中電灯を手探りで探し、蝋燭をつかんだ。

看守:「蝋燭かよ、ライターがいるじゃん」

ブラン:「ライター貸そうか、見えないから取ってくれ」

ライターを投げる、見張りはそれを拾い、明かりをつけた。

椅子でぶん殴って気絶させる。

蝋燭の明かりで牢屋の中にモグ○○○がいるのが見える。

看守の懐から鍵を取り、開けて近くに寄った。

ブラン:「モグ○○○」

モグ○○○はゼーゼー息をあららげ、起こしてやると床に血が溜まっていた。

朦朧とした顔と血まみれの口、自分で立っていられない。

ブラン:「奴らに何をされた?」

モグ○○○:「ゴホッ・・・・首を刺された」

首筋に穴があり腫れあがっていることを手触りで確認した。

モグ○○○:「首痒いし、胸が痛い」

ブラン:「頭は痛くないか?」

モグ○○○:「いや、息が苦しい、奴らなんか人間じゃないから脳に行かなかったって」

ブラン:「そいつはラッキーだ。脳にいってたらヤモリに乗っ取られてたぜ」

モグ○○○:「ヤモリ?」

 ブランはモグ○○○を連れて水路に向かった。向こうの壁で蝋燭の明かりが重なって明滅し話し声が聞こえる、迂回しなければ。

迂回路は分からないが地磁気で方角は分かった。右へ左へ歩いていくうち、水の音が聞こえてきた。

ブラン:「モグ○○○、もうすぐだぞ」

相棒がせき込み、崩れ落ちた。

ブラン:「しっかりしろ、あと少しだって」

モグ○○○:「息が苦しい・・・・」

ブラン:「ピリオド、パワーモード」

AIピリオド:「了解」

相棒を抱えて水路へ向かう。

モグ○○○:「お姫様抱っこなんて野郎にやるなよ」

足が水につかった。

ブラン:「あとは出口までまっすぐだ」

後方から喧騒と足音が響いてくる。

深みに足を取られながらモグ○○○を抱えてザブザブと進んでいく。

ダイヤ:「ブラン!!」

ブラン:!!

振り向いて水をはねながら近づいてくるダイヤを見た。

ブラン:「レンリとモグラスは?」

ダイヤ:「死んじゃった・・・・」

沈黙した。だが、追手の足音が迫っている。

ブラン:「急ごう」

腰まで水につかり、歩みが遅くなる。

モグ○○○:「置いてけ、俺を置いてけ」

ブラン:「馬鹿言うな、お前を置いていけるわけないだろ」

天井が低くなり水没しながらくぐっていく、水から相棒が出た

ブラン:「大丈夫か!」

モグ○○○:「ゴホ、言ってよ」

坂を滑り降りて持ち上げていこうとしたとき。

モグ○○○:「おろして・・・・」

モグ○○○は苦しそうに呼吸している。

ブラン:「追手が来る、急がないと」

モグ○○○:「ブラン・・・・ありがとう・・・・」

ブラン:「おいチーズ、しっかりしろ!」

モグチーズ:

モグチーズをおろすブラン、息をしていなかった。

ブラン:「・・・・チーズ?」

ダイヤ:「ブラン、もう・・・・」

ブランは胸に耳を当てて心音を聞こうとした、静かだ、水の流れる音がモグチーズの体を通して聞こえる。

ブランは立ち上がり水路を突っ走った。

出口の光が届きはじめ、鍾乳石が見えてくる。ダイヤは必死になってブランを追いかけ、ようやく出口を抜けた。

だが浜辺を横切って駆け抜けていく。

ダイヤ:「ブラン!?」


 工業区域の電気は途切れていなかった。

そこでは数十人の開発者によりジーカーのために仕立てられた赤いアーマーが組み立てられ、

コンピュータを接続しソフトウェアを導入するばかりとなっていた。

開発者:「神様、筐体はできましたが、中身の指令塔の指南書が未完成です、そのまま着用すると死に至る危険性があります」

ジーカー:「ならどうする」

開発者:「人体実験でデータを取りながら調整するほかありません」

ジーカー:「なるほど、おい、お前」

開発者B:「はい」

ジーカー:「前から思ってたが、お前知的障碍者だろ、実験台になってこい」

開発者B:「は・・・・はい!」

開発者Bはスチール架台に据え付けられた大きめのアーマーに入り込んだ。

開発者C:「プログラム導入完了、起動実験開始。3、2、1、スタート」

開発者Bの筋肉と臓器が捻じれ膨張し、爆発して肉片が飛び散った。

開発者A:「ソースコードを書き換えろ」

ジーカー:「次はそこのお前が行け!、いいとこに納まりやがって!」

骨と肉片が片づけられ開発者Dが入りこんだ。

開発者C:「プログラム導入完了、起動実験開始。3、2、1、スタート」

開発者Dの筋肉と臓器が捻じれ膨張し、爆発して肉片が飛び散った。

ジーカー:「次の奴は誰だ」

開発者A:「お待ちください神様、開発する人間は高度な知識と技術を持っているのです、貴重な人間が減らされると作業が滞ります」

ジーカー:「ならば成績の悪い奴を工場から引き抜いてこい!」

 開発室に作業員数名が連れてこられた。

骨と肉片が片づけられ作業員Aが入りこんだ。

開発者C:「プログラム導入完了、起動実験開始。3、2、1、スタート」

作業員Aの筋肉と臓器が捻じれ膨張し、爆発して肉片が飛び散った。

ジーカー:「まだかよ!!#」

骨と肉片が片づけられ作業員Bが入りこんだ。

開発者C:「プログラム導入完了、起動実験開始。3、2、1、スタート」

作業員Bの筋肉と臓器が捻じれ膨張し、爆発して肉片が飛び散った。

骨と肉片が片づけられ作業員Cが入りこんだ。

開発者C:「プログラム導入完了、起動実験開始。3、2、1、スタート」

作業員Cの肉体が強化され、呼吸脈拍が安定した。

開発者C:「安定しました」

アーマーから作業員Cが出たあと、ジーカーはアーマーについた血を手でぬぐった。

ジーカー:「赤い城の赤い鎧、赤い神だ。そして・・・・」

ジーカーは隣の架台から銀色の槍を取る。

ジーカー:「このゴッドスピアによって異界の軍勢など地上から一掃してくれるわ、世界は俺が神だと知るだろう。

ふふふ・・・・はははははは」」

開発者:「今までは人間で調整しましたので、次は神様となりますが」

ジーカー:「はははは・・・・は!?」


 浜辺を走ったさきでダイヤはブランに追い付いた。

岩陰に海藻がのっかった迷彩シートがあって、それをはぐると大量のフナムシが逃げ出し、

そこに砂まみれの巨大なキャリーバッグが現れた。特につなぎとめもせず、波に流されていなかった。

かまわずブランは暗証番号を入力し、開けて中のアーマーを取り出した。

ブラン:「見てろよ!」

自分の胴にかぶせて無理くり肉を収め、手足の装甲をはめ、メットを被った。

ブラン:「起動!」

AIコマンド:「AIアシスタントのコマンドです、登録者ブランさん、体質が合いません」

ブラン:「無理にでも動かしてくれ!」

AIコマンド:「6キロ痩せてください」

ブランは愕然とし、キャリーバッグからモグチーズのパンツを取り出し、匂いを嗅いだ。

ブラン:「栗の花の香りが少し残ってる・・・・気がする・・・・ああ」

ダイヤ:「ブラン!」

ブラン:「なに?」

ダイヤ:「私が着る」

ブラン:「君は・・・・無理だろ?相手は君の一族だから」

ダイヤ:「そんなの関係ない、私は彼らが家族だって一度も思ったことない。」

じっとブランを見つめている。

ブラン:「?」

ダイヤ:「言ってなかったことがあるの、それはね、赤い城から帰った時、元の世界では数分しかたってなかったことなの。

赤い城で3年間過ごしてきたと思ってたのに体も成長していなかった」

ブラン:「つまり・・・・いや まって」

ダイヤ:「私は夢を見ていたのかもしれない、あなたたちを巻き込んでしまったのも私の責任なの」

ブラン:「違う!ジーカーだ!、あの化け物がコロニーに寄生したのが原因だ!」

ダイヤ:「ブラン、アーマーを渡して、私が全部始末をつける」

ブラン:「だけど!」

ダイヤ:「お願い!」

ブラン:「・・・・」

ブランは震えながらアーマーを外し、ダイヤに渡した。

ブラン:「まだ手がある、外の世界から軍隊を呼ぶんだ。」

ダイヤ:「それはブランにお願いするわ」ダイヤはアーマーを着て、

ダイヤ:「胸がなんかスカスカ・・・・レンリさんって」

ブラン:「君が離れ乳だからだろ?」

羞恥心を示し、胸を隠すダイヤ。

ブラン:「えっと、とにかく俺は次元断層に行く!」

ブランは崖を上っていく。

キャリーバッグの中にレーザーシザーがあり、ダイヤはそれを手に取って眺める。

アーマーを起動させると、ゴーグル内に異界の言語が羅列され、収束し、ダイヤの知る言語になった。

AIコマンド:「AIアシスタントのコマンドです、登録者情報がありません」

ダイヤ:「ブラーン!、登録してくださいって出てくるんだけどー!」

ブラン:「めんどくせ、ちょっと待ってー・・・・リストバンドから許可証を飛ばしたからやってみてー!」

許可証が表示され、OK操作。

AIコマンド:「新規武器の登録です レーザーシザー/開発者:アールグレイ 取り扱い説明書です。」

ダイヤ:「これハサミでしょ?」

起動させるとレーザーの刃が出た。開閉させたり、振ったりする。

ダイヤ:「カンタンじゃないこんなの。」

 海に突き出た崖の向こうから、キャタピラ音が響いてくる。

ブラン:「ダイヤー!」

ダイヤ:「わかってる!」

崖の端から兵士たちの姿が見える。ダイヤはキャリーバッグの蓋を閉めた。

音が大きくなってくる、ダイヤはバイザーを上げて身構えた。

崖の右端からドリルが現れ、海につかりながら旋回してくる、兵士たちがぞろぞろとついてきて、ダイヤの方へにじり寄ってくる。

あと数メートルか近づいたところでダイヤがしかけた、一手二手よけられる。

ダイヤ:!!

兵士:「シールドを削るぞ!」

兵士らが発砲し、ダイヤは飛んだ、コントロールの仕方がわからず一団の中へ飛び込み倒れて起き上がりハサミを振りまわした、

一人に当たり、腕を焼き切った。

再び飛んでドリケラーに取り付き、ハサミで挟んで切ろうとする。

ブラン:「ダイヤ!雷撃モードを使え!」

ダイヤ:「ブランまだいたの!?」

AIコマンド:「レーザーシザーがアクセスを求めています、管理者権限で許可しますか?」

ダイヤ:「なにそれ」

銃弾が届かないドリケラーの上の裏手に逃げつつバイザーを下げた。

ブラン:「とにかくモードを見つけて、決定だ!」

ブランに向かった銃弾が岸壁で跳ねた。

ダイヤ:「表示が邪魔、わかんない、決定で」

AIコマンド:「了解しました、・・・・AIプランに切り替えます」

いきなり再起動、弾が皮膚をかすり、慌ててドリケラーを飛び降りて突端の影へ逃げる。

AIプラン:「AIプラン起動しました。レーザーシザー:オートマチック」

突然、ハサミが明滅しながら浮き上がる、そしてダイヤを引っ張っていく。

ダイヤ:「なに?」

ːːSonic Destroyer (Blue Potential Version) - Jeff Mills {playback speed x1.25}ːː

前に兵士たちが来ていて、突っ込んだ、串刺しにして回転し、切り裂いて次の兵士を切る。

ダイヤ:「勝手に!?」

さらに飛んで洞窟に突っ込む。

 ドリケラーが浜辺の両側から走ってきて、兵の合図の後、追いかけるように崖から掘り進んだ。

 洞窟内で引っ張られながら駆け抜けるダイヤ、ハサミが赤・青・緑と色を変えながら明滅する。

目の前に兵の一団が現れる、ハサミが開き、超高速で開閉し始めた。

そのままバリカンのように兵士たちを切り刻み、すさまじい音と閃光が洞窟内で瞬き、切られた手足が宙を舞う。

ハサミの開閉によりダイヤの手に激しい振動があり、振り落とされないように必死でしがみついているより他なかった。

居住区へ突入し、赤や緑の光の中に知った顔が見えた気がしたが、ハサミがズバズバ切っていって確認する暇もない。

その壮絶な状況の中、サファーの姿だけは分かった。

ダイヤ:「サファァァー!!!よけてぇぇえ!!!lll;」

必死に方向をよじり変えようとしたが、いくつもの斬撃音とまばゆい焼き切りの光でよけきれたかどうかもわからない。

ダイヤ:「ストップ!ストップ!」

ハサミが大人しく止まった。バイザーを下げる。

ダイヤ:「今の映像を再生して!、10秒前!」

AIプラン:「録画映像に人を切っている映像があるので、全削除します、DELETE」

ダイヤ:「ちょっとまってぇー!」

AIプラン:「敵が来ました オートマチック」

再び引っ張って兵士を高速で裁断していく。

ダイヤ:「ひえー!」

後方でドリケラーが通路に突っ込んできて追いかける、道をハサミが変えるともう一体壁から出てくる。

ドアを破って室内栽培所に侵入し追いかけてきたドリケラーがプランターをことごとく破壊していく。

突っ切って外へ飛び出す。追いかけてきたドリケラー他のドリケラーと接触してつぶれ、二体とも爆発起こして炎上する。

後ろを振り返ったダイヤの目に洞窟を赤赤と照らす劫火が広がるさまが見えた。

目の前にまたドリケラーが現れて急なUターンで引き返し、壁を突き破って通路を変え、

出てくる者を八つ裂きにし、残ったものは追ってくるドリケラーに引き裂かれた。

 ドリケラーを運転するルルビィは、ソナーでダイヤをとらえて追いかけていた。

左右に逃げるダイヤを壁を破り削岩しながら追いかける。

突然機体が自由落下し始めた、原発施設の広場の上に飛び出したのだ。

ドリケラーが落下し地面で折れて閃光を放ち轟音を広場に轟かせて爆発炎上した。

 警報音が鳴り、監視塔が騒がしくなる。

ドリケラー最後の一体が広場の壁を突き破って出てきた。

ハサミはそのハッチに取り付いて切り取り、刃先で引きはがして中へ侵入し運転者の首筋に開いた刃をかけた。

兵士:「ダイヤちゃん、俺らはただ君を保護しに;」

ダイヤ:「私じゃないの;;」

ハサミは無慈悲にチョッキンとその兵士の首をはねて、ドリケラーから脱出した。

ドリケラーは真っ直ぐ、一直線に原発へ突っ込み、貫いて超高温の燃料と接触融解した。

ダイヤはハサミに引っ張られ、ものすごい強さで引っ張り、ハサミは洞窟を突き進んで出口を目指す。

 原発では蒸発した漏水が分解されて水素となり、猛烈な勢いで飽和して爆発した。

洞窟内で圧力が一気に高まり、核燃料が中性子連鎖反応を起こして爆発を________核爆発を起こした。


 ブランは次元断層へ向けて走っていた。

突然突発的な地震が起こり、ふらついて倒れた。アメーバ全体が真っ黒になり、大きく波打つ。

ブラン:「なんだ!?地震か!?」


 洞窟の穴から飛び出すダイヤ、後ろから高温の熱気と噴石と土砂が噴き出した。

何とか自力で空へ上がり、見下ろすと、

大地が音を立てて揺れ、砂煙を上げながら大きく陥没していくのが見えた。

 ふとダイヤは砂煙の中にブランの姿を見つけて飛んで行った。

ダイヤ:「ブラン!」

ブラン:「ダイヤか、無事か!?」

ダイヤ:「やったわ、ほとんどこのハサミがやったんだけど」

ブラン:「やったって?何を!?」


 浜辺に倒れていたサファーは起き上がり、あたりを探す。

そして投げ出されたオスの幼体を抱え上げると、頭がちぎれ飛んでいた。

ずるりと落として、崩れた洞窟を呆然と眺めていた。


 風で砂煙や埃が流れて落ちていく。

地震が収まった後、アメーバたちはなだらかになり、緑色に染まりだした。

地面は陥没し、穴や亀裂が無数にできて、地下の地層がむき出しになっていた。

 ブランとダイヤが次元断層の方へ歩きだしたとき、空気が風船から吹き出すような音が後ろから聞こえ、振り向くと丸い大きな穴が開いていた。

中から土砂の崩れ落ちる音が響き、下から赤い装甲を身にまとった ジーカーがせりあがってきた。

ブラン:「冗談だろ!?」

ジーカー:「逃げられんぞ!お前らは神の逆鱗に触れた!。ダイヤよ!俺に赤い城をよこせ!今まで殺さずに育てて来た恩を仇で返すとは!」

ブラン:「ざけんなー!人を殺しまくって仇も糞もあるかー!」

ダイヤ:「ブラン、相手はそういう生き物よ」

いまの一言がジーカーを激昂させ槍をダイヤめがけて投げ放った。

ブランが引っ張ってよけきれたが地面が消滅し、転送されて空中に土石が出現し落下してくる。

お椀状の穴から抜けだそうとするブランを逆に引っ張ってダイヤが飛び出す、穴に大きな岩石が転がり込み土砂で埋まる。

つまり、ドリケラーの削岩土砂後方テレポーテーションを槍に応用した武器なのである。

ダイヤ:「ブラン!あなたは逃げて!」

ブラン:「せっかくここまで来たんだ!、ピリオド、パワーモード!」

ダイヤ:(だめだ!きっと力に差がある!私が反対方向に引き付けてブランには助けを呼んできてもらわないと。)

飛んできた槍をハサミがはじき、落ちた槍が地面に穴を開ける。

ダイヤ:「ブラン!、・・・・!?」

ハサミが引っ張って地面に突き立ち、開閉とレーザー刃の伸縮により荒馬のように猛スピードで走り出した、

次元断層とは反対の方向へ。唸り声を上げながらそれを追うジーカー。

ブランは穴からはい出しながらその行方を目で追うしかなかった。

 ジーカーは槍を投げ打つが避けられて穴が開き、土石が降り注いで砂埃が舞う。

空中で旋回し戻って来る槍をつかみ再び投げる。あとには椀状の穴と石灰岩と土砂の山がいくつもでき、それが海岸線と平行に進んでいく。

 サファーは和太鼓の音のような土石の落下音につられて崖の上を見た。

アーマーを着た何者かとアーマーを着たジーカーが横切っていく。

 ジーカーはダイヤに直接当てるのをやめて、進行方向の先へ投げた。

ハサミはダイヤが遠心力で外へ引っ張られるままにして、ほぼ直角に曲がった。

ジーカーは逆上し無意味に真下に槍を投げた、転送されてきた土砂や岩石に巻き込まれて落下する。

ハサミが急ブレーキをかけ、慣性で地面を、火花を散らしながら焼き切り、減速して止まる。

ダイヤ:「ジーカーはどこ?」

ハサミが発進し土山に近づいてハサミを開いた、突如下からジーカーの尻尾が飛び出し、ハサミをダイヤの手から飛ばした。

土砂の中からジーカーが土と一緒に体を持ち上げ、ダイヤに掴み掛って地面にねじ伏せた。

ハサミが飛んできて切りつけるが皮膚が固く、全く歯が立たない。

ジーカーが槍を呼び出して掴もうとするのをハサミは妨害する。

ジーカー:「クソ!」

もがくダイヤにじりじりとナイフ状の足をのせ、力強く足踏みし始める、シールドが白い閃光を放ち、放電音が激しく鳴る。

バイザーが下がって警告を表示する。

AIプラン:「シールド維持機能残り70%、60%、50%、40%、30%、20%」

ハサミの妨害を抜けて槍がジーカーの手に帰って来る。

足踏みを止めたジーカーは槍を構えた、そこにハサミが飛んできてジーカーの首を挟み、煙を上げるが、硬すぎて切れない。

ジーカー:「フーッフーッ、赤い城は誰にも渡さん、貴様もろとも消し去ってやる」

ダイヤに向けて振り下ろそうとした、その時、槍が放電し、スパークが飛んだ。

そしてジーカーの背後に転送された者をダイヤは見た。


 目が覚めるとベッドの上に寝ていた。

綺麗な唐草模様の天井を眺めてレンリはどこだかわからず起き上がった、黒い木の箪笥や飾り棚に知らない植物の植えられた鉢。

揺り椅子に座ったお婆さんがいて、本を置いて話しかけてきた。

お婆さん:「やっと目が覚めたかい」

レンリ:「どこだここ?」

お婆さん:「気分は?」

レンリ:「上々・・・・?」

あの頭痛や眩暈が消え去っていた。言葉が出ず、口をパクパクさせる。

窓からさわやかな風が吹き込んでくる。

お婆さん:「まだ天国じゃないよ、地獄でもないわい」

よっこいせとゆっくり立ち上がり、お婆さんは部屋を出、戻ってきて麦粥とスプーンを渡した。

お婆さん:「とりあえずお上がり、話は後で聞かせてやるよ」

お婆さんが出ていった後、窓の外を見ると波音を立てる海があり、カモメが飛んでいた。

だが奇妙なことに、空気は乾いていた。


 ベッドからはい出してみると、体に力が入らず、ふらふらしている。

かけてあった杖をとって、それを使いながら部屋の中を何周か回った。

お婆さん:「これからリハビリして、なまった体を鍛えるんだね」

いつの間にか部屋に来てたお婆さんを見て、それからベッドに戻って腰かけた。

レンリ:「私、地底にいたんだ、敵と戦ってた」

お婆さん:「へえ」

レンリ:「敵に寄生生物を植え付けられて、意識を失った」

お婆さん:「ふうん」

レンリ:「私の頭、どうかしてない?」

お婆さん:「発言的にはどうかしてるが、なんともないだろ?」

レンリ:「病院いってレントゲン撮ったほうがいいんじゃ?」

お婆さんはお茶を一口飲んだ。

お婆さん:「もう取り除いたよ」

レンリ:「え」

お婆さん:「脳に行った寄生体は私が取り除いた」

レンリ:「ホワッ?ええ?」

レンリは手で頭を探る。

お婆さん:「縫った跡はないよ、テレポーテーションで切り取った」

頭からはなして、その手を宙に浮かせた後、ゆっくり降ろした。

レンリ:「理解できない・・・・ここはどこ?」

お婆さん:「シュリン城」

レンリ:「・・・・私はどうやって来た!?」

お婆さん:「あいつらがあんたを変な機械に飲み込ませたときにテレポートさせたのさ」

レンリ:「変な機械?ドリケラー?」

お婆さん:「そいつの単距離だけどテレポートさせる装置のおかげでね、うまいこと飛ばせたさ」

レンリ:「ちょっと、お婆ちゃんは何者?なんでそんな力もってんのさ!」

お婆さん:「ふん、ダイヤから聞いてると思うけどね?」

レンリ:「聞いてないよ、シュリン城に女王様がいるとしか」

お婆さん:「私が女王よ」

あっけにとられたレンリは、しばらく口をあんぐり開けたのち。

レンリ:「ちょっ!女王!?」

女王:「なに?なんか文句でもあるの」

レンリ:「いやいや、ダイヤがえらい情報 はぶきよるさかい、半世紀も鯖読みしてもーたわ」

女王:「まあダイヤちゃんたら、ほんと良い子ねぇ」

微笑むその年寄りの女王を定まらぬ眼で見ながら聞いてみた。

レンリ:「その女王様は今まで何をしてたの?、ダイヤはジーカーっていうヤモリの化け物に赤い城を出すまで軟禁されてたんだぞ?」

女王:「さぁね、干渉できなくなってからは何もしないさ、そのジーカーの言う城を差し出すって話、ジーカーの妄想だから。」

レンリ:(妄想!!)「んだ そりゃ!!」

レンリはベッドにバッタリ寝た。

その日はゆっくり寝て、少しずつ、地底での出来事を思い出していった。


 翌朝

レンリはベランダに出て空を眺めた、なにか網目のようなものが見える。

女王:「ホログラフィーだよ、殺風景だったもんだから映像で隠してんのさ」

指ぱっちん。

空と海が消えて、浅黒い渦と光る炎が混じり合う巨大な全天壁画の光景が現れた。

レンリ:「なんだこれ!?」

女王:「地下マントルの中だよ」

レンリ:「マントル!?」

女王:「次元断層ができるとき、正直言ってもう終わりだと思ってたが、ふたを開けてみればこんなところに収まっちまった。

人生万事塞翁が馬ってとこさ。助かったかわりにテレポートはできなくなって、一からやり直さにゃならんかった、

エネルギーをこの星の核からとるには相当の苦労をしたが、おかげで少しはやれるようになったね。

あんたどでかいキャリーバッグを海岸においてったろ?」

レンリ:「うん」

女王:「あのままだと満ち潮で流されてたよ、私がシールドをいじって岩場に縫い付けてやったがね」

レンリ:「ええほんと?ありがと」

女王:「それに大体は地上の映像も見れるようになったね」

レンリ:「そうだと思った、昨日から見てたようなこと言うてたから。

気になるのは、そういうエネルギーって莫大なものになると思うんだけど、その地球の核の前は何からとってたの?」

女王:「あんたたちのよく知るものに関するものだ、次元断層、それがずれ動く前には時空間で異界のシャボンどうしぶつかり合い、歪が生まれていた。」

レンリ:「アスペリティ!」

女王:「金物たちが天体の衝突実験で動かす、はるか大昔からあった亀裂の、そのアスペリティに溜まったエネルギーを取り出し、

様々な魔法を可能にしたのがこのシュリン城というわけ。

「この城が建ったのは1000年以上前になる。そのころ私はまだ若くてね、

旦那と一緒にこの城に籠ってアメーバやジーカーの先祖たちに抗おうとしたが、旦那が外でつかまってね。」

レンリ:「それで妃だけになったんだな、つかまったってことは・・・・」

女王:「そうさ、ダイヤのご先祖さまになったってわけさ」

レンリ:「ダイヤが感染しなかったのは」

女王:「ワクチンが完成して、こっそり注射してきたのさ」

レンリ:「その時、ジーカーは?」

女王:「会ってもないよ、オパーチが気付いて血筋と関連付けた、当たっちゃいたけど尾ひれがついた」

レンリ:「なーるほど!」


 開いてる部屋に色々ランニングマシンやプレスマシンなどのトレーニングマシンを入れた。

女王に頼むとそこに白い光を放って現れた。

レンリ:「作ってんの!?3dプリンター?」

女王:「過去のデータから鋳造してる、3Dプリンターというよりレジンの型抜きに近い」

レンリ:「ますますナゾだわ、私のハンマーも出せる?」

女王:「ソルレイドハンマーかい、無理だね、データにないものは出せない」

レンリ:「じゃあハンマー、めっちゃ頑丈なやつ」

女王:「強度は保障できないよ」

光と共にハンマーが出てきた、レンリが手に取ってみる、当然バイオアーマー無しだと重い。

女王:「ところでなんでハンマーなんだい?、鉄砲でも使えばいいのに。」

レンリ:「父が拳銃自殺した、だから銃火器は駄目なんだ」

女王:「それは大変だったね、それでなんで自殺なんか?」

レンリ:「アスペリティ」

女王:「はい?」

レンリ:「次元地震が起こるよりも前の話だ。父は国立量子力学研究所の研究主任で、時空間アスペリティの研究に加担していた。

その時の主席研究員がもち出した理論で実験施設を作ることになり、その莫大な資金集めに父は奔走し、

様々な財団や政治団体から話をとりつけた。

施設が完成して、いざ実験してみると、何度やっても芳しい結果が得られなかった。

期限が迫る中、その主席研究員は研究の継続と、自らのプライドのために実験データをねつ造した。」

女王:「・・・・」

レンリ:「実験は成功として世間に報じられた、その研究員は莫大な投資が必要な実験は追試できないと思っていたが、その考えは甘かった。

疑念を持った研究者たちが地価の安く資源が豊富にある国で同じ実験施設を作って追試した。

そして結果は理論通りにならず、ねつ造が暴かれ、莫大な資金が無駄になったこと、不正を働いたこと、国立研究所の権威を傷つけたことを糾弾された。

研究員は科学界を追放、父は責任を追及され、追い詰められて自殺した、愛用の銃でね。」

女王:「全く!聞いてみれば重いねこれは。それで、次元断層ができてからは?」

レンリ:「おっさんたちが優しくなった以上の反応はないね」

女王:「あっはっはっはっ」


 次の日、食事中に電話のベル、古風なホーンとダイヤルの付いた木箱型の固定電話が鳴り、女王はちょっと上げて降ろして鳴るのを止めた。

女王:「目がさめたようね」

レンリ:「?」

別室に移動すると、ベッドに堂本が寝てた。

うんうん言って目をしばたたかせてる。

女王:「ご機嫌いかが?」

堂本:「ふわい?」

女王:「ちょっと頭にいたやつが大きかったから、脳に障害が残ったようだね」

堂本:「うんみふーん??」

目をグルグルさせてる。

レンリ:「堂本、わたしが分かるか?ちょっと戦っただろ?」

堂本:「うぬぬん?ふふが?」

女王:「ま、しばらく介抱して、大丈夫なら歩かせてリハビリしようかね、のう堂本や」

堂本:「はははー」


 プレスマシンで鍛えるレンリ。

レンリ:「あれから何日たったんだっ」

女王は堂本が歩いてサーキットを進むのを支援している。

女王:「外とは時間の流れを別にして変えることができるんだ、そんなに経っていないよ」

レンリはしばらく思慮し、プレスマシンから降りた。

 テラスから出て熱帯植物の鉢植えが沢山ある庭園へ行き、塀から身を乗り出し、下の城壁の石組みを見た。

上の方は色が白く変わっているが中腹から先は黒っぽくシダやツタが生えたり苔むしたりしている。

そして、寝室からアーマーをとってきて装着し、飛んで城壁の黒い方へ下降する。

鉢の破片が石灰岩の隙間に入り込んでた、ほかに、軽石やバーミキュライトもある。

 戻ってアーマーを外し、トレーニングルームへ行った。

レンリ:「ダイヤが地震で城外に落ちたって言ってた。調べたら城壁に鉢の破片とかの痕跡が残ってて、

次元地震の揺れでスイングしながら落ちたと確信した。・・・・なんでだ?」

女王:「なんでって?」

レンリ:「時間を操れて、次元地震が来ることを予見し、地上と地底をモニター観測できた。

三年間ダイヤと過ごしてきた時間って何だったんだ?、再びあの地獄へ送るなんて!」

女王:「あんたをただで手術してやったわけじゃないよ、代金として私の介護をしてもらおうか」

レンリ:「はぁ!?」

女王:「あの子も本来は年老いてく老婆を介護してもらうためにワクチンを打って招き寄せたんだ。

落ちたのはマシントラブルのせいさね。結局一人寂しく老後を過ごす羽目になったが、

奇遇にもあんたが地底に舞い込んできたから助けたのさ。」

レンリ:「ちょっと待て、わたしはコロニーに戻ってやることがある!」

女王:「ふん、ドリケラーとやらは後方に土砂を転送するから、せっかちに間違えると土砂と一緒に地面の中だ。

それに、見たところ今一台しかなくて原発に突っ込んでるね」

レンリ:「なんで!?なにがあった!?」


 それからしばらく、ダイヤのパソコン部屋でアニメを見ていた。

ダイヤが生成させたもので日常系であったが、殆ど片思いの恋愛ドラマで終始し、

最後に相手が転校したり海外に行ったり事故で死んだりし、なかなか恋愛成就させようとはしない。

障害として厳しい先生や恋のライバル、下の兄弟のせわなどがある。

ジーカーらしき人物も出てくるが、出るたびに警察に捕まっていた。

閲覧表にリテイク回数が20~40くらいついてて、粘ってたことはわかった。

どこがおかしいのかわからなかったが、多分ダイヤの経験と齟齬が生じていたんだろう。

レンリ:「永遠に片思いか、リアルで相思相愛になりようもない環境で生きてきたらこうなっちゃうのか」

 目が疲れて、電話で目薬を注文した、機械音声の返答のあと目薬がお盆の上に現れる。

それを目にさしたあと、ちょっとアニメビルダーいじってみた。

視聴してみると彼氏とすぐにできて、ベッドイン。

レンリ:「ちょっ待てこら、バロメーター偏り過ぎか、いや子供が扱うんやろ、

もうちょっとピュアに、・・・・そうそうキスくらいで終わらせて、・・・・あかん、人の恋路や」

パソコンを閉じてトレーニングルームに入り、プレスマシンに座り鍛えはじめる。

歩行訓練を一人でやってた堂本がレンリの方をうかがってせせら笑った。


 女王が呼び出してリビングのブラウン管テレビの前に行った。

女王:「ジーカーが面白いもん出しおった、ドリル戦車の転送機を槍に組み込んどる。」

テレビに映ってたのは地上でジーカーがダイヤらに槍を投げて地面に穴を開けたところ。

色がおかしい、色数の少ない古いパソコンみたいな画面。

レンリ:「もしかして・・・・この槍を利用すればあっちにいける?」

女王:「私はダイヤを連れてこようかねと思ってたけど?」

レンリ:「・・・・」

女王:「これで老後の心配もせんでええわ」

レンリ:「トレードだ、ダイヤがこっちに来て、私が向こうへ行く」

女王:「ほう、そうかいババアのめんどうは見たくないから向こうへ逃げたいって?」

レンリ:「あいつを仕留めとかないと異界にも迷惑掛かるだろ、あのアーマーで暴れたら普通の人間の手におえないぜ」

女王:「わかった、で、勝算は?」

レンリ:「ハンマーをケレンハンマー(電気溶接中に出る鉱さいの塊を叩き割るためのハンマー)型に加工してくれ」

女王はタブレットPCをどこからともなく取り出してケレンハンマーというものの画像を出した。

女王:「斧じゃいかんのかい?」

レンリ:「できるだけ大きな質量でぶつけたい」

女王:「二乗三乗の法則かい、なら足してやるか、しばらく待ってな」

女王が行った後、またトレーニングルームへ向かった。

 プレス機を押し上げる回数は堂本が来てから、なんか上がって、数十~二百増えていった、

やはり見せる相手がいた方がやりがいあるのかもしれない。

 更にバットとバネの付いた棒を電話で注文し、打つ練習もし始めた。

堂本が投げるそぶりを見せたので、庭にネットを張って、堂本とボールを使うバッティングも始めた。

 早朝は城の周りをランニングし、プロテインとドーナツを食べ、筋トレしてドーナツ、夕方バッティングしてドーナツ。

女王:「歯磨いてるかね?」

レンリ:「磨くよ、お休み」


 問題が発生した。

女王:「やっぱり老朽化してたね」

エレベーターで地下に行って、大きな電子機器が並ぶフロアに入った。

レンリ:「スパコンか、やっぱり大きなもの使ってたんだな」

女王は大きな鉄の箱から赤い光の灯る基盤を引き出し、眼鏡をかけ、導通テスターも使って点検した。

女王:「最初のころはアリより小さなロボットを使ってたんだけどね、

空調の風に流されて高圧電流が流れてたりするデッドゾーンにはまり込んで壊れちまって、

さらに際限なくロボットを作れるものだから一か所のデッドゾーンに山のようにたまってしまってね、

それが数千か所あるもんだからほんと掃除するのが大変だったよ。

だから小さいロボットなんて使わない、全部手作業でメンテナンスしてるの。」

赤いLEDはいくつもある。

レンリ:「えー、間に合うのこれ!?」

女王:「大丈夫時間は伸ばせる、時間に関して重要なところを先に直すから」

外した基板から半田ゴテとハンダ吸い取り線やハンダ吸い込み器で部品を半田付のスズから外し、

虫眼鏡で記号を読んで電話で注文し、出てきた新しい部品を基板の穴に入れてはんだ付け、それを何個も付け替える。

女王:「亭主も千年以上使いこむなんて夢にも思わなかったろう、経年劣化した部品の使用期限は百年程度、

十倍使って錆びたり化学反応で変質してしまってる。まとめて入れ替えたらよさそうだけどナイーブでね、

ICチップにオリジナルの修正プログラムや補正データが入ってるもんだから、再度書き込みするとエラーが頻発して時間がかかる。

だからこうして周りの方の悪いとこをチマチマと取り換えてんの」

レンリ:「だめだ、アールグレイでも連れてこん限り会話できんし捗らない。」

 レンリはエレベーターで上に上がり、ダンベルの端を持って手首を鍛え始める。(ハンマー扱って手首を故障しないように)

テレビをつけてダイヤの様子を見守る・・・・何をしてるのか わからない、地面にハサミを刺してる。

時間の流れが違うため、静止して映っているが、レンリには想像つかなかった。

テレビを消して、トレーニングルームに向かった。


 堂本は豆をフォークとスプーンを使って皿から皿へ移す訓練を始めた、不器用に少しづつすくいだす。

レンリ:「本当に災難だったねきみ、いつか治ったらさ、地上に戻るの?」

フォークから豆がこぼれ落ちた。

堂本:「ふふふ」

レンリ:「わかんないよね」

レンリはプレス機の重りを増やした、動かしてみて重さを体感し、レストア入れて肩を回し、再び鍛える。

もうすぐジーカーとの決戦が控えている。

壁際には大きなケレンハンマーが置かれていた。


 女王:「ようやく終わったよ」

女王が右肩をもみながら上がってきた。

レンリ:「よし、いよいよか。」

 レンリはアーマーを装着し、ケレンハンマーをかついでテレビの前へ行った。

女王:「あれまぁ、まいったね」

レンリ:「え、なに?」

差面にはダイヤが捕まってる光景が。

レンリ:「ピンチ!?」

女王:「そうだけど、槍のほうがね、高速で動いてて座標がうまく固定できないのさ。」

レンリ:「ちょっ早くして!;」

女王:「タイミングが来るまで待ちな」

レンリ:「はやく、はやく;」

女王:「その時が来たら、ジーカーのシールドを使って槍のスイッチをいじる、

転送装置が作動してあんたを飛ばせるから、いつでも戦えるように待機しときな」

レンリ:「それちょっと難しくない?いきなり急に来たらすぐ戦えって。」

女王:「ダイヤにはババは元気だよって伝えてくれ」

レンリ:「うん、わかった・・・・え?」

女王:「はい!今!」

レンリ:!!

閃光。


 そして炎が放射状に伸びて後方へ流れ、一瞬黒い壁に衝突したかに思えた後、地上にいた。

そして、ジーカーの背後にいることを悟る。

レンリ:(コマンド=サンダー)

雷撃生物モード。

ケレンハンマーを振りかぶり、力いっぱいジーカーの尻尾に振り下ろす。

予想通り、尻尾は切れやすくできていた。シールドの白い閃光とともに尻尾が切断された。

着地したレンリは身もだえるジーカーの振り向く方向から逃げ、構えてハンマーで殴りこむ。

怪物はよろけ、その隙にダイヤが抜け出す。

槍が振り回され、レンリは飛び、縦一回転してもう一撃。頭頂に当たり、メットがずれる。

無茶苦茶に槍を振り回し、地面が楕円にえぐられ、空中に石灰岩と土砂が転送された。

バックでよけつつジーカーの首元を狙う、が、突然ジーカーが前へ走り、間合いから外れる。

ジーカー:「鎧よ奴と同じものを!」

ジーカーは自分のアーマーのコンピューターへ命じ、雷撃モードを入れた。そして放電しながら槍を投げた。

槍はジーカーの手から離れた時点で帯電を失い、レンリによけられて向こうに穴を開けただけだった。

レンリは駆け寄って怪物の肩に一撃を加える。

ジーカー:!?

肩の骨が外れた。

 槍はジーカーへ戻っていく、それにダイヤが飛びついた。槍は失速しつつ主の方へ引っ張る。

 ジーカーは他のモードに切り替える、炎、それでもサンダーのカードに勝てない。

二撃目を足に食らった時点でモードを捨ててナイフ足の俊足で逃げまわる。カニ!?。

 ダイヤ:(この槍をジーカーに刺せば終わる。)

ハサミが飛んできて槍を挟み込み、磁場で主の居場所をかく乱させた。

引かなくなった槍を持って、ダイヤはジーカー目がけて走る。

レンリ:「ばあちゃんへのお土産にそれはまずい!」

気づいたレンリは閃光生物モードに切り替えて眩い光でダイヤの目を眩ませた。

ハサミがほどけて槍がジーカーへと戻った。ダイヤも槍についてきた。

ジーカー:「ダイヤ!槍を放せ!」

槍からダイヤを振りほどこうとする。

レンリがハンマーを真上から振り下ろした、ジーカーがよけて地面が砕ける。

レンリが構えなおしたとき、ハンマーの頭が取れた。

レンリ:「強度!?」

これ見よがしにジーカーが槍を持って突っ込んでくる。

ジーカー:「いまじゃー!」

レンリは落ちた金属を素早く拾ってフルスイングで投げつける、ジーカーの目で激しい閃光がはじけた、目が火傷しかねない火力。

ひるんだ隙に飛び乗り、首に残ったハンマーの棒を掛けて足で頭を押さえて締めようとする。

ジーカーは飛び、回転しながら地面を削り飛ばす。

槍を背中に向けようにもダイヤが押さえ込む。

そして上空へと飛ぶ。

レンリ:「ダイヤ!」

ダイヤ:「!?」

レンリ:「あんたの新しい恋のためにも!ここで決めるから!」

ダイヤ:「・・・・あー!!」

レンリは鍛えぬいた筋肉でジーカーの頭と背中を踏み込んだ、棒がしなり、徐々に首に食い込んでいく。

レンリの全身に汗が流れ、蒸発す、膝の筋肉が積雪の布団のように膨らみ、上腕は入道雲のように太くなる。

震えながら棒を持ち上げ、声にならない咆哮を上げた。

ジーカーの首の骨からパキパキと破裂音が鳴り、突然閃光と破裂音とともに、レンリの足が踏み抜いた。

ジーカーの首が裂断し、地上へ音を立てて落下した、

火花とともにめり込み、地面がへこんで土砂が舞い上がり、地下から押し返されて地盤がめくれ上がり、

爆風が緑色のアメーバを吹き飛ばす。

 土煙の中へ頭部を失ったジーカーの体が落ちていった。

レンリは限界だった、体が痛む、ゆっくりと地上に降りていく。

レーザーシザーが下からぐるりと螺旋の軌跡を描きながらダイヤの片手に戻ってきた。


 成り行きを見ていたサファーは崖を降りた。

満ち潮で浜が海に飲まれていた。

 :「神が死んだ。こうなった以上、我らが男児を産み落とし、新たな門出にするのじゃ」

波間に足を浸したサファーは舌を噛み切った。

口から血を流し、塩水の中に横たわった。

脳内で寄生体が暴れてわめき、激しい頭痛が襲ったが、サファーにはもうどうでもよかった_

サファーの体は打ち寄せる波に揉まれるままに流されていった。


 着地した後、レンリはジーカーの体を引っ張り担いで、次元断層へ向かって歩き始めた。

ダイヤ:「行ったんですか?シュリン城に?」

レンリ:「行ったよ、ダイヤ、その槍捨てて。」

ダイヤは言われるまま、鬼産の槍を捨てた。

レンリ:「まったく、肝心なこと伝えてなかったじゃん、んだよあのおばば。」

ダイヤ:「老いてこその美しさがあるんです!」

レンリ:「それおべっか使ってんじゃないの?」

遠くからブランが走ってきた。

ダイヤ:「あきれた、助けをよんでくれると思ったのに」

息を切らせて駆け寄ってきたブランはしげしげとレンリを見た。

ブラン:「生きてた・・・・、なんだその筋肉?」

レンリ:「見違えた?」

ブラン:「やっぱりレンリなの?あれー?」

レンリ:「このでかぶつ持ってくの手伝え、もう筋肉痛で痛くてかなわねぇわ」

ダイヤ:「あの方は元気にしてましたか?」

レンリ:「ダイヤ、もうあそこ行かん方がええ、あのばばあ、助けてやった見返りに介護せぇ言うてきたんやで。」


女王:「だーれが介護なんかさせるもんですか!」

老婆はテレビを消して椅子から立ち上がる。

女王:「さて、庭仕事やろうかね」

堂本:「うん、ふふへ」

テラスから出て蛇口にホースをつないでシャワーヘッドを持って引く、

堂本がホースを伸ばし、合図で蛇口をひねった。

老婆は植物に水をかけていく。

天球は青空を映し、ハイビスカスと塀の向こうに水平線が映え、カモメが鳴く。

堂本は鼻歌を歌っていた。

{花 すべての人の心に花を/喜納昌吉}


アストロガール 鬼産の槍

END

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