レミールについて
レミールについて。
名前はその時読んでいた"漫画で読破シリーズ"の"エミール"からつけました。(読む人は十人十色の読み方をする、その本を紹介した自分が読み取ってほしいことが相手のメモリから抜け落ちていたという結果もあることを念頭にいれるべきだが、そんな無駄なことばかりして何になる。これ一度きりにしよう。)
彼女の故郷はジェイミーと同じ異界の辺境地域で、森に囲まれた大きな淡水湖があり、そこで漁業が営まれており、その漁村の漁師の一人娘でした。
湖周辺の森の中には、もとから森の巨人、ギガフットなる大きな類人猿が生息し、ギガフットに襲われたなどという話が、春先によそから来た旅人からもたらされるのも風物詩でした。
漁村の人たちもその類人猿を見たという人が少ないもので、落とし穴を仕掛けられただの、木にシカがかけられていただの、一人歩きした怖い話のせいで、漁村の中で子供はレミール一人くらいしかいませんでした。
ある日、旅人がギガフットを撃ったと言い、好奇心に駆られた大人たちが森の中へ入っていきました。
そこで横たわった巨大な類人猿を見つけて、いままでよくぞこれが目につかなかったものだと驚きました。
そのまま死ぬのを待って剥製屋に売るか、埋めて腐らせて取った骨を保存するかの話し合いがなされたとき、村に来ていた医者が治して森に帰そうとさとしました。
医者はギガフットの体から弾を取り出して傷を塞ぎ、水と食べそうなものを与えて様子をみました。
おとなしくしていた巨人はひと月たったあと忽然と姿を消しました。
数日後、医者のいる下宿の前に栗とどんぐりが沢山置かれていて、砂道に大きな足跡が残っていました。
それから数年後、村は観光地に変わり、民宿やらボート小屋などが立って様子が変わり、ギガフットも観光の呼び物として宣伝に使われています。
あれからギガフットの姿を見たものはいません、一個体しかいなかったのか、群れが移動したのか、傷をいやされた彼の行方は分からないままです。
レミールにとってギガフットの件は医療を志すきっかけになりました、付け加えると孤独に過ごしてきて同世代との付き合い方の心得もなかったので、治療が彼女の知る唯一のコミュニケーション方法だったということもありました。
異界をシェパードと旅したのもその延長線で、異界人と交流することで過去のギガフットの思い出をなぞっていたのかもしれません。
END