ヘンリクセン王国 宝石の行方編10
「3200!3200は………。いらっしゃいませんね!?では、3200をあげた、500番さんがクヌートをお買い上げとなりました、おめでとうございます」
無事2つ、欲しい物が手に入り安堵のため息をつく私達。いやだってそら、ねえ。割とせっていたから変えないかもしれないとは思ったものよ。まあ、無事買えたわけで杞憂だったんだけれども。
ふぅー、と大きくため息を付いたロマーナの肩を叩いて。
「お疲れ様。いやあ、なんとか、なったな」
「ほんとじゃよ。正直諦めてやろうかとも思ったのじゃ」
「そこまで追い詰められてたの?」
「そうじゃな。初めから参加してたら、多分クヌートは手に入らなかったじゃろ」
にへ、と笑いながらそういったロマーナ。いやはや、笑うと可愛いんだな、と思いながらも。いや、笑顔が可愛くない人なんてそうそう居ないか。少なくとも私は見たことがない。まあ、私がそんなに人と絡まないっていうのもあるんだろうけれど、それはそれ、これはこれであるとは思う。
私が肩を叩いたのを見て、ルネもロマーナの右腕に、ビーチェは左腕に抱きついた。なるほど、そういう愛情表現が。いや、羨ましくなんかはない、ないぞ。…・嘘です。少しだけ、羨ましいです。
「まあ、これはこれで動きにくいんじゃがな」
「心読まないで。…じゃあ、私は商人に連絡入れておくから」
「そうじゃな。多分受け取りに来るんじゃろ?」
「そうだね、流石に運送はこわいからな」
「あー。私達みたいに信用があるわけじゃないからね」
「商人なら信用のあるルートありそう、だけどね」
「……もってるかもしれないし、もってないかもしれない。ぜったいはない、です」
「ビーチェが言うと重いなあ」
ビーチェが私をまじまじと見ながらそんなものを言ったもんだから、私はそう言ってビーチェをなでてやった。ビーチェが言うと割と重くなるからね、こういう話題。多分、ビーチェを元々売ろうとしていた商人だって、信用のあるルートを使って売ろうとしてたかもしれないし。ロマーナだって、その商人にとって信用のある人間だったんだろうし。
まあ、人生一体何があるかわからない、って話だよね。




