ヘンリクセン王国 宝石の行方編6
「8000!8000はいませんか?!」
4桁も後半になってきている。いやはや、これでも宝石にしては安い方らしい。なんというか、もっとすごいのだと早めに6桁へ行くらしい。なんだろう、宝石ってこわい。いや、昔の友達に宝石を使った魔術師が居たっけな。あいつ、今も元気に金欠だろうか。もしくは魔術師をやめている可能性もあるかも、と思ったけれどそれをするとあっという間に情報として流れていくからそれはなかったからまだ、元気に金欠なのだろう。
金持ちになってる可能性もある、っちゃあるけれど、こういう風に宝石の値段を見ているとそれはないな、ってなる。
と、ここで、ロマーナの手が止まる。それを見て、ビーチェが小さな声で話しかける。
「………ここ、てにいれても、もうひとつのほうもてにいれないと…」
「そうなんだよなあ。ここで押すよりは次に全力で……」
「2つ?」
「ああ、そういえばできるだけセットでほしい、って商人言っていたな」
目玉が2つあるとはステージ上のお姉さん入っていなかったが、ここでこういう風に盛り上げて買えなかった方のためにもう一つ目玉が、と言う話なのだろう。いやはや、本当に商人というのは賢いなと思う。私には、そんな手は、いや、私でも思いつくわ。これは私でも思いついたわ。
だからといって商人はやらないけれども。向いてないし。
「とはいえ、ここで取って次取れないとなると…どうする。ここで引いて、ここで買った商人から倍のお金で買うべきか、どうする」
「ここで買っておいたほうが定価なんだよね?」
「そうじゃね、ふっかけられることはないのじゃ」
「だったら、無理をしてもここで行くべきなんじゃないかな?」
「…ルネおねえさんのいうとおりかも、しれないし、そうじゃないかもしれない。ここは」
「私か?!」
なんか突然、私に重要な決定を投げられてしまった。いや困ったぞ。ここで引いて、次のに、っていう手もありだとは思うし、かといってここで引いて「あ、こいつらここまでなのね」みたいに思われるのも困りものなのは先程聞いた。どうする、と悩んでる暇もそんななさそうなのがな。
私は一度、頭を描くと。
「…ふっかけられるよりは、ここで手に入れておいたほうがいい。ここで降りて底を見られるのもあれなのだろう?」
「そうじゃな。よし、行くか。あと儂らを入れて3つに絞られたようじゃしの」
「そうなの?」
「そう」
「9600!9600は・・・いますね!」
「9800!」
「10000!」
「10550!」
私達が一時抜けている間に5桁に言ってしまった。とはいえ、この商品のセリはそろそろ最終盤、締めにはいっているのだろう。ロマーナが高らかに宣言をした。
「12700!」
一度、シーンとなってから、ざわ、ざわ、とざわつき始める。これは、そうか。一気に2700も上げたから、行くべきか、ってなったのか。これで降りてくれればいいのだけれど…。
「1…14000!」
「14600!」
「………………」
一度あげられたが、それ以降、5分間声が上がらなくなり、そして。
「14600です!150番さん、おめでとうございます!」
無事、一つ目は手に入ったのであった。




