ヘンリクセン王国 宝石の行方編5
「700!700はいませんか?!」
700ドン、つまり70000ドス、ということになる。なんかこう、私は躊躇してしまうが商人達はまだ大丈夫、ということなのだろう。650を越した当たりで、もう1チーム増えた。元々そんな作戦だったのかもしれない。私達もそれで行けばいいのに、と思ったのだけれど、それはそれで色々と不利らしい。
はじめからいって割と引き上げるのも作戦らしい。今回はうまくそれがいったのか、と聞きたいが真剣なロマーナの顔を見るとそうも言ってられない。
「725!」
「760!」
「790!」
「850!」
「880!」
増える増える。これにはライル社もニッコリであろう。まあ、ここまででも大分仲介料とかで設けているだろうからニッコリだろうけれど、笑いが止まらなくなるのはここからかもしれない。
だって、まだまだ終わらないであろうこの流れ。いやはや、私はもうそろそろついていけないのだけれども。だって70000ドスである。高躊躇してしまうのも仕方があるまい。つくづく私の財布でなくてよかった、と思うよ。
「………だんなさま」
「なんじゃ?」
「ひといき、いれましょ?」
「………まだ、周りが上げてくれる、と?」
「う、ん」
ビーチェがそういってロマーナの裾をひっぱる。一息。一息入れて良いものなのだろうか、この状況。わからない、私にはわからない。ふとルネの方を見ると、うんうん、とうなずいている。いや、この反応はルネもあまりわかってない様子。よかった、私だけではなかった。やはり私達には商人をやる才能はなかったのだろう。これが戦場なら私の能力も少しは行かせたかもしれないけれど。
…いや、そうではない。私達にとって戦場じゃなくても、ロマーナやビーチェ、そしてここにいる商人にとってはここが戦場なのだ。戦うフィールドが違うだけで、ここは私達がいた戦場と違わない、のだろう。だったら、私の能力も少しはいかせ…、いややっぱり活かせない。ここは私にとっての戦場ではなかった、ということだ。
「980!」
「ほ、ら」
「そうじゃな。……1200!」
「1250!」
「1270!」
私らがそんな事をしている間に4桁にいってしまった。この国の通貨で四桁なので6桁であった。いやはやこれは7桁…下手すると8桁とか9桁とかいくんじゃないですかね。いやはや私にはとても手が出ない戦いである。
参りました。




