船の上 合間の話編5
「さて、次に行くヘンリクセン王国について、なにか知っているのことはあるかの?」
「あの王国の中では割と新興国、である、としか」
「私も」
「………へんりくせんおうこく?」
「ビーチェは、付く前に歴史勉強しようの」
「はい、だんな、さま」
頭を撫でられながらそういったビーチェ。まあ、そういう生活を知っていたら王国の名前はそんなに知らないかもしれない。仕方がない、のではあるが、旗から見れば不幸ではあるとは思う。彼女自体はそういう生活しかしてこなかったから不幸だとは思ったことなさそうだけれども。
だんなさま、と呼ばれれば、少し寂しそうな顔をするロマーナ。
「のう、ビーチェ。ヴィヴィもルネもお姉ちゃんよびなのになぜ儂だけ旦那様よびなのじゃ?」
「えっ、えーと…。いちばん、つよそうでいちばんえらくみえる、から?」
「あー。確かに三人並ぶとそうなるか」
「実際一番つよいのロマーナさんだからね」
「ヴィヴィも鍛えれば儂LEVELまでいくぞ?」
「その前に死にそうだからよしとく」
本当に死にそうな思いしそうだから。ジャングルに何もアイテム無しで入れられたり、孤島においていかれたり、真冬に山においてかれたりしそう。ジャングルと孤島ならなんとかなりそうだけど、真冬に山はまずい。まず食料をあるかどうかがわからないし、あったとしても野生動物とのそれを巡っての命のやり取りをしないといけないわけで。少しも気が抜けないので絶対やりたくない。
いや、実際やらせるかはわからないけれども。
「なんじゃ。儂が修行つけると思っとるんか?」
「違うの?」
「違わないが。…ついてこられるかの?」
「ついていけそうにないから、やっぱよしとく」
「賢明じゃ」
うんうん、と頷くロマーナ。これ多分、私が考えてたことのどれか、やらせようとしていたな?いやはや、乗らなくてよかったよかった。私の体がいくつあっても足らない。




