マカーリオ帝国 運び人編5
「おーんせーん…」
「おーんせーんー!」
「文句を言うんじゃありません!仕方ないでしょ!思った以上に彼らも先回りしてたんだから!それに、あのままいたら私達指手配すらありましたよ!」
私達がさっさとフレスコバルディを離れたおかげで、私達の依頼人が旧市街の路地裏にあったチンピラの死体は仲間割れという事にしてくれたらしい。まあ、その前に追いかけてた女性がいたっていう話がでたらしいけれど、それは私によく似た人を立ててくれたらしい。私達が写った写真があまり質の良くない写真だったからか上手く誤魔化せた、とは商人談。
それにしてもこのマカーリオ帝国はラジオと新聞だけだから助かっているところがある。テレビがあれば多分写真の技術も上がっただろうし、ビデオカメラもあっただろう。割と至る所にカメラはあるので、写真は沢山取られるが、微妙に移りが悪いというのは商人に見せてもらった写真でわかっていたから助かってはいた。
うちの王国とかだったら私はお縄だった。いやほんとあれなんですよ。殺めるなって言われてても襲われたから、それはもう仕方がないのである。
「…それにしてもあれだね。先回りされてるとは驚きだね」
「いや、そんなことはないんだけれども。なんだろうなあ、むこうもそこそこ大きな所だったということかな」
「だ、と、おもう。わたしはにげるのに、ひっしだったからかずは、おぼえてないけれども」
「まあ、そうだよなあ。………友達とかはいなかったのか?」
「いても、うられた」
「あ、すまん」
「そうだよ、ヴィヴィ。デリカシーに欠けた発言だったよ」
そう言って、私のお腹のあたりをつつくルネ。なにかこう、少しかちんと来たから、ルネの頭を叩く私。
いやほら、そういうこともないと長く続かないわけで。いつも好き好き、だといつの間にか愛情が途切れてしまうっていう話を何処かできいたのであって。私達もいつも好き好き言って、長く続けばいいかな、とは思うのだけれども。
そうはいかないのが、恋愛というものである。それも長く付き合うための恋愛のセオリーと言うか、なんというかそういうものである。




