マカーリオ帝国 運び人編4
マカーリオ帝国カンナヴァッチュロ州都カンナヴァッチュロから南に少し言った所の街、フレスコバルディに私達はいた。ここは有名な温泉街の、カンナヴァッチュロ州、第二の都市である。どうせならもっとゆっくりと来たかった所だけれど、そうはいかないのが現実である。仕事しないと、私達は飢えて死ぬしかなくなるからね。仕方ない。
とりあえず、私達に依頼をした商人の息がかかってるホテルへ行き、そこで経費を受け取り、私だけ外へ出て色々と雑用をこなす。本当なら他の国で買ったものを他の国で売る、っていうスタイルが良かったんだけど残念ながら私達にそんな商人の才能はないからこうやって無茶をするしかない。生きるためには仕方がないのだ。…まあ、いつまでも罪人が生きてて良いのか、なんて思う時もあるけど折角陛下の温情で国外追放で住んでいるのだ。生きれるのなら生きていたい。
さて、そんなことを考えながら私は歩いていると、どうやらつけられている。……うん、まずい。土地勘がないから撒けない上に相手は数人である。相手にしたところで勝てるかどうか、は相手の力次第である。ただ追尾をわかられるということは、私をつけている人はそこまで手練ではないということなんだろう。街中でやりあえば、下手すれば私がお縄である。流石にそうは行かないよなあ。
しかし、どこで向こうに顔バレしたのだろうか。依頼人に売られるようなヘマはしてないし、あるとしたらフレスコバルティに入った時、ぐらいなんだけれども。”商品”の顔写真はもう回ってるだろうし、多分追手だけじゃなく先回りする人達だっているでしょう。
気がついたら、人がだいぶ少ない、旧市街の方に追い込まれてしまったらしい。私は此処で消されてしまうんですかね。嫌だなあ、死ぬの。殺めるのも、せっかくの温泉街なのになあ、なんて思う。とりあえず、トライクを降りて、適当な所に止め、路地裏に入る。追手達も後を追いかけてきた、路地裏は意外と短く、すぐ行き止まりにつく。私達以外に人がいる様子はまったくない。
「追いかけっこは終わりだぜ、嬢ちゃん」
「なんですかね。私、ただの旅人なんですけれど」
「はっ、そうだろうがなんだろうが、うちの店から逃げ出した商品を匿ってるじゃねえか。それだけでこの国では重罪で死刑なんだよぉ!」
「あらやだ、帝国ってそんな野蛮な国でしたの?怖いですわぁ、さっさと出国するので許してくださいます?」
全然男たちを怖がってない口調でそういった私。追い詰めてきた相手はどうやら3人。チンピラA,B Cといった所だろうか。いや、うちの店っていってるんだから偉い人達の可能性も?いや、ないな?
「許すわけないだろうがああん?さっさと死ぬか、商品がいるところまで紹介しろやおぉん?」
「いや、こんな所に追い詰めたのはお前らだろうが。私はここから私達がいるホテルまで行く道なんて一切しらないぞ?」
「おぉん?なまいってんじゃねぇぞ?!」
男達が一歩近づいてくる。さて、どうしたものか、と私はホルスターに手をかける。あんま、こんな至近距離で使いたくないんだけれども。私、汚れるし。さっさと安全装置を外し、ホルスターから外して数秒後、銃を撃つ。
「まあ、いい!やっちまっっっっっっっっっっっ」
「あにきっ?!?!?!?!?!?!?!?」
兄貴は死にました。いや、一歩近づいて襲ってこないから撃たれるんだよ。兄貴が死んで慌てるチンピラ二人を冷静に見ながら、もう1、2発、頭を打ち抜いて私を尾行してたチンピラをやった。私、少しだけ血で汚れる。どうやって帰ったものか、なんて問題で頭を重たくしながらトライクをおいた場所へと帰るのでした。
そんでもって、なんとかどうにかしてホテルへと帰り、その後、すぐにフレスコバルディを離れる事を渋る二人をサイドカーに無理やり乗せフレスコバルディを離れたのだった。私だって一日半で離れるとは思わなかったよ、なんて、疲れた体で愚痴りながら。




