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放逐女性達の旅人日記  作者: 霜月 睦月
第二章 ドノン共和国編ー下・少女の恋ー
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ドノン共和国 少女の恋編3

「・・・・・・・・・・、はじめてあったのは、ルイーズ様に、つくようになってからでした」

「5年前、ってことになるのですね」

「そうかあ、5年前かあ」


5年ほど前から、この人達と一緒にいるのか、と。割と大変そうだなあ、なんて思う。いや、クロエは姉妹だからもっと前からか。ドミニクはいつからかはわからないけれど。いつかドミニクとクロエの話も聞きたいところだけれど、多分、今回はニナの話だけにしておこう。まあ、聞ける時が来たら、聞いておこう、ぐらいのノリで。

あと、突っ込むと多分私達のなれそれも聞かれそうだし、今はまだ、心の傷が開かないように説明できない気がする。ニナもまだ傷が開かないように説明できないかもしれないけれど、説明するというのなら、あまり突っ込まず聞くまで、である。他の三人がどこまで突っ込むかわからない、が。


「ねえ、クロエ。私達があったのって…?」

「十年ぐらい前になりますかね。だから、その後です」

「後かあ。…あの頃のクロエは、なんか荒んでたよね」

「そうですね。丁度あれ気味だった頃の話ですか」

「…姉上って、何年かに一度、荒む時ありますよね。ここ最近はありませんが」

「まあ、それは、ドミニクにあったから…」


もぞもぞ、となにか言い出したクロエ。いや、最後の方はホント聞き取れなかったんだよなあ。とはいえ、今はそれあんまり関係なくて。

ごほん、とルイーズが咳払いをする。まあ、流石に何度もイチャイチャ空間に一人は辛いか、と思った。


「そうですね。あの頃、姉様と私は仕事がなく貯金を切り崩しながら暮らしていました。それは、名家としてはとても許せる話ではなかったのです。そこで、お祖父様のつてを使い、私達はルイーズ様の表と裏で働くことに」

「そうそう、前の働き場所が見事に没落してね。その後ヘッドハントされたのがベケ家だったんだよねえ」

「まあ、私が飼ってた人達がちょうど世代交代したい、っていう時期でしたので。ちょうどよかったんですよねえ。…まあ、ちょうどよく没落させた、っていうのもあるんですが」

「えっ」

「あ、やっぱり。そうじゃないかなあ、なんて思ってました」

「まあ、マリーの前で言うことじゃないし、私達は墓まで持っていくつもりだったけれどね。ルイーズ様本人がばらしたならしょうがない」

「しょうがない、です」

「えっ…」


一人納得してないようで、何度か、姉妹とルイーズの顔を見やるニナ。いや、まあ、たしかにあれよね。信じてた人が突然前の会社潰しました、とか言われてたら、納得も理解もできないよね。分かる分かる。多分私もそうなったら理解も追いつかないし納得もできない。


「伯母様…」

「いや、仕方じゃない。歳には勝てない、って言ってたし。…それに、前のところより給料の払いはいいでしょ?」

「確かに。前の所はひどかったですわね」

「そうですね…。良い所にヘッドハントされた、と言うべきなのでしょう」

「そうでしょそうでしょ?」


なんだか、ドヤ顔して私とジョゼをみるルイーズ。いや、わかった。部下に好かれてるのはわかったし、給料の払いが良いのはわかった。だからといって私達をそんな顔で見られても困る。苦笑を浮かべるしかない。ジョゼもおんなじような反応をしているだろう、もしくは、呆れているか。

まあ、呆れるのはきっと身内だからだろう。私はほんと、困ったように苦笑を浮かべるしかできないのである。


「それで、ニナ。君の恋の話だけれども」

「ああ、そうでした。…そうでした」


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