表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放逐女性達の旅人日記  作者: 霜月 睦月
第二章 ドノン共和国編ー下・少女の恋ー
18/64

ドノン共和国編 少女の恋編1

 仮面舞踏会から一夜明け、首都サヴィニャックにある元首官邸の近くにあるベケ家邸。そこで私達は、食事とお酒に舌鼓をうっていた。いや、多分、他のところだと大混乱になるからここなんだろうし、元首官邸では少しお硬い、ということでここなのだろう。それは私達にとっては都合がいいのかもしれない。

 なんだかしっかりとしたシェフが家にいるのはちょっと驚くが、まあ、元首だからいるのは当たり前だよな、なんて自分に言い聞かせる。なにせ、元首だし。メイドとかウェイターとかいるし、そりゃシェフだっているよな。部屋もたくさんあるっていってるわけだし。


「・・・で、えーと。改めて自己紹介をしてほしいのだけれども」

「あ。うん。僕の右側にいるのが」

「クロエ・エリザベト・ドノン。本当にドノン家の一族ではあるわ。…まあ、ベケ家への恨みは一切ないけれど」

「ない、ね。感謝はするけど、恨みなんて…。って姉さん?!恨みって言ったの?!」

「まあ、そうでもしないと彼は乗らなかったでしょうし」

「うふふ、その恨みの内容はは私が考えたのよ」

「叔母さんはノリノリで考えそうだよね」


 その恨みの所は詳しくは聞かないことにした。いや、結局作られた恨みだし、多分そこまで語れるような話ではないだろうな、と思っている。それにもう、終わった話である。終わった話を掘り返すのは、いくらなんでも失礼にあたるからね。…いや、誰にとっても、あまり触れられたくない話ってあるもんだよ。素面でも素面じゃないとしてもね。


「右のドミニクは?」

「ドミニク・サラ・ドノン。まあ、私はマリーの義姉、でクロエのお嫁さんなんだけどね。実家はジラルディエール」

「…見事に恨みがある家として名前を上げた両家とは。更に一つは、実家だろう?」

「そうそう、まあ、実家の方は無許可だし、伝わることはないだろうけれどねえ」

「伝わってるかもよ?」

「お祖父様に怒られるわ。「儂は兎も角、恩のあるベケ家に迷惑を掛けるとはどういう事だ」って」


少し震えるドミニク。なるほど、無許可でなにかそんなことを言われてるとなると、たしかに怒られるかもしれない。まあ、ドミニクのお祖父様がどんな方がよくわからないので、恐怖が伝わらないのだけれども。ただ、恩義を感じているので、確かにただの口八丁とはいえ、そういうのは怒るのかもしれないなあ、と。


「まあまあ、そのへんは私が言い出したことだし、エドガールだって許してくれるでしょう」

「そうだといいんですけどね、ルイーズさんだってお祖父様の頑固さは知っているでしょう?」

「そうねえ。こう、と決めたらガンとして考えを変えない方ではあるわね。そんな人だから、私は助かっているのだけれど」

「…伝わらない、といいなあ。罰掃除とか、この歳になってまでやりたくないわ」

「そうなったら、私も手伝うわよ」

「クロエー…」


マリーさんの背中越しに抱き合おうとして、マリーさんに両手で引き離されるクロエ、さんと、ドミニク、さん。いや、まあ、たしかにね?イチャイチャされるのはあれだし、ぐいーって押されるのも嫌なのはわかる。

でもそうやっていると。


「もー、マリーったら。大丈夫よ、マリーも大好きだから」

「私もー」


そう言って両側から抱きしめられるマリーさん。まあ、そうなるよな。そうなるのだ。

なんだか助けを求める目を受けているが、私は少し知らんぷりをする。いや、ここで助け舟を出すと…。いや、助け舟を出さなくても。


「ねえ、ヴィヴィ。私達もラブラブしていいよね?」

「いや、どうだろう。…どうかな、ルイーズさん」

「私は一向に構いません。…むしろ姪がそうしたい、というならそうさせるべき、だと思いますわよ」

「…そうかあ。やはりあの方々の伯母上なんだなあ…」


はふ、とため息を付きながらそう言って。とりあえず、ルネの方をむき、おいで、と両手を広げる。そこにがばーっ、と向かってくるルネ。うん、すんすん、と私の匂いをかぐのは人前ではあまりよしてほしいんだけれども。くすぐったいし。

ただ、拒否をすると多分もっと面倒くさくなるので、拒否はしないし、私が拒否をしない、というのはルネはよく知っているはずだ。ということで、ルイーズさんは一人でにこにことしながら、このラブラブカップル空間にいるのである。つよい、精神力が強い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ