痛い日差しと日常の壊れる日
日差しが照り付けるとある日。
この日は太陽の光が痛いと感じるほどの暑さだったっけか。
人の日常が無くなるのって一瞬なんだと思う出来事があった。
いつものように、仕事場にバイクで出かけた。
車の通りはいつも以上に空いていて、スムーズに流れていた。
もちろん、バイクで行く自分も自然にスピードが上がる。
交通事故とはこういう時に起こるのだろう。
そう思ったときには時すでに遅し。
目の前に一時停止無視のトラックが現れ、とっさにブレーキをかけるが間に合わず衝撃が自分の体を駆け巡る。
ここから意識を失い。
気が付くと、白い天井の部屋に寝ていた。
妻は泣き崩れており、駆けつけた妻の両親も一緒になって泣いていた。
あれ? 起きているのに気が付いてくれない?
声を出そうとしても、声が出ないし体に力も入らない。
まるで、自分の体が金属のボルトで固定されているかのようだった。
音も聞こえないし、声も出せない。
辛うじて光と景色だけは見える。視力だけはある。
顔も動かせない。
ああ、これが生き地獄か。
植物人間状態ではないが、体も耳も動かず聞こえない状況では植物状態と変わらない。
心臓だけが動く、変わらない景色しか見えないこんな世界は……イヤだな。
「それじゃあ、貴方の魂を奪わせてもらうよ」
太陽の光が痛いこの日、私は目の前に現れた、大鎌を持つ黒衣の“死神”に自らの魂を奪われた。