表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

2

 からくり人形のように町の停車場でシェリーの帰りを待つヨゼフ。


 ある日、気になる人影が停車場にいた。その人は十五歳ほどの少女のようで、背が低く、肌を見せないように長袖に手袋を身につけ、顔を隠すように麦藁帽子を深く被っていた。それだけならば彼もあまり気にしなかったかもしれないが、異様に気になったのが、彼女のスカートだった。彼女は( すそ )のあっていないスカートを履いていた。足元があまりよく見えないのだ。動けばもしかすると靴のつま先くらいは見えるかもしれない。そう思ってしまうほどに長いのだ。あの服装では動きにくかろうと傍目( はため )で見て感じていた。


 次の日もその少女は立っていた。昨日と同じ服装で、長袖に手袋を身につけ、顔を隠すように麦藁帽子を深く被っている。スカートの裾の長さも変わりがない。


 また次の日もその少女は立っていた。その次の日も、そのまた次の日も。


 そして少女の服装は変わらなかった。服をあまり変えられない家の子なのだろうか? 長すぎる裾も服を買い替える余裕がないからかもしれない。


 いつしか少女が気になり、傍目で彼女の様子を( うかが )うようになった。


 いつも変わらぬ服装で毎日停車場にいる彼女は、自分と同じように誰かを待っているのではないかと感じた。


 彼女を見かけてから三ヶ月。ヨゼフは、変わらぬ様子の彼女に声をかけてみた。


「お嬢さん。三ヶ月もこちらに立っているけど、誰を待っているんだい?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ