縁起物
「だるまが転がってくる。」
「逃げろ、だるまが転がってくるぞ。」
「みんな、今回は本当なんだ。」
だるまが、だんだん近くなってきている。
「だるまが転がってるんだ。」
狼少年と呼ばれているからか、みんな反応してくれない。
「嘘をつくのは、やめたんだ、信じてくれ。」
狼少年が言うと、ある1人がこう言った。
「狼少年の言うことは、嘘に違いない、でも、だるまは、縁起物だから、信じてみても良いんじゃない。」
他のもう1人がこう言った。
「でも、狼少年が言ったことを信じるのは、なんか嫌。」
もう1人はこう言った。
「だるまだけは、信じたい。」
続いて、多くの人々がだるまを信じることに決めたのである。
大きなだるまは、都市の方へ向かっていたが、方向を変え、海の方へ向かっていった。
人々は、だるまが方向転換したことを知り、驚き、そして、狼少年を称賛した。
狼少年と呼ばれていた、少年は、みんなから、しっかりと名前で呼ばれるようになったのである。