現地人一号発見!え?生きてる…?
サテラたちをなでなでしていたら狼の遠吠えのような獣の鳴く声が聞こえた。
「ん?アルの声だね。これ」
「何かあったのでしょうか」
サテラが声の方へ顔を向ける。
「行ってみようか」
「ご主人様も行かれるのですか?」
「うん」
ちょっとは動こうと思うよ。私だって。
どれだけ従魔たちが優秀であろうと、全部彼らに任せてただ待っているだけって言うのは気が引ける。
私は両肩にルトルとリトルを乗せ、ラトルを抱えたままステラとサテラと共にアルの声がした方へ向かうことにした。
森の中、どこをどう行っているのかわからないまま私はサテラとステラに付いて行く。
「あ、声が近いね」
「もうそろそろですかね。あの子たちは小さいですがご主人様の従魔であるだけあってそれ相応の能力を持っています。その彼らが我らを呼んでいることが気になります…ご主人様気を付けてください」
「あ、はい」
アルの声が気になるんで来ちゃったけど、私来ない方がよかったかな…。
ラトルに言われ、自分の行動の軽さを反省していると再びアルの声が響いた。
「アルとウル以外の魔物の匂いもします」
「サテラ、アルたち怪我してないか先に行って見て来てくれる?」
「わかりました」
サテラに先に行ってもらい、私たちも向かった。
……
…
サテラが向かった後を追うように森を歩くと、森の至る所にまるで切り裂かれたような爪痕や押し倒された木々などあった。
さらに森の爽やかな匂いをかき消すように充満した血の匂い。
慣れない血生臭さに気分が悪くなる。
「大丈夫ですか?ご主人様」
「……うん。まだ大丈夫…」
血の匂いに顔を顰めていたらルトルとリトルに心配された。
心配してくれる従魔たちに笑い返し、私は足を速める。
血の匂いの充満した場所を抜けると、サテラの大きな姿が見えた。
「サテラ」
「ご主人様こちらです」
私の声に反応したサテラが振り返る、その先にアルとウルの姿もある。
「アル、ウルどうしたの?」
「ご主人様」
何かを見ていた2匹が私の声に振り返り、しっぽを振った。
私はラトルたちを連れて彼らのもとに向かった。
アルたちが座っているさきに、一つの影がある。
人が倒れている。
顔は見えないが、若い男のようだ。
怪我をしているのか、ぐったりと倒れたままピクリとも動かな。
「アル、この人、どうしたの…?」
「僕らが来た時、オーガに襲われていて…」
「まだ生きてる?」
「はい。気を失っているだけかと」
そう言ったアルにほっとして、私はステラを振り返った。
「ステラ、悪いんだけど、この人さっきの湖まで連れて行ってくれない?」
「畏まりました」
「ルトル、この辺で怪我に効く野草とかある?」
「それでしたらレムやラムの方が詳しいかと」
地面を進むレムとラムの方がそういったものを見ているらしい。
取り敢えずルトルとリトル、アルとウルにレムとラム、それに姿の見えないイルとエルを探しに行ってもらい、私はサテラとステラ、ラトルと共に気を失っている青年を連れて元の湖に戻ることにした。