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名前を付けたらハンターウルフがでっかくなったらしい



異世界に転移して、いつの間にか貰っていた転移特典は『女神の卵』。

ワンパック200円の鶏卵みたいな卵が孵り、11匹の魔獣が生まれた。


一番最初に私に話しかけてくれた黒竜、その世界ではブラックドラゴンと呼ぶらしい、名前はラトル。

卵から孵った魔獣たちの中で一番大きな身体をしているがとても真面目で穏やかな性格のみんなのお兄さん的なドラゴンさん。


生れはみんな一緒なのでみんな同い年だと思うんだけど。

性格の違いか、なんとなく、ラトルがみんなをまとめているように見える。


ラトルの次に大きいドラゴンはリトル。

火竜ファイヤードラゴンでラトルの弟分である彼は、とっても無口で不愛想なのか未だに会話が続かないが、無愛想だけど優しさがない訳じゃない。彼は私の従魔の中で一番みんなの事を考えていて皆を一歩離れたところからしっかり見ていてくれているのを私は知っている。知っているので彼をなでなでしたい。したいけどやり過ぎると怒るのでそこの匙加減が重要だ。


そんなリトルの心の声を勝手に伝えてくれるのは白い鱗が綺麗な風竜フェーンドラゴンである、ルトル。美人で知的な頼れるお姉さん的なドラゴンさん。ちなみにルトルはラトルとリトルよりもひとまわりくらい小柄だ。


ラトルとルトルはドラゴンさんと言いたくなるぐらい大人な感じのあるドラゴンなんだけど、リトルは反抗期真っただ中の少年みたいな口調でルトルに口答えしているのでドラゴンさんというかドラ君と言いたくなる若さを感じる。


続いてフェンリル姉妹のサテラとステラ。


額の模様が赤いフェンリルがサテラ。

大人しく穏やかな性格で、いつも一歩引いたところから皆を見守っているようなお母さん的な温かみがある大人な雰囲気を持ったフェンリルである。


反対に、額の模様が青いステラは、大人しい性格ではあるがどことなく天然臭のある発言を零す茶目っ気のあるお姉さんのようなフェンリルだ。


ちなみのこの2匹のフェンリル、とっても良い毛並みでモフモフ具合は最高。

ずっと触っていたくなるような毛並みをしているのだ。


続いて、ハンターウルフ4兄妹。

長男アル、長女ウル、次男イルと末っ子の妹エルの4匹だ。


卵から孵ったころはフワフワな毛並みの柴犬サイズ3匹と小さいサイズの柴犬1匹だったのだが、名前を付けたら見た目が変わったのだ。


長男アルと次男イルは名前を付けたら大きくなり、アラスカンマラミュートのようなシベリアンハスキーのような見た目の可愛らしさよりもかっこよさが際立つハンターウルフへと変化し、長女ウルも柴犬よりも大きくなり秋田犬のような愛らしさを残したが大きな体格のハンターウルフへと変わった。


末っ子エルだけはどういう訳か、普通サイズから退化して豆柴と言いたくなるほどコロコロとした見た目のマスコットのようなハンターウルフになったのだ。


4匹とも見た目は大きく変わったが、性格は生まれたときのままで、アルは忠誠心が高い騎士のようなまっすぐな真面目な性格。イルは好奇心旺盛でやんちゃな性格で、ウルはおっとりとしたマイペースな性格。エルは喜怒哀楽がはっきり顔に出るなんとも素直な性格ととっても賑やかな4兄妹だ。


ハンターウルフ4兄妹の毛並みもフェンリル姉妹に勝る劣らずのとても良い毛並みであることを付け足しておく。


そして最後にスライムツインズのレムとラム。

青いゼリー状のスライムボディーを生かし、とても豊かな身体言語と間延びした独特の喋り方をする2匹だ。

好奇心旺盛で気になるところにはどんどん突っ込んでいく活発的なレムと、その一歩後ろを追いかけ、いつでもどこでも気づくと寝ているラム。


静のラム、動のレム。


正反対な性格ではあるがとても仲良しの双子だ。


「…」


この異世界に転移して早4日。


私と従魔の魔獣たちはレムとラムが見つけた湖のほとりで過ごしている。


「スー…スピー…、プスー…」


膝の上で居眠りをするのはラム。

今日も気持ち良さそうに寝ている。


「ご主人様は寝なくて大丈夫ですか?」

「ん。大丈夫。いっぱい寝たから眠くはないんだけど、何だか動く気になれないんだよね」


心配してくれるサテラにそう返し、ラムのプルプルボディーを撫でる。


そうすると自分も撫でてくれと言いたげに、サテラが顔を寄せるので、その大きな鼻先をくすぐる。そうすると仕返しというようにふさふさの長いしっぽが私の頬をくすぐる。


動く気になれないのは多分、サテラの毛並みのせい。


ふわふわサラサラの白銀の毛並みに動物体温の温かなぬくもりに背を預けているため、ここから動きたくないのだ。


ハンターウルフ4兄妹に名前を付けた後、サテラとステラに温められているときに一度目を覚まし、その時ついでとばかりに、考えていたサテラたちの名前も口にしてしまい、気付かぬうちに全員に名前を一気に付けてしまったため、私は大幅な魔力低下を起こし3日ほど寝ていたのだ。


その間、私をサテラとステラ、大型モフモフ犬に成長したアルとイル、ウルは交代で枕兼ベッドになっていてくれたらしいのだ。


それを聞いたのは今日目が覚めたときだった。

申し訳ないない気持ちになったが、おかげで野宿であるはずなのにとても良い睡眠を得られたので今ではもうしっかりと魔力が回復した気がする。


「サテラ、サテラたちはちゃんとご飯食べてる?」

「ええ。この湖の周りはわたくしたちがいるので弱い魔物は寄ってきませんが、少し森に入れば至る所に居るので食べ物には困りませんね」

「そっかー」

「ご主人様も何か食べますか?」

「ううん。いいかな。調理道具もないし、火もないからちょっと生肉を食べる気にはなれないかな…」


流石に生肉、しかも魔物のお肉を頂く気にはなれない。


なので私はエルとレム、ラムが見つけてくれた木の実を食べていたが、ずっとこのままここに居るのはなあ…お風呂にも入りたいし、服も着替えたい。


あと、出来ればこの世界の事を知っておきたい。


「うーん。サテラこの近くに街、えーっと、人がたくさんいる様な所ってあった?」

「人間ですか?」

「うん」

「そうですね…んー…私たちが食事を探している範囲にはいませんので、少し探しに行ってみましょうか?」

「お願いできる?」

「畏まりました。早急に調べてまいります」


サテラはそう言うと、「アオーン」と鳴く。


そうすると少し離れた場所で遊んでいたステラをはじめとする従魔たちが集まってきた。


「どうしましたか?ご主人様」

「どうしたのー?」

「なんでしょうか?ご主人様」

「なになにー?」


サテラの一声で一瞬で集まった魔獣たち。


「えっとね、町を探してほしいんだけど」

「町ですか?」

「まちってなーにー?」


ラトルたちが小さく首を傾げ、レムがプルプルしながら聞く。


「人、人間がたくさん集まっている場所。そういう場所に行きたいんで、探してほしいんだけど、ラトル、リトル、ルトルあとサテラとステラは待機して、アルたちハンターウルフ兄妹とラムとレムで探してほしい」

「「「了解です」」」

「「「はーい!」」」


アルたちは返事をしてあっという間に森の中へと走っていった。


「はえ―…一瞬でいなくなったよ」


あっという間に見えなくなったアルたちの姿を見送った私をラトルが見下ろした。


「なんですか?ラトル」

「どうして我々は待機なのですか?我々であればアルたちより早く見つけることができると思いますが」


歯がゆそうにつぶやくラトル。

そんなラトルに同意するようにルトルも頷く。


「そうですよ。ご主人様。私たちであれば空からすぐに見つけることができます」


ルトルの言葉に私も頷く。


「うん。サテラとステラだってアルたちよりも足も速いしね。なんだけど、さすがにね、ドラゴンとフェンリルが町の近くに出たってなると人は騒ぐはずだから」


この世界でドラゴンとフェンリルがどういった立ち位置になるのかわからないが、普通に考えてこの巨体が町に近付いたらビビるでしょ。


私だってビビる。絶対ビビる。だってビビったもん。いきなり卵が孵って自分よりも大きな怪獣って言ったらこの子たちに失礼だし、今はそんなこと思っていないけど、初めて見たときはホントにびっくりしたし、怖いとも思った。


「ちゃんと話せばみんながいい子で、話の分かる子たちだっていうこと分かってもらえると思うんだけど、人間って恐怖にかられると何するかわからないからね。君たちに何かあっても嫌だし、出来れば穏便に町に行きたいから、今はまだ待っていて」


そう言ってサテラの鼻の頭をなでると、ステラやルトルも撫でてほしそうに頭を下げた。


私は順にステラとルトル、ラトルとついでとばかりにリトルを撫でた。


リトルに若干嫌そうな顔をされたが、気にせず撫でていいとルトルとラトルの許可が出たので気にせずラトルが下げてくれたリトルの頭を撫で、アルたちが戻ってくるのを待った。



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