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誕生日パーティ(佳織)

 家の掃除を普通に終わらせても暇だったから外に出たら庄一とばったり出くわして、折角だからということで散歩しながら会話をしていたら人生相談みたいな感じになったので半ば投げやりに解決策を提示して別れ、昼になったので家に帰って一人で昼食を摂り読書。


 それが、二時頃に両親と姉さんが帰ってくるまでの僕の行動。


 帰ってきた両親に連れていかれた姉さんを見るに、相当大変だったようだ。というか、メイクもそこそこに連れていかれたからほぼスッピン見られたってことだよね……まぁ、地元だからダメージは少ないか。


 まぁそんなことを考えながら読書をしてたら両親は準備が終わったことに安堵したのか明日の打ち合わせについて始めたので、本を読み終えた僕はそんな二人を尻目に自室へ戻る。姉さんは戻って来てからメイクをしてそのまま出かけた。


 読み終えた本を本棚に戻してから、明日の朝食をどうするか考える。

 弁当を作っても良いけど、そうすると帰ってから下準備しないとダメなんだよなぁ。はっきり言って面倒。朝食だけなら、手抜きと言われようが朝起きて作ればいい。どうせ起きる時間は変わらないし。


「どうしたものかな」

『……マスターは時々答えを持ってるのに悩んでますよね。どうしてですか?』


 シルフがそんなことを言う。確かに持っているけど、それを実行する際のデメリットも浮かんでいるからつい第三の選択肢が欲しくなるんだよね。


 まぁ、結局出ないんだけど。


 そんな言い訳を脳内で考えながらフェリアがした判断について考える。

 誰かから連絡・通知が来る度に報告してきたフェリアが今回、佳織の電話について報告しなかった。

 それについて訊いてみたところ、僕がイヤホンをつけてなかったからだという。要するに、周りから人の声が『聞こえた(・・・・)』から、声を出して報告してはまずいと『学習』したということらしい。


 納得できたので気落ちした様子のフェリアを褒めておいた。多分、これからこの配慮は続くだろう。いつまで続くか分からないけど。


「……訊いた方が良いかな」


 ちょっとした懸念事項に対する質問が浮かんだけど、問題が起こったわけでもないので頭の片隅にでも置いておく。


 まぁ多分、向こうからくる可能性もあるし。


 脱線した思考でまとめた僕は、最終的に「明日の朝は簡単に作って弁当は無し」という結論にいたり、時計を見る。


 ……まだ三時。会場となるホテルは駅前にあるので徒歩でも十分に間に合う。まぁ、タクシーでも良いけどお金がなぁ。


 あ、そろそろ着替えないといけないかどちらにせよ。


 両親はどんな選択をするんだろうかと思いながらクローゼットを開き、スーツとワイシャツを出して着替えることにした。




 二度目となると手間取ることもなく。

 あっさりと着替え終えた僕は、荷物を持って部屋を出る。やることはないけども、両親がどうなっているのか気になっているし。


 さっきから静かな理由は何だろうと思いながらリビングに来てみたところ、二人ともゲームをしていた。



 …………。


「ねぇ二人とも。時間」

「……ん? ああああああああ!!」

「あああああ! ってまだ少しあるじゃない」

「いや、そういう問題じゃないと思うんだけど」


 父さんは焦ったのに対し母さんはすぐさま冷静になったのですぐさま言い返す。約束の時間まで余裕があるのは事実だけど、その流れでゲームをやる神経はどうなんだろうか。というより、スーツ着ている息子に対し驚くとかないの?……まぁ姉さんが言ったんだろうけど。


 とりあえずゲームを再開した二人を眺めるように椅子に座った僕は、移動手段について訊いてみた。


「歩くの?」

「タクシー呼んだからそれで。あと五分ぐらいだな」

「……それならゲームやめなよ。見た感じ準備終わってないじゃん」

「玄関先にプレゼントは置いてあるわよ。それに、ドレスコードは今着てる服で十分だし」


 母さんの言葉につられて観察してみたところ、幼い頃僕と一緒にパーティに参加していた時の服装のような感じだった……って、そのまま家帰ってから過ごしていたのひょっとして?


 ものぐさだなぁと思いながらゲームの電源を落としてテレビの電源を切った両親は、伸びをしてから僕を見て少し驚いた。


 理由が推測出来ているので「姉さんから聞いていたでしょ?」と肩を竦める。


「確かに聞いていたが、あまりにもピシッと決まり過ぎていてな……」

「貫禄があるわね」

「それ、褒めてるの?」


 そんな感想を受け取ったところ、家の外からブレーキ音が聞こえた。どうやらタクシーが来たようだ。

 さてプレゼントはトランクに入るかなと思いながら箱を持った僕は両親に「行こうか」と促した。




 タクシー代は普段の食費を出している財布から。荷物はちゃんと入った。

 とりあえず領収書を出してもらって荷物を持って出た僕は、地元だというのに近寄らないからか目の前のホテルに少し圧倒される。


「どうした連。今更じゃないのか?」

「そうなんだろうけど、いざ地元にこんなホテルがあると分かると驚かない?」

「この地域に社長とかそれなりにいるもの。普通じゃない?」

「え」


 母さんのあっさりとした言葉に思わず声を漏らす。

 いや、確かに寺井さんや佳織が近くにいるけど(佳織は今年戻ってきたけど)。それって結構珍しい事じゃないってことだよね? 大なり小なり会社を経営している人が居るのは確かだとして、それだけで七階建てぐらいの高さのホテルが必要かな~?


「他の地域や国からも交渉とかで偉い人とかが来るんだ。普段はそういった人たち向けだな」

「まぁ解説はこれくらいにしてさっさと入りましょう」

「あ、うん」


 母さんに正論を言われたので他の地域にもこんなホテルがあるんだろうなと思いながら、ホテルの入り口へ向かった。


 地元だというのに初めてこのホテルに入った僕の感想は、凡そ低俗なものなんだろうと思う。


 手入れの行き届いた内装。塵一つもなく、雰囲気からして一般人が気後れするような圧がある。調度品も格式を合わせるためか高いものだろう。職人が妥協せずに作り上げた商品だと分かる。

 働いている人たちのスーツにヨレがなく、変なしわが入っていないことから身だしなみにも気を遣える人たちだというのが窺える。


 総括すると、場違い感が凄い。あとは、どのくらい掛けたんだろう、この場に。


 入ってすぐにホテルマンの一人が僕達に用件を聞き、父さんが招待状を出して彼に渡している間に見渡して思いついた感想。

 確認したホテルマンが招待状を父さんに返してから「こちらです」と案内を買って出たので、どうせ場所知ってるんだから僕達に行かせればいいんじゃないかなと思いながらついていくことにした。



 後を追ってエレベーターに乗り、会場に到着するまでこれから(・・・・)の事を考える。


 多分、元達は今回の犯人に勝てない(・・・・)。今まで対峙してきた人物とタイプが違うから。能力のごり押しで何とかなるタイプじゃなく、人間の動体視力や身体能力で勝てなきゃダメなタイプ。

 被害者の中には当然超能力者や魔法使いがいる。そこを分析(・・)すると、如何に能力が強力でもそれに頼っていたら負けるという結論に至れる。


 まぁ最悪死体になる可能性もあるのか、嫌だなぁ。まぁ僕に関係はないし。


 次に庄一。こればっかりはどうしようもない。無理矢理叩き込めなくはないけど、彼の悩みを手伝ってほしいという言葉を言われたわけでもないのに図々しいだろう。今日は少しだけ答えた(手伝った)けど。


 あとはまぁ学校での過ごし方かな。佳織とレミリアさんの関係とか。爺ちゃんたちの話とか。


 そろそろまともに交友関係広げないといけないかなぁと思っていたところでエレベーターが止まったらしい。体に少し振動が伝わる。


 思考を止める。僕に対する好意とか、他人がする僕に対する心配事に対しても。


「こちらが本日の会場になります」


  その言葉で僕は、気持ちを切り替えた。

この事態なら外に出ずに小説書けば更新頻度上がるんだろうなぁ……

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