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クエスト

僕は今二階に言っている彼女のことを思い出す。


(まさかね)

「??どうしたんだルー」

「いや、なんでもないです」


それからはくだらない話をして過ごした。


「それじゃあ俺達は宿に戻るか」


ゼルさん達は荷物を持って立ち上がる。


「ルー、何かあったら俺らを頼れよ。1番通りにある『木葉亭』に当分は居るからな」

「わかりました」

「ああ、それと明日の朝からでいいか?」

「?・・・ああ剣のことですね」

「たく、忘れるなよ。で、どうする?」

「はい、お願いします」

「それじゃあ、いつもの場所でな」


そういってゼルさん達はギルドを出て行く。


その後姿を見ながら考える。


(赤い髪?レアさんじゃないよな・・・・・・・でもレアさんはお金があるのに宿には泊まらなかった、依頼するにしても普通は道中に使用するために依頼とは別のお金を用意するのが普通だ。此処に来る間に何かあって使ってしまったから?それならわかる・・・・・・・・けどもし、レアさんはお金に余裕があったけど使えなかったとしたら?)


僕は頭の中でいろいろなことを考えたが結局はわからない。


「なに難しい顔をしているの?」


振り返るとレアさんがいた。


「い、いや、ちょっと考え事」

「そうなの?」


彼女は首を傾げる。


「それよりクエストの方はどうだったの?」

「一応依頼をしてきたわ、でもこの街で受けられるのが数組しか居ないみたいで」

「なら結構時間がかかるのかな」


クエストを受けるにはギルドが定めた条件があり、その条件を満たさないと受けることができないのだ。


「う~ん、すぐにこの街を出たいことを受付の人に話したら相場以上の値段を出すことを薦められてね」


僕はだからお金があっても宿に泊まらなかったのかと納得した。


「そっかじゃあすぐに見つかるね」


僕もそうだが実りのいいクエストは取り合いになるのだ。それにランクの高い冒険者なら報酬は僕とは比べ物にならないくらい良くなるから相当な依頼料が必要になるのだ。


「それよりルークの方は?」

「今日はいい依頼はなかったよ」

「じゃあ今日はどうするの?」

「町の外に出て食材でも集めようと思っているよ」


この町の周辺は比較的に緑豊かな森があって子供達がおやつを取りに行ったりしている。危険は一切ないわけではないが冒険者や猟師がたまに間引いているので被害は零に近い。


「なら私も行くわ」







というわけで僕達は今、森にやってきている。


森はいつどおりだ。


「おっこれは食べられるな」


僕は木の根元にあるキノコを採る。


「・・・・・・・それ食べられるの?」


レアさんは僕が持っているキノコを指差して言う。


「大丈夫だよ。それに意外とおいしいんだよ」


キノコは毒々しい紫色でぶつぶつなどがある。こんな見た目だが普通に食べられる。


「そ、そうなの・・・・・あっこれは?」


レアさんはしゃがんで足元にあるキノコを採って見せてくる。


「それは毒キノコだよ」

「ひゃうい!」


レアさんはすぐに手を放す。僕はその反応が面白くて笑っていた


「笑わなくてもいいじゃない!」


と頬を膨らませながら文句を言ってくる。


「ごめんごめん、お詫びにこれ上げるから」


僕は青色の果実を渡す。レアさんは僕と果実の間で視線を行ったり来たりさせている。僕がうなずくとレアさんは木の実を口に運ぶ。


「!?おいしい!」


僕が渡したのはランポという果実だ。この果実は最初は赤色から次第に青色になっていく実だ、赤色の時は渋みがあり苦くて辛いのだが青色になるに連れて渋みも消えて甘くなっていく。


僕が採ったのは完全に青色に成ったランポだった。この状態になるまで残ったランポは貴重だ、だけどそれでレアさんの機嫌が直るなら安いものだ。


僕らは森の中をさらに進み食材を集めていく。


そんな中で目の前にアイツラが現れた。


「ぐがぎゃぎゃぎゅぎゅ」


緑色の肌に醜い顔の魔物、ゴブリンだ。


「なにが、!?」


不用意に顔を出そうとしたレアさんの口をふさぎ身を隠す。


僕は指でゴブリンを指差す。レアさんもそっちに視線を向けるとゴブリンに気づいたみたいだ、僕はレアさんの口から手を離す。


「少し静かにしていてください」


僕は腰にある木刀を抜きゴブリンの後ろに回るように移動する。


(ここからなら確実に一撃与えることができる)


僕は茂みから飛び出しゴブリンの頭めがけて思いっきり木剣を振る。


「ゴガ!」


ゴブリンは僕に気づいたみたいだけどもう遅い


「はぁ!」


僕の木剣はゴブリンの頭に当たった、するとゴブリンの頭だけが吹き飛んでいった。


すぐに僕は周囲に他のゴブリンが居ないか警戒する。


「・・・・・」


周囲に居ないことがわかったのでこの場を離れてレアさんのところに向かう。


「・・・・・・・・なにやっているんですか」


元の場所に戻るとレアさんが頭を抱えてうずくまっていた。


「っ~~~~~~~~」


なにかしらないけど猛烈に痛がっているようだ。


僕は周囲を調べてみるとゴブリンの頭部が転がっていた。


「・・・・・・・・・」


僕は音を立てずにゴブリンの頭を茂みの奥に転がす。


「レアさん大丈夫ですか?」

「~~~~~~あ~~~~痛ったい、何が起こったの?」


レアさんは何があったか確かめるように周囲を見渡す。


「おそらく小鳥が突撃してきたんじゃないですか?」


今でも若干怒っているのに僕が吹き飛ばしたゴブリンの頭が当たったなんて、いったらどんなことになるか。


「はぁならしょうがないわね、そういえばゴブリンはどうなったの?」

「ゴブリンなら討伐しましたよ」


僕はゴブリンを指差す。


「へ~すごいわね、この腕にそんな力があるなんて」


レアさんは僕の腕を見て言う。


確かに僕の腕は筋肉がそこまでついているわけではないから不思議に思うのも当たり前だ。


僕は荷物を持ち直してこの場を離れようとすると


「それにしてもゴブリンの耳をそぎ落とさないの?」


レアさんが不思議に思ったのか聞いてきた。


「ああ、それは――」


レアさんが行っているのはギルドの討伐証明だろう。クエストのほかに魔物の討伐証明部位をギルドに持っていくと報酬がもらえるのだ。


ただこれも年齢制限があって僕が持っていっても換金してくれないのだ。


それに


「頭がないから耳すらもないよ」

「探せばいいじゃない」

「ゴブリン一匹じゃ少なすぎるよ、そんなことをしているよりも食材を探したほうがよっぽどいいさ」


そういって僕達は晩御飯になるものを探し、日が暮れたころに家に帰る。






翌日、僕達はもう一度ギルドに訪れる。


「それじゃあ僕は昨日のところにいるから」


そういって僕は掲示板の場所に向かう。


内容はほとんど変わっていなかった。


けど端のほうに新しいクエストが張ってあったのに気づいた。



『ハガルナ村情報提供:ランク1~

報酬:2000ナルク(有用な情報を提出できた場合に追加報酬有り、なお確認が取れた後に報酬が渡されます)

ハガルナ村の地形などの情報を求めています、なお虚偽の報告があった場合相応の罰が与えられます』



僕はこの張り紙をはがし受付に持っていく。


「すみません、このクエストを受けたいんですが」

「はい・・・・・ではこっちに来てくれるかな」


僕は別室に連れてこられてた。そこで僕はハガルナ村のことを話した。








「ありがとうね、それにしてもなんでこんな詳しく知っているの?」


受付のお姉さんは首をかしげている。


「実は小さい頃にここに住んでいまして」

「あ~、君はハガルナからこっちに移住してきた子か」


お姉さんは納得した顔をしている。


「ごめんね、嫌なことを思い出させて」

「いえ、でもなぜあそこの情報が必要なのですか?」


僕はお姉さんに尋ねる。


「あそこが進入禁止区域になったのは知ってる?」


僕はうなずく。


あの村周辺は魔獣の住処が近くにできてしまい容易に近づくことができなくなってしまったのだ。あそこにいけるのは高位の冒険者しか許可が下りないのだ。



「これは内密なんだけどね~実はあそこに行くクエストが発注されてね、そのクエストを出した人が情報をほしがっているのよ」


このお姉さんは口が軽いな。


「そうだったのですね」

「あっこれ内緒ね、まぁそこまで重要な情報はないけど」


僕はギルドのロビーに戻ってレアさんを待つ。


少しするとレアさんが戻ってきた。


「おまたせ」


戻ってきたレアさんはご機嫌で笑顔を常に浮かべていた。


「嬉しそうだね、どうしたの?」

「実は出していた依頼の内一つが片付いてね~」

「よかったね」


僕達はギルドを出る。


「僕はこれから剣の訓練を受けに行くけどレアさんはどうする?」

「暇だからついていくわよ」


僕はゼルさんと訓練している場所まで来る。


「おっ、ルー来たか」


そこには上半身裸で大剣を振り回しているゼルさんが居た。


「それじゃあはじめるか、と言いたいがそっちは?」


ゼルさんはレアさんを見る。僕はゼルさんとレアさんに互いを紹介した。


「それじゃあ訓練始めるか」

「はい」

「ただ・・・」


ゼルさんはレアさんを見る。そして僕に耳打ちする。


「彼女をほっといていいのか」

「お構いなく~」


どうやら聞こえていたようだ。これにはゼルさんも方をすくめて訓練を開始する。




「それじゃあルークまずは素振りからはじめるぞ」

「はい!」


ゼルさんとの訓練は素振りから始まる。


これはユリウス兄さんのときも同じだ。まずは力強く振れるようになるための型を体に覚えさせるのが最初だ。戦闘中に攻撃したけどまったく力が入らないなんて話にならないからだ。


「押し終了だ、次は一通りの打ち合わせをするぞ」

「はい!」


次にゼルさんと一定の型に沿った打ち合いをする。無論ゼルさんは手加減してくれている。これは攻撃の種類の幅を広げるための訓練だ。


「それじゃあ、最後に模擬戦だ」

「お願いします」


僕はゼルさんと剣を構える。


最後に行うのは僕とゼルさんの模擬戦だ。いままで学んだ剣術を生かせるようにするための模擬戦だ。


ただ――


「はっはっ、あまいあまい」


そういってゼルさんは僕の剣を何度も防ぎいなす、そして僕は何でも木刀を打ち付けられる(軽度に)。


最終的に僕は一撃も与えることができずに模擬戦は終わる。


「お疲れ様」


僕の近くにいつの間にかミレアさんが傍に居た。


「ルーク君は強くなってきたわね」


ミレアさんは頬に手を当てながら言う。


「そうですか?」

「そうよ」


僕は実感してない。


「なんだミレアも来たのか」

「ええ、ルーク君がどれくらい強くなったか興味があるのよ」

「そうだな正直この町のギルドでも結構いい線行くな」


ゼルさんはそういって僕の頭を撫でる。


「これから経験を積めば相当強くなるぜ、こいつは」

「ゼルが太鼓判押すなんてね」


ゼルさん達はこの国有数の実力者だ、貴族や国王からクエストを受けたこともあるらしい。


ちなみにランクは狩人、商人、職人の三つがありS、A、B、C、D、E、Fと分けられる。Sで大国に一、二組、Aで小国に一、二組、Bで領地に一、二組、Cは熟練者の集まり、Eは慣れてきた冒険者の集まり、Fは初心者の集まりとされている。


ただSよりも上のランクも存在するみたいだけど詳しくは知らない。


「それよりゼル、ギルドから呼び出しがあったわよ」

「そうなのか?」

「ええ明日ギルドに来てほしいって」


僕は二人のやり取りを見ている。どうやら指名されたようだ。


「すまんな、訓練は此処までだ」

「どうしてギルドに行くのは明日なのでしょう?」


ゼルさんの言葉に疑問を覚えたレアさんが聞く。


「それは」

「それはな、緊急の場合には明日にでもここを発つことになる可能性があるからな商店とかで物とかを確保しなければいけないからな」


僕の言葉を遮ってゼルさんが説明する。そういってゼルさんとミレアさんはこの場を離れていった。


僕達は夕食の食材を露店で買い家に戻る。





翌日、()は仲間達と共にギルドに来ていた。


ギルドの中を進み


「指名が来ていると聞いたんだが」


俺は馴染みの受付人に用件を伝える。


「はい、ギルドマスターが詳しく説明しますのでこちらに来てもらえますか」


俺達はギルド員に連れられて何度か来たことのある部屋にきた。


「ギルドマスター、ゼルさん達が来たした」


少しして返事があった。


「入れ」


中に入ると大きなテーブルに幾つもの書類があり


それを見ているのは筋肉隆々――――ではなく、それとは真逆で小枝を連想させるようなやせ細った男性だった。


「よく来たな、ゼル」

「ギルマス、せめて話をするときにはこっちを見ろよ」

「すまない、これはどうしてもかたずけないといけない書類でな、今大急ぎで処理しているのさ」


未だに書類から眼を離さず、手ばかり動かしているギルマスに先程ゼルを案内した職員が耳打ちする。


「――――――――」

「・・・・・・・・・わかったわかった」


するとギルマスは書類を置きゼルに目線を合わせる。


「ではゼル、お前達を呼び出した理由だがとあるクエストを受けてほしい」

「まぁ、そうだよなギルマスが俺らをそれ以外で呼び出すことはまずないからな」


ゼルや他の仲間も予想通りという顔をしていた。


「今回はいつもの依頼とは訳が違う」

「どういうことだ?」


ギルマスは傍にいる職員に視線を向ける、その職員は心得たと言う顔をして部屋に用意されているとある道具を作動させる。


この道具は部屋から音を漏らさないようにする魔道具だ。


「今回の依頼は絶対に断るな」


ギルマスは真面目な表情をして伝える。


「・・・・・高貴な方々からの依頼か?」

「そうだ、まぁ少し訳有りだがな」

「どういう意味だ?」


疑問を浮かべる、するとドアからノックをする音が聞こえてくる。


「ギルドマスター、例の依頼人(・・・・・)が到着しました」

「中に通せ」


部屋に一人の人物が入ってくる。


「は?!」

「え?!」


その姿を見てゼルとミレアは驚いた。

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