世界への足がかり
タナトスが出てきたことによりルナリア以外全員の動きが止まった。
『さてルナリアよ、このものたちは殺してもよいのか?』
「・・・・できれば殺さないでもらえると助かります」
タナトスの問いに少し考えながらも答える。
『よかろう、殺すも殺さぬも問題ないからな』
とりあえずここでタナトスが暴れるということがなくなって安心するルナリア。
タナトスのことをみて止まっていたベトロントが動き出す。
「何なのだその変な生き物は!」
ベトロントはタナトスを指差し叫ぶ。
『ふむ貴様は精霊を知らないのか?』
「精・・霊?知らぬ!なんだそれは!貴様のことか!」
「落ち着きください侯爵様」
ベトロントが叫んでいる横でバトリアと名乗った商人は落ち着きを取り戻しベトロントを宥めている。
「だが!」
「おそらくそいつがルナリア殿下が余裕である理由です。」
バトリアは余裕の表情を見てそう判断する。
「そしてそいつが薬をどうにかしたのでしょう」
「なに!貴様が我の計画を邪魔したのか!」
二人はタナトスを睨むがタナトスは毛ほども脅威に感じていない。
『貴様らの計画などそこらの子供が考えたように幼稚だっただけだ』
タナトスの言葉にベトロントは顔を真っ赤にする。
「お前達あいつを殺せ!」
ベトロントの言葉に護衛の騎士達はタナトスに切りかかる。
それを一瞥したタナトスは金色に輝く拳銃を騎士たちに向けてから発砲する。
拳銃から出たのは黒い色の弾丸が騎士たちに当たると騎士は勢いを保ったまま床に崩れていった。
『・・・まさかこれだけか?』
「な、何をした!」
タナトスはがっかりしてベトロントは何が起こったかわからず困惑する。
『時間の無駄だな』
タナトスは銃を他の騎士にも向けて撃つ。他の騎士達も最初の騎士と同じように床に崩れ落ちた。
「こんな簡単に騎士達が・・・・」
『さて次はお前らだな』
残ったベトロントと商人はこちらを見ながら後ずさりする。
するとそこに
「ベトロント様!何かあったのですか!?」
廊下の先から声が聞こえる。その声を聞きベトロントは
「今すぐに全兵士達を呼んで参れ!」
ベトロントは少し余裕を取り戻しこちらを見る。
「今からこの町にいる兵士全員が集まる。貴様はそれを相手にできるかな?」
今度はベトロントが余裕を見せてルナリアが焦った表情を見せる。
「ベトロント、貴方は!」
「ワハハハ」
「貴方は・・・・・兵士たちを犠牲にしたいのですか!」
「ハハハ・・・は?」
思った反応では無くて固まった。
「何を言っているそいつが我が兵士達によって倒されるのだ!」
ベトロントは兵士達によってタナトスが倒されると信じて疑わない。
『まぁ我が手を下してもいいが・・・・・必要なくなったな』
タナトスのつぶやきにこの場にいる全員が首を傾げる。だがその意味はすぐにわかった。
ドゴン
窓の近くの壁が前触れも無く壊れる。
「おいおいおい今は取り込み中か~」
そしてそこにいたのは白色のベースに紫と金と銀のメッシュが入った髪に真っ黒い刀身をした大太刀を右手に持ったテオドールだ。
「誰だ!」
『お待ちしていました我が主よ』
ベトロントとタナトスが反応する。片方は敵愾心、もう片方は尊敬の感情を持っている。
『主よ、その脇に抱えているのはなんですか?』
「ん?いや問題を解決させるには直接見せるのが一番だと思ってな」
脇に抱えたものをみてルナリアとベトロントは絶句する。
テオドールの脇には人がいた。豪華な服には幾つもの装飾がされており、頭の上には王冠がある。
そう少し前まで病人だった王様、レグルスがそこにはいた。
「もう少し病人を労わってだな・・・・もういい」
レグルスを放しベトロントのほうに向き直る。
「さて、ベトロント侯爵よ貴様に問う。なぜ失踪中であるルナリアがここにいるのかね?」
王の威厳を出しながらレグルスを問いただす。
「・・・・・」
本来ならルナリアを洗脳したあと亜人に捕らわれている所を助け出したという計画だったのだが、いまだ洗脳ができてないのでここで嘘を言ってもルナリアの言葉で簡単に裏返ってしまう。
(どうすれば・・・)
ベトロントは完全に追い込まれた状態だった。
「あきらめたほうが楽だぜ。どう言い訳するつもりか知らないけど既にお前を捕まえる証拠はこっちにあるんだからな」
俺はタナトスから鍵付きの箱を受け取る。
「お前だったのか!」
「ん?ああ、この箱を盗んだのは俺じゃねえよ。そこにいるルナリアだよ」
ベトロントの顔は愉快なことになっている。
「べトロント侯爵私はこれにて失礼します」
「お、おい!」
商人はこの場所から逃げようとするが逃がすわけがない。
「タナトス」
『はい』
タナトスはすぐさま商人を拘束する。
「お前にも話を聞くから大人しくしてろ」
商人は何かを決めた顔になる。
ガリッ
何かを噛み砕いた音が聞こえたと思うと商人はかグッタリとした。
拘束したタナトスが状態を見る。
『自決したようです』
「へ〜このタイミングで自殺するなんて知られたくないとこでもあったのかな~。まぁいいやタナトス治しちゃって」
『御意』
タナトスから黒い煙のようなものが出て商人の体を包む。
「ガハッ、・・・・・なにが起きた?私は死んだはず」
『正確にはまだ死んでいなかっただけだ』
商人の意識がなくなりゆっくりと死に向かっていくというだけだ。完全に肉体の機能が停止する前に薬の効果を切るだけで元に戻ることになる。
「さてそれではベトロントさん、さっさとあきらめちゃってくださいよ」
「クッ、こうなったら此処で全員殺してすべて無かったことにしてくれる!」
ベトロントはやけになったのか全員殺して証拠を隠蔽しようとする。
そして廊下から大人数の足跡が聞こえてくる。
「ハハハ貴様らも終わりだ!」
兵士達が部屋に到達する。
「兵士達よこやつらは陛下を語る偽者だ殺せ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
兵士達は動かない。
「おい!どうした!さっさとこいつらを殺せ!」
「貴方の命令では皆動きませんよ」
兵士達の中から一人の人物が出てくる。
「なっ!」
出てきたのは金色の髪に優しそうな碧色の眼、それに女性と見間違われるような顔つき、王位継承権第二位を持っている第二王子グラン・ザラ・ヘクメスだ。
「ベトロントを捕らえろ!」
グランの命令で兵士達が動きベトロントを拘束する。
グランがベトロントを見下ろす。
「姉上がここにいる時点で既に言い訳はできませんよベトロント伯爵」
「くそっ!」
ベトロントが兵士達に連れ去られている。
こうしてベトロントは捕まり王国も風通しがよくなっていった。
それから一ヵ月後。
王城ではネルファイスとの不可侵常識を結ぶ式典が行われていた。
玉座には回復したレグルスが座っている。隣には王妃のアルナール、それからライルにルナリア、メルダがいる。
グランとニコルはというと
「先程、陛下のおっしゃった条件で条約を結びたいと思いますが、よろしいですかティア女王」
「ええこちらとしてもそれで問題ない」
玉座の近くにいるグランの言葉でレグルスと女王として相応しい衣装を着たティアが手を結ぶ。
グランはなんと宰相の位置についたのだ。
ベトロントが帝国と繋がっているのがわかって直系全員が処刑されたのだ。それも王家転覆をもくろんでおり減刑の余地は無かった。だがそれで終わりとはいかない、宙に浮いた領地と爵位が残った。そこで白羽の矢が立ったのはグランだ。王位継承権を手放すのを条件に侯爵の爵位と領地、財産がグランに与えられたのだ。それに伴い宰相という地位も引き継いだのだ。それとともにグラン・ゾラ・リハジームと名前を変えた。
ニコルにも同じような処遇になった。
帝国と繋がっていたのはベトロントだけでは無かった。あの戦争に出ていたほとんどの貴族が少なからず帝国と繋がっていることがわかったのだ。無論そいつらも処刑されて膨大な領地と財産が王によって没収されらのだ。ニコルはそのうちの一部を貰い伯爵の爵位と財産、伯爵にしては大きめな領地を貰っていたのだ。グラン同様に名前を変えてニコル・ゾラ・グシオールとなった。
俺はティアたちの護衛ということで玉座の近くにいる。
「では今後とも良しなに頼む」
「わかりましたレグルス王」
結ばれた条約は以下のとおりだ。
・200年の不可侵条約。
・ヘクメス王国にいる亜人たちの穏便な引渡し。
・ヘクメス王国の亜人の奴隷(犯罪者以外)をすべて廃止。
・奴隷狩りもしくは亜人奴隷所有者の殺害の容認。
・ネルファイス周辺の土地をネルファイスに譲渡する。
最後の条約はネルファイスとの戦争を回避したくて加えたものだ。
それと他にもニコルが貰った領地はネルファイスに接しておりそのうちの1つのみ交易を許可するというものだ。
本来この条約に物申したい貴族達はいるだろうけど敗戦とクレア単独による都市襲撃におびえてしまいなにも言えなかったのだ。
その後もつつがなく式典が行われ、式典が終わるとパーティーが始まる。
護衛である俺や主催であるレグルス達王族、それに招待されたティアや護衛であるクレアとその他などが参加している。
ほとんどが王であるレグルスやネルファイスの女王であるティアの周りに人が集まっていく。
その中で俺はさらに大量の料理を皿に乗せ、壁で様子を見ている。
料理を食べながらパーティーを見ているとステラがこちらにやってくる。
「お久しぶりです、テオドール様」
ステラはいつものように鎧姿ではなくティア達どうようドレスを着ている。
「ふ~ん」
「な、なんですか」
ステラは藍色のドレスを着ており、薄く化粧をしていくつかのアクセサリーを付けてオシャレしている。
「いや、鎧姿じゃないから新鮮でさ」
「に、似合わないですか?」
「いや、すごく似合っているよ」
ステラは不安そうにするがすぐに嬉しそうにする。
「よかったです」
ステラはグラスを持ち隣から動こうとしない。
そこにニコルがやってくる。
「此処にいたんだね」
「ニコルは挨拶とかいいのか?」
「もう済ましてきたよ」
ニコルは気安く接してくるをしてくる。
「ステラさんか」
「お久しぶりです殿下」
「どうしたんだ?」
「いや~不思議でさ、ステラさんを当主にレリアバァル伯爵家を復興させる話が出たんだけどさ、ステラさんはその話を断っていたんだよ」
「え、なんで?」
俺はステラに疑問を呼びかける。一応ティアたち同様にステラにも上に立てるようにいろいろな知識を教えている。
そしてそれはステラの家が復興したときのためなのだ。
「それは・・・・・・」
「ん?」
ステラはいいにくそうな顔をしている。
「それは今は聞かないで上げて」
後ろを見るとティアが居た。
「今は?」
「そう今は」
ティアが聞かないで上げてというの視線でこの質問はやめた。
「話は纏まったか?」
「ええ戦争で勝ったから有利な条件にできたわ」
「なら問題ないな」
ティアは嬉しそうな顔で報告する。
「楽しそうな話をしているな」
声の招待は王冠をかぶったレグルスだ。
「久しぶりだねテオドール」
「お久しぶりです陛下」
レグルスの後ろには他にも唯一の後継者となったライルと新しく宰相になったグランが居る。
「少し話しをしたいんだがいいかね」
レグルスの案で一時パーティー会場を離れて一室に移動する。
此処には俺とティアとクレアとステラ、それにレグルスたち王族が居る。
「話って?」
「まず今回ルナリアたちを救ってもらって感謝する」
レグルスは頭を下げて感謝を言う。
「いいさこちらとしても作りたいものとかあったからさ」
レグルスは頭を上げて本題に入る。
「それでも父親として感謝は伝えておきたかったのだ」
「いいさ師匠の知り合いが困っているなら手が出せる範囲で助けとかないとな・・・・・・・・じゃないと師匠からいろいろ言われそうだしな」
俺の言葉でティアたちは苦笑する。
「それで本題だ、ネルファイスは帝国に対してどうするのだ?」
レグルスたちが知りたかったのはネルファイスと帝国との関係だ。
「帝国がネルファイスに攻め込むのではないかと危惧しているんだよ」
グランが詳しく説明する。
「そこは大丈夫だもう既に話をつけてきた」
俺の言葉に此処にいる全員が驚く。
「いつの間に!」
ティアが驚きながらいつ話してきたのか聞いてくる。
「そうだな―――」
今から話すのはルナリアを救出しにいった数日後の話だ。
俺は帝国の帝都【ニビガラ】の城にいた。
「ねぇなんでここにいるのかな?」
俺はとある部屋の椅子に座っている。
「いくつか話したいことがあったからな、ズズゥーー」
俺は紅茶を飲みながら返答する。
「いや、おかしいでしょ。なんで皇帝である僕の部屋に入ってきているの?馬鹿なの?」
「馬鹿はひどいな~だって正当な手順を踏んでたら絶対に会うことができないから強硬手段をとっただけだよ」
テーブルを挟んで反対側に居るのは齢16,7ぐらいの少年だ。
その正体はジグルス帝国の皇帝アルヴィン・メルガ=ギダル・ジグルスだ。
「で、話って何?」
「ん?騎士達を呼ばないのか?」
「その騎士達に見つからずに来たのはどこの誰だ?」
アルヴィンはこちらを見てあきれている。
「まぁ話しって言うのはジャンセルク辺境伯が行った先にある国からの話しだ」
「・・・・・・」
「国の名前はネルファイス」
「過去に滅びた亜人の国だな、復興したの?」
「そうそう、で、そのネルファイスの軍がジャンセルク辺境伯が率いてる軍を壊滅させてしまったんだよね」
「・・・・・・・・・」
「そう怖い顔すんなよ、こっちは正当防衛しただけだからな。でこっからが本題だ」
「聴こうか」
「帝国にいる亜人達を引き渡せ」
「・・・・・・本気で言っているのか?」
「おおマジだよ、もし無理なら俺達はどんな手段もとるけど」
「それは帝国と戦争するという意味が含まれているのか?」
「モチロン」
俺とアルヴィンは互いを見ている。
「・・・・・・その対価は?」
「この国にギルドという組織を導入する」
「ギルド?」
「ああ、少なくとも10年後までには絶対に必要になる組織だ。もし10年後にギルドが無い国は必ず滅んでいるくらい重要になる組織だ」
俺は来るだろう未来を見てそう告げる。
「いいだろう・・・・だが俺が必要になると説得できる現物を用意してみろ」
「了解、じゃあ近いうちにまた来るぜ」
そういってその日は皇帝の部屋から立ち去った。
でその二日後再び俺は皇帝の寝室に忍び込む。
「・・・毎回思うけどどうやってここに入ってきているの?」
「そりゃ~普通に」
俺は城の中を普通に歩きここまでやってきた。
「見張りを倍増したのにこうもあっさりと・・・・」
「暗殺者じゃないからいいだろ」
俺は机の上にギルドコアとデバイスを置く。
俺は二つに使い方を教える。
「なるほど、これは使えるな」
「おっ興味を持ってくれたか」
「ああ、これならば亜人全員とは釣り合いが取れるだろう」
「そうか?いっちゃなんだが相当こっちが得しているが」
「・・・・・ここに忍び込める時点で首にナイフ突きつけてるようなものだよ」
アルヴィンの視線はジトッとしたものに変わった。
「はぁ、まぁいいこれが書類だ」
「ほいよ、確かに受け取ったよ」
俺が受け取ったのは帝国内すべての亜人を俺に譲渡する書類だ。もし拒否したり一人でも領内に隠し持っていた場合は実力行使をしても犯罪にならないという内容だ。
「おし、じゃあ近いうちにまた来るよ」
「ああ、速めに来てくれよこちらとしても面倒ごとは無いほうがいい」
その後いくつかの都市により亜人たちの開放を行いネルファイスに帰っていった。
「―――というわけで帝国と戦争は起きないから安心しとけ」
俺の説明にレグルスとグランそれにライルは頭を抱える。王妃とルナリアは難しい顔をしている。ニコルは関係ないという顔で楽にしている。
ティアとクレアはというと。
「なにやっているの!今の状態でも結構手一杯なのに!また私達の仕事を増やしたの!」
「・・・・それ私が帝国に行き亜人たちをこちらに移すのですよね」
ティアはこれから増える仕事を考え涙目になる。クレアは膨大な帝国を渡り歩き、亜人たちをネルファイスに移動させなければいけなくなったことを考え憂鬱になる。
「がんばれよ~」
「「テオの所為でしょ!!!!!!!」」
その後パーティーが終わり、ネルファイスに帰還するがティアたちには地獄が待っていた。
数年後、帝国皇帝アルヴィン・メルガ=ギダル・ジグルスとヘクメス王国国王レグルス・ザラ・ヘクメスがギルドのことでネルファイスにやってきていた。
「さてではギルドについての協議を行う」
やってきたのはティアが住む城【メキニアル】だ。その城の会議室に先程上げた二人とその護衛さらに俺とティアとクレアがいる。
「まずギルドについての概要について協議しましょう、先程渡した資料を開いてください」
資料という名の本はこの場全員に渡してある。
その後は特に異論が出ずに話が進んでいった。
唯一揉めたのは税金関連だがそこは他に用意していた案であっさり解決した。
その後も協議が続きギルドの形ができてきた。
「さてギルドの形はこれでできてきました」
「これで終了か?しかし本当にこの組織が必要になるのか?」
「ええそれは絶対ですよ」
此処にいる全員が疑問を表している。
「いずれわかるさ」
【ギルド創作記】 著作者?????―――――――――
ギルドとは、ネルファイス復興とともに発足した組織だ。
この組織は当初あまり注目されていなかった。誰もがギルドに参加することができることや依頼が町の雑用などしかないことから、最初はスラムの住人を救済するために作られたのもだと思われてたのだが、その考えも少ししたら変化した。
ギルド発足から3年後に突如この大陸に大量の魔物が現れた。
魔物たちは幾つもの国を飲み込み滅ぼした。
その勢いは大陸すべてを飲み込むほどだったがギルドが奮闘したことでかろうじて魔物の侵攻をとめることができた。
そのおかげでギルドは無くてはならなければならない組織だと証明された。
それからも怒涛の勢いでギルドの勢力は広がっていった。
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ギルドを作ってから30年経った。
この30年間、俺はいろいろな場所で依頼を受けたり、たま~ライルたちとお茶したり、グランののろけ話を聞いたり、皇帝の部屋に忍び込んで愚痴を言い合ったり、ティア達に仕事押し付けられたり、時々ニコルが遊びに来て模擬戦したり、ルナリアやメルダの結婚式に出たりしていた。
その間にいろいろ変わった。
ネルファイスではクレアが帝国から亜人全員移住させ終わり、それと同時にティアの仕事が何十倍に膨れ上がってクレアとティアは現在も地獄を見ている。
ヘクメス王国では王が代替わりしてレグルスからライルになっていた。グランやニコルは領地を管理して問題なくすごしていて、二人の領地にもギルドが既に設立されていた。余談だが隣国のラガラ国が滅びてヘクメス王国に組み込まれた。それにより帝国と同等の国力となった。
ジクルス帝国ではいくつか問題があった。まずあまりにも広い国なのでギルドがカバーできる範囲が少なく、少なくない国土が魔物によって奪われた。
そして訃報もあった国王レグルスと王妃アルナールが死んだ。原因は寿命だ。葬式にはクシャルの方を使い葬儀にでた。
こうやってギルドはこの世界に根付いていった。
これにて第一章終了です。第二章は、申し訳ないですが正直かなり遅くなってしまうと思います。
それといくつか読んでいて疑問が出てきたと思います。それについての説明が不十分で申し訳ない、この先で説明がありますのでもう少しお待ちください。