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都市づくり

クシャルのほうが協力を取り付け終わった頃、テオドールは帝国の国境内にある滅びた国ネルファイスの元都市【カウェル】に来ていた。


「ここには何も無いな~」


かつて繁栄されていた都市の面影はなく、あるのは崩れた建物、鬱蒼とした道、埃だらけの室内、一目見ただけでもわかる滅びた都市だ。


「これを直すのか本来なら骨がかかりそうなんだが」

{私をお使いになれば三日とかからずに修復することができます}


だそうだ。


「じゃあ呼び出すけど、何番からだ」

{315番から520番までを呼んでいただければ、即座に修復にかかることができます}

「了解」


俺は魔法でラプラスの子機であるゴーレムを315番から520番までを召喚する。


ゴーレムが整列する。


{それでは作業を始めます}


すべてのゴーレムがいっせいに動く。


{この都市の復興案はこうなっております}

「どれどれ」


ラプラスから構図が送られてくる。


都市の中心部はぽっかり穴が開いているが、ここにはとあるものを設置するつもりなので、この状態のままだ。他には城みたいな豪華な建物、図書館、住宅街、都市をぐるっと囲むようにある壁、さまざまだ。


{このようになっていますがよろしいですか?}

「わかったこのまま、作業を続けてくれ」


ゴーレムは作業を開始する。


「さてあっちのほうはどうなっているかな」










クシャルのほうは、現在里の訓練場にいる。そこで何をしているのかというと。


「私達は長い時間を苦しめられてきた、だがそれも今日限りだ」


訓練場の中心部にいるのはクワイだ。


「昨日、この地にやってきてくれたオルフェウス殿の助力で国を作る準備ができている」


クワイの演説にこの場にいる皆が耳を傾けている。


「オルフェウス殿はかつての王の友である、本来彼は(いにしえ)の契約により中立の立場にいなければならないが今の我々の状況を知り、力を貸してくれる」


なおこの設定は長老達とともに作った。クワイは元々亜人の国の中で高い位置にいたみたいだ、モチロン戦争にも参加していたらしい。クワイの話では高い地位にいたものはクワイ以外は殺されていて、この話が嘘だとわかるものはいないみたいだ。


「我々は攫われた我が子や恋人を奪われたままでいいのか!否だ!我々は我々が安心してすごせる国が必要だ。だかかつての我々の国ネルファイスは人と争い滅びた、だがしかしいまだに王家は滅んではいない、その証拠にわが娘ミエラは王家の血筋ものだ」


これには里の皆が驚く。


「ミエラの本当の名はミエラ・ターニャ・ネルファイス、当時王家に使えていた私は王からミエラのことを頼まれ育てた」


これは嘘ではなく真実らしい、俺も聞いたときは驚いた。


「そしてその娘でティアは、いえティア様は王となる資格がある者だ」


この場にティアが現れる。


「今紹介されたティア・イシク・・・・・いえティア・ターニャ・ネルファイスです」


ティアはいつもの服装ではなく、木人(エルフ)伝統的な衣装に身を包み現れた。


「私は皆さんの平和のために戦ってきました、ですがそれでは根本的な解決にはならないことがわかりました」


ティアは決意をした眼で里のみんなを見渡す。


「ですので私はネルファイス王国を復興したいと思っています、それには皆さんの力が必要です。なので力を貸してください」


ティアは頭を下げる、里の皆は少し不安げだが


「私はティアちゃん、ううん、ティア様を信じるよ」

「そうだぜ、あんだけ里のために動いてくれたんだ」

「私の子供も取り返してくれたし」

「そうだよ皆、ティア様がどんな子だったかは知っているだろ」


里の皆が認め合うと。


「「「「「「「ティア女王!」」」」」」」


と何度も繰り返す、そろそろ頃合だなグレールとともにティアに近づく。


「ではティアさん、貴女が次の王になることに里の者は異存ないですね」


俺は周りを見渡しながら尋ねる、その後一切の反論は無かった。


「よろしいでは正式にティアを俺の名の下に王女に任命しようと思うが」


里中がそれに異論が無い。


「さて新しく王になるティアよ」

「何でしょうか」


ティアは臆さずに面と向かいあう。


「まずはここにいる皆を安心して暮らせる場所に移す必要がある」

「わかっています」

「よろしい、現在俺の弟子であるテオドールがカウェルに行き町を元に戻していると思う。ティア女王はここの皆を連れて新天地に旅立つのだ」


こうして演説が終わる。


そして俺達は長老宅にお邪魔している。


「さてこれで後はそちらの動き次第です」

「わかっております」


ここには俺とティアとクレア、ミエラ、スルトス、クワイたち長老4人が集まっている。


「場所はクワイが知っているんだよな?」

「モチロンです、ですが本当に町が元に戻っているのですか?」

「それは大丈夫です」


進行形で修復していますよ。


「それで、この後の動きですけど」


ティアは吹っ切れたようで女王らしくしようとしている。


「ああ、まずこの里の皆でカウェルに移動する。ああ道中は俺も護衛に入るから大丈夫だ」


この里には1000人規模で住んでいて全員を動かすとなると結構大変だ。


「クワイじいちゃん全員が移動するとなるとどれくらいの時間がかかるの?」

「ティア様、これからはクワイと呼び捨てにしてください」

「あはは、なんかまだ慣れなくて」


ティアはいまだに長老達相手にさん付けをするようだ。


「そうですね・・・戦士団なら4日、里全員でとなると長くて10日程かと」

「結構かかるんだな」


クワイの言葉を聴いて、思ったことを声に出してしまった。


「オルフェウス様なら戦士団よりも速く着くことができるでしょうが、里全員でとなると速度は落ちます。さらに里には私達のような年寄りや子供もいますのでたびたび休息を取りながら移動しなければなりませんから」


それもそうか、この体やテオドールの身体能力に慣れすぎて普通の感覚が麻痺してきたかな?


「まぁ道中の護衛はティアとクレアに任せておけば問題なさそうだけどな」









こうして里ではバタバタとしている時、ステラはというと。


「にしても人間は面倒なことするんやな~」


ステラは馬車の御者席におり、隣にいる緑色のリスの愚痴を聞いている。


「しかたないのです、我々(ヒューマン)族はほとんどがこうして移動しているのですから」

「まぁ、あの二人に歩けってのも酷なのはわかるんよ」


四人、いや三人と一匹はクシャルが里に到着する前に里を出ていた。


「なんの話をしているんですか」


後ろの窓からメルダが顔を出す。


「メルはんか、いや~もう少し速くならんかな~って話し取ったとこなんよ」

「チール殿、メルダ様に!」

「いいのですよステラ、すみませんチール君だけならもっと速く移動できるのでしょうが・・・」

「ああ~、いや別にメルはんに文句言っとるわけじゃないよ」

「メルダ、危ないから窓から顔出さないでー」

「わかりました」


中からルナリアの声が聞こえてメルダが馬車の中に戻る。


「ルナリア様、体調は大丈夫ですか?」

「ええ問題ありません、ただ・・・」

「ただ?」

「これから起こることをを陛下にどう報告すれば・・・」

「・・・なるほど、たしかにありのままを報告したら正気を疑われますか・・・」


ルナリアが気落ちしているのが声から判断できる。


「城に付くまでに考えがまとまればいいのですが・・・」

「そうですね、城に着くまで大体7日といったとこですか」

「ありのままを報告すればいいんちゃう?」


二人の会話にチールが混ざる。


「ルナリアが王様に信用されているならば問題ないやろ、しかも王である前に父親やろ?なら信じてくれるさ」

「そうですね」


ルナリアは少しは元気を取り戻したみたいだ。


「それより、ステラはんテオはんから預かった手紙は持っとるか?」

「ええこちらに」


ステラは手紙を取り出す。


「ならよし、それ少し貸してくれひんか」

「いいですよ」


チールはその手紙を受け取り中身を見る。


「チール殿!」


ステラの抗議を無視してチールは手紙を見る。


「ふんふ~ん、なるほどな~」

「何が書いてあったんですか?」


内容が気になるのかステラは尋ねる。


「すまんが、これは見せられへんな~」


そういって手紙を元に戻し、返す。


(これはステラに見せたらどういう反応するかわからんな~)


とそれぞれが動き出す。






そして5日が過ぎた。


ティアたちは予定よりも早くに都市【カウェル】に着くことができた。


「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」


里の皆は口をあけて唖然としている。


そこにあったのは、美しい都市だった。都市をぐるっと囲む壁、緑と調和した道、規則正しく並んだ建物、とても荒廃していた場所とは誰も思えないところだ。


その門にはテオドールがいる。


「待っていましたよ師匠」

「お疲れさん」


テオドールもオルフェウスも俺が操っているが何も無いのはまずいので挨拶を交わしておく。


「それじゃあ、この中を案内するんで付いてきてください」


まずやってきたのは、都市の中心にある部分。


「ここ?」


ティアがそういうのも無理ない、なぜならそこにはなにもなかったのだ。


そこにオルフェウスがある物を渡す。


「これは・・・苗木?」

「これをその印が書いてある所に植えるんだ」


テオドールはティアにその苗木を植えるように言う。



ティアがその苗木を植えると、その苗木は淡く輝き急速に成長していった。


ティアはその場から離れる。するとさらに成長スピードを上げて大きくなっていく、最後には都市のドコからでもその気を見ることができるぐらいの大きさになっていた。


「なにこれ・・・」

「これは世界樹という樹だ」


オルフェウスが答える。


「これがどのような樹かはわかるだろ」

「ええ・・・・いままで見たことの無いくらい生命力に満ち溢れているわ」


ティアは樹を見上げて動かない、里の皆も何が起こっているかわかってない顔をしているけど気にせず次に移る。


「さてそれじゃあ、次に行くぞ」


オルフェウスが声を掛けて皆をある建物に誘導する、そこは一万人いても埋まらないようになっている建物だ。


「さてじゃあ説明するぞ」


ここには里にいた全員がいる。


「まずさっきティアが植えたのは【世界樹】という樹だ、この樹には不思議な力があり地脈から魔力を吸い上げて周辺の土地を豊かにする機能がある。だがそこは重要じゃない、重要なのはその魔力を利用して結界を作り上げることができるんだ」


ここで里の皆が頭の上に?が浮かんでるので説明する。


「結界とは指定した空間に許可したもの以外入れなくする魔術だ、範囲はこの都市全部だ」


いまだに?は消えないがそこは何とか理解してもらう。


「それではこれからのことを話すまずはこれを見てくれ」


テオドールが出したのはこの都市の地図だ。


まずこの都市は世界樹を中心にし住宅街、農地、工場などいろいろある。


この後、全員にこの都市に何があるかを説明する。


「さてではこれから君達に何してもらうかを言おう」









俺の説明が終わると長老と新しく王になったティアが誰がどこに住むかを話し合う。それが終わると次は全員にギルド登録してもらうことになった。俺はデバイスに新しくいろんな機能を追加して国民だと証明できるようにしておいた。これには結界の判別も含まれている。


夜には、それも終わり全員が新居に移り終わって眠る。


俺、テオドールはティアとクレアと一緒に世界樹の頂点部分にいる。


「こんなとこに呼び出して何のよう」


ティアは疲れた顔をしている、クレアも同じだ。


「いやお疲れさんてことで、酒でもどうかと思ってな」


俺はグラスとお酒を取り出す。


「いるか?」

「ええ、貰いましょう」

「私も」


俺は二人にグラスを渡しワインを注ぐ。


「ん、これいい味ね」

「ほんとうですね」

「だろう、結構上物なんだぜ」


俺の家で作り、最高の状態で熟成させたワインだ。俺もよく飲んでいるが相当おいしいのだ。


そうこうしているうちに、ティア達がどんどん飲んでいく。


「ねぇ、なんで私なの?」

「ん?女王のことか?」

「そう、私達はあの里で暮らしていた普通の生活だったはず、なのに急に女王にされて・・・正直すぐにでも女王を変わってほしいくらいよ」


この酒はアルコール度数が低いわけではないので酔ってしまったようだ。


「でもね、今の状況で代わってって言うわけには行かないし、本当にどうすればいいのよ」

「そっかそっかなら、あんまし女王として振舞いたくないわけか、ならこうすればいいんだよ」


おれは一つの案をティアに教える。


「いいじゃないですか~これでティアの負担が減るんですから~」

「そういえばクレアは今後どうするの?」

「私ですか~、私はティア様の護衛にでもなりますよ~」

「いやクレアは他にやってもらうことがあるけどな」

「へ?」


クレアはグラスを持ちながらぴたりと止まる。


「・・・何をさせる気ですか」


疑った眼をしながらこちらを見る。


「そんな難しいことじゃない、クレアには帝国やヘクメス王国に捕らわれている同類を助けて来い。無論、最初は話し合いから始めろよ」

「それでは人質に取られてしまう可能性がありますが」

「お前の実力なら人質とかはあまり関係ないだろ?」


実際、ステラ、ティア、クレアの中で一番凶悪なのはクレアなのだ。


「最悪、俺が出れば言い話だろ」

「ですがティア様の護衛は誰が勤めるのですか?」

「そんなものいらないだろう?」


クレアは怒りを露にした。


「形だけなら何人かは付けられるだろう。だが実際ティアを殺せる奴はいるのか?、ましてや近くに世界樹があるならほぼ死なないだろ?」


ティアの特殊技能(ユニークスキル)には【自然共命】というものが有り。周囲の草木の生命力を貰うことができる。つまり自然豊かな場所ではティアは何十倍もの生命力を保有していることになる。


「私からもお願いするはクレア、皆を助け出す手伝いしてくれないかしら」

「わかりました」


ティアの頼みをクレアは承諾する。


その後はティアもクレアも愚痴を言うので俺が聞くほうに専念した、少しでも気が楽になってくれれば幸いだ。


しばらくすると二人とも酔いつぶれて寝てしまったので、二人をティアの部屋のベットに放り込んで俺は自室に戻って寝た。





翌日はティアが各種族代表を呼び、今後どうするかを話し合う。ただその話し合いにティアは参加せずクワイが木人(エルフ)代表として出た。


そして肝心のティアはというと議長という立場にいた、そう俺が言った案とは


「議会制にすればいい」


というものだ、これならティアは議長という中立の立場にいて不正が無いか眼を光らせていればいいだけとなる。


「さて次の議題です、いまだに捕らわれている我々の同胞についてです」


これには議会が紛糾する、すぐに助けに行くべきだ、とか。今は無理だ、とか。先にこの都市を安定させてからのほうが、などいろいろな意見が交わされる。


「静かに、一つ私からも案を出させてもらいます」


ここにいる皆の視線がティアに集中する。


「私の親友であるクレアに救出してもらいます」

「お一人ですか?」

「そうです、できますねクレア?」


ティアは隣にいるクレアに声を掛ける。


「ええ、ティア様がお望みならば成し遂げて見せます」


そしてクレアも力強く頷く。


「ですが、あまりにも危険では」

「問題ありません、私が断言します」


そういい全員の反論を許さない。


「ではクレア明日から貴方の仕事をしなさい」

「わかりました」


この後はつつがなく議会が終わる。


こうして新しくできた国ネルファイスは始まった。


name:―

種族:世界樹

年齢:0

状態:良好

生命力:8000000/8000000

魔力量:∞/8000000

腕力:0

脚力:0

敏捷性:0

耐久力:50000

器用度:0

魔質:10000

魔抗:200000

視覚:―

聴覚:―

触覚:―

嗅覚:―

魔法適正:―

【種族特性】

光合成:陽の光を浴びると生命力・魔力量が回復し、ステータス・回復速度が上がる

重力軽減:自身にかかる重力を軽くする

成長促進:成長速度が上昇し、成長限界が増える

地脈接続:地脈に接続して魔力を貰うことができる

特殊技能(ユニークスキル)

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