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本気(彼女達だけ)の模擬戦

階段から二人の足音が聞こえる。


「なにやってるの・・」


ティアがあきれるのも無理ないだろう、俺は完全にくつろぎながらお茶を楽しんでいるんだ。


「ティア、メルダ様は」


ステラが尋ねるとティアの後ろからメルダがやってくる。


「よかったわ、メルダ」

「お姉さまこそ無事でよかったです」


ルナリアとメルダは抱き合う、見知らぬ土地で近くからいなくなったので心配だったのだろう。


「さてとそれじゃ、メルダちゃんにもお茶を用意しないとね」


ミエラさんはメルダにお茶を用意するために部屋を出た。


{以外や、何も無かったな~}


メルダと一緒に階段を下りてきたチールはスルスルと俺の方に乗ってくる。


{にしてもこれからどうするんや?}

{まず、長老に会うことになっているんだが}

{あ~、あいつらやな}

{どんな奴らか見たのか?}

{せや、神経質そうな耳の長い男に、やたら笑う太いおっちゃん、それに猫のばあちゃんに犬のおじいちゃんだったで}


エルフに、次はドワーフかな?それとチールの言ったとおりの獣人か。


{ドコであったんだ?}

{メルちゃんたちを探しているときや、スルトスっちゅうエルフの後付いていったら、その四人がおったんよ}

{そうか}


するとミエラさんが戻ってきた。


「おまたせ~」


ミエラさんは手際よくお茶を入れる。


「ありがとうございます」

「いいのよ~」


それからある程度の時間が過ぎると扉をノックする音が聞こえた。


ミエラさんが様子を見に行ったら、ティアの父であるスルトスが部屋に入ってきた。


「長老達との会談は明日の朝方になった、今日はこの家に泊まってもらう」

「了解、で、それまでの間は」

「外出は里のものが付いての状態なら許可する」

「感謝する」


さてこれで明日まで暇になったので、いつもどおりの行動をする。


「スルトス殿」

「何かな」

「この里に訓練できる場所などはありますか?」

「それなら里の中心部にある、だがなぜだ?」

「いえ、そろそろ動かないと体が鈍りそうで、なのですこし動きたいなと思いまして」

「了解した、では私が付き添おう」

「ありがとうございます」


俺達は全員で訓練場にやってきた。形は楕円形で、訓練場内は土が剥き出しになっており、二階には観客席みたいなものもある。訓練場の脇には治療室と武器庫がある。


「ここは何も無い日などは訓練場として使用されている」

「ほぉ~、結構立派だな。では訓練以外に催し物とか何があるんだ?」

「あるのは戦士団の順位争い、里での決闘の際に使われるぐらいだな」


へ~、結構少ないな。


スルトスが訓練場に近づき使用している亜人達に声を掛ける。


「すまんが我々も訓練に参加してもよいか」

「スルトス様!ぜひご参加ください、皆歓迎しますよ」


それにスルトスは苦笑で答える。


「すまない使うのはあちらの三人だ」


俺達を見て、具体的には(ヒューマン)である俺とステラを見て、亜人達は嫌な顔をした。


「スルトス様なぜ(ヒューマン)がこの里に」

「いろいろあってな、時機に戦士団の皆に何があったか話されるはずだ、そして今は彼らを客人としてもらいたい」

「・・・・わかりました」


亜人達はしぶしぶだが了承してくれたみたいだ。


「さてテオドール殿、ここにいる皆と訓練してみるのはどうだろう」


微妙に俺の力を探ろうとしている、だが今回はその提案に乗る。


「ぜひお願いしますよ」


俺はここにいる亜人たちを状態確認で見てみる。


状態:良好

生命力:200/200

魔力量:200/200

腕力:180

脚力:190

敏捷性:170

耐久力:170

器用度:170

魔質:170

魔抗:170

視覚:E

聴覚:E

触覚:E

嗅覚:E


コレがここにいる亜人たちの平均だ、普通の人間よりも1.何倍も強い。


そしてスルトスだが。


name:スルトス・イシク・クライス

種族:木人(エルフ)

年齢:132

状態:良好

生命力:225/225

魔力量:348/348

腕力:210

脚力:227

敏捷性:295

耐久力:147

器用度:265

魔質:354

魔抗:332

視覚:E

聴覚:D

触覚:E

嗅覚:E

魔法適正:火・水・雷

【種族特性】

自然ノ声:植物の声を聞くことができる

特殊技能(ユニークスキル)


一つだけ思った。


(スルトス・・・女房には逆らえないんだろうな・・・)


なんとなくだがスルトスにはやさしくしてやろうと思った。


「テオドール殿、こちらは準備はできているそちらは」

「こっちは武器だけもらえれば問題ないよ」

「わかった、おい訓練用の武器をもってこい」


近くにいた一人が武器庫に行き、武器を取ってくる。


持ってきたのはすべて木製だ、俺とステラは剣をティアは短剣を二本、クレアは槌の様な物を持つ。


「ここでは一対一で勝負し敗者が交代する手順になっているが問題ないか」

「ないよ」

「そうか、ではそこのものと戦ってもらう」







それからここにいるすべての亜人と模擬戦をしたが、まったく相手にならない。


俺達四人とスルトス以外立っているものがいない。


「なんと・・・・」

「さてじゃあ次はステラか?」


次は俺達で行う。


「魔術の使用は」

「この訓練場を破壊しない程度ならOK」

「わかりました、ではお願いします」

「ほいよ、あっ、ちょいまち【9】から【8】へ」


抑えていた封印を一段階開放する、それにより以前よりも力が出るようになる。


「さてじゃあはじめるか」


俺のこの言葉で、二人がぶつかる。









何だコレは、コレが私の感想だ。


我らの里の要である戦士団が一人によって倒された、相手は汗一つかかずにすべて一振りで気絶させる姿には恐怖を覚えた。


そして今、その人物は一緒にやってきた貴族の娘らしきものと模擬戦を行っている。


その戦いはかろうじて姿を捉えることができる。


最初の一撃で共に剣が砕ける。その後、手持っている残骸を互いに投げて共に近づく。娘は蹴りで男は拳で戦う。一撃ごとに大きな音が鳴り空間が歪むように感じがする。


次第にヒートアップしていき訓練所を動き回る、それも相当な速さでだ。


そして最終的には魔術を使用している、火球や稲妻、氷の槍、風の斬撃、土の壁。


そして少なくない時間が経つと二つの影が重なり片方が崩れる。












ふぅ~、コレでこそ動いたって感じがするな。


「自分で回復できるか?」


俺は目の前で倒れているステラに声を掛ける。


「はい、問題ありません」


そう言い治癒魔術を掛ける、さてでは。


「次は私よ」


次に立候補したのはティアだ、だがそれに待ったを掛けたものがいる。


「待て!待て!ティアお前の強さではあの二人にはどうあがいても勝てんぞ、怪我をするだけだ!」


いや、ティアは今の俺とタイマンできるぐらい強くなっているんだが。


「大丈夫よ」

「だが!」

「クレア、訓練場元に戻しといてくれない」

「わっかりました~」


ティアは父親を気にせず、こちらにやって来る。


「それじゃあ、はじめましょうか」

「まてまて、俺がまだ武器を持ってないだろ」

「そんなもの土から作ればいいでしょ」

「まぁそうなんだが」

「そうゆうわけで、はじめるわよ!」


ティアの声で始まる。







まず一つの影はすぐさま距離をとる、もう片方はそれをおい攻撃を始める。


片方は土から短剣を二本作り、攻撃を受け切り結ぶ。互いに近距離で短剣を振るう。一度振るわれるたびに風が巻き起こり、空振りすれば大地に傷跡を残し、短剣が衝突すれば壊れる。だが両方ともすぐさま土で短剣を作り攻撃する。


次第に魔術が使われるようになり戦いに鮮やかな色が付く。その中で大きな音と閃光が起きると勝負が付いていた。





「たく、ひやひやしたよ」


目の前で感電し痙攣しているティアを回復させる。


「あ~もう!また勝てなかった」

「ドンマイ!」

「言い笑顔で言うな!」


痛い!今のティアに殴られるとダメージが入るからやめてもらいたい。


「ティア・・・」

「どうパパ、強くなったでしょ」

「あ、ああ、でもどうやって」


ティアが父親に自慢する、だがその父親のほうは疑問で思考停止しかけている。


「それじゃ~私の番ですね」


既に訓練所を戻し、始まるのを待っているクレア。


だが少し待て


「・・・・おい」

「なんですか~」

「何ですかじゃねえ!それ木製の槌じゃないだろ!どうみても土固めた奴だよな!しかも相当硬度上げている奴だろ!」

「さて~」


それならこちらも同じように。


「じゃあはじめます!」

「こいつッ!」


俺が武器を用意する前に攻撃しに来やがって!






片方は槌を大きく振り下ろすと訓練場には無視できない大きさのクレータができた。


もう片方は冷静にかわし武器を準備するが、それが意味が無くなる。槌ができたと思ったら土に戻ったのだ。


それがわかった瞬間にその場を離れた、すると土がひとりでに動き彼を突き刺そうとする。


彼はそれを避け続ける。そして同時に風魔術を放つ、だけど本来見えないはずの風が少し黒ずんでいる。


黒い風が土の槍を破壊していく。土は彼女の周りに何重もの壁を作ったが、風の勢いはなかなか収まらず幾つもの壁を壊す。


コレを何度も行っているとやがて土が動かなり、模擬戦が終了した。








「こいつ特殊能力(ユニークスキル)使いやがって」


俺は目の前で気絶しているクレアに近づく。


「魔力がなくなる前にやめとけよ」


俺は魔力回復薬(マナポーション)をクレアに振り掛ける、クレアが何で気絶したかというと魔力切れが原因だ。


魔力切れとは自身が持つ魔力が尽きることを言う。


具体的に言うと0になった状態で魂からできる魔素よりも多く消費したため魂の防衛機構が働き気絶したのだ。


なので魔力を一定値まで回復させれば眼が覚める。魔力回復薬(マナポーション)は外部から魔力を回復することができるので時間を待たずに眼を覚ますだろう。では次に


「さて最後はスルトス殿ですか?」


ステラの問いにスルトスは逡巡する、そこにティアが。


「パパ、無理しなくていいよ」


この言葉で父としてのプライドを刺激されてのか、顔が歪む。


(しゃあない、今回は花を持たしてやるよ)


「いや今日は疲れたからもうおしまいだ」

「そうか、では家でゆっくりしてくれ」


スルトスの顔には助かったという顔をしている。


(貸しにしておくからな)


スルトスに里の中を案内してもらっていたのだが、日も落ちかけているので家に戻る。


今日は実力を見せ付けることができたので良しとする。


ティアの家に戻ると既にミエラさんが夕食を準備していた。


夕食をご馳走になり今日は就寝する。




翌朝、全員起床し朝ごはんを食べる。


「にしても、昨日はすごかったみたいね~」

「訓練所のことですか」

「そうよ昨日噂になっていてね~、なんでも訓練場が半壊したって」


壊れてはいないんだが・・・


「それでね、時間があったら私も参加したいのよ」


この言葉に亜人組みはギョッとした表情をする。


「テオ君たちは知らないと思うけど、私この里でちょっとは有名だったのよ」


この人、元ヤンだった感じなのかな。


こういった感想を抱いていると。


「ママは里で一番の戦士だったのよ」


それは薄々予想できていた。それと俺はスルトスに哀れみの視線を向ける。その視線を感じてスルトスは話しかける。


「ミエラ、今日は長老達との会談があるのだ、だから諦めてくれないか」

「あら仕方ないわね、それじゃあお父様方に任せるは」


お父様方?


俺が疑問に思っているとティアが補足してくれる。


「ママは長老であるクワイおじいちゃんの娘なのよ」

「じゃあ、お前は長老の孫娘になるのか」


そのじいちゃんがティアのことで突っかかってこなければいいが。


朝食を取り終わると計ったかのように迎えがやってきた、迎えは木人(エルフ)一人に猫系獣人一人だ。


俺達は木々の間にできた橋を渡り里の中でも一番大きな木に案内される。


「お待ちしていましたスルトス様」

「ご苦労、長老達は」

「既に中でお待ちになっています」

「ではこちらに来てもらおう」


門番に確認してもらい館の中を進み、一つの部屋に入る。


そこには座布団(ざぶとん)らしき物に座っている4つの人影と7つの空席がある、俺達全員の席が用意されている。


「さて客人よ座りたまえ」


チールの言っていた神経質そうな木人(エルフ)が座るよう勧める。


(この人がティアの祖父であるクワイか)


「失礼するよ」


俺は4人の目の前に座る。俺の左にはステラとルナリア、メルダの順に座り、右側にはティア、クレア、スルトスの順番に座った。


「さて、では挨拶からはじめようか私はこの里の木人(エルフ)の長老、クワイ・イシク・クライスである。それでこっちが」


クワイは隣にいる髪とヒゲを無造作に生やしている太いおっさんに視線を向ける。


「応、ワシは土人(ドワーフ)の長老、グスター・ネヴァル・クライスだ。ちなみにそこにいるクレアの祖父だ」


クレアに視線を向けると頷く。


「でそっちが」

「わしゃあ、獣人の長老であるメテコ・ニチャ・クライス。でとなりが」

「ワシも同じく獣人の長老ラルク・ダギル・クライスだ」


猫耳の婆さんがメテコで、犬耳の爺さんがラルクか


「丁寧にどうも俺はテオドール、ただのテオドールだ。でこっちがステラ、その隣がルナリアとメルダです、後はご存知のとおり」


俺は簡潔に紹介を済ます。だが隣にいるルナリアたちを簡潔に言い過ぎた成果、ステラがわき腹を抓ってくる、地味に痛いです。


「さてそれでは会談を始めよう」


木人(エルフ)の長老であるクワイ・イシク・クライスが代表して話し合いするみたいだ


「まず、そちらの要人であるルナリア殿やメルダ殿と一緒にいた(ヒューマン)族は開放しよう」

「それはどうも」


そういやそいつら存在忘れてた。


「それで孫達の奴隷解放とそちらの二人の引渡しが行われたが、間違いないか」

「それは間違いない、すでにティアもクレアも自力で奴隷魔術を解除した」

「なに!自分でか!」


コレにはクワイも驚いている。


「そうです、私が魔術の仕組みを教えて自分で解かしました」


これには4人とスルトス、それとルナリアとメルダも驚いている。


「そんなことできるの!解除方法は奴隷商も知らないはずなのに」


もともと奴隷商は国営であり、奴隷商は解除方法を知らされていない。知っているのは王族しかいないのだ。そうでなけれ商人が奴隷を開放してしまうかもしれない。奴隷商だってただの人だ情が湧くこともあるだろうからな。


「まぁ、あんなもの1ヶ月もあれば解除できるようになるさ」

「そんな短期間で解けるようになるわけ無いじゃない!」


ここに来てから怒りっぽくなったなルナリアは、代わりに三人は苦笑している。


「まぁそれよりも、ティアたちが解放されたのは確かなのだな」

「それは俺の命を掛けて保障しますよ」

「ならばよい」

「でも話の主体はそこではないでしょ」

「そうだ、昨日スルトスから大体のことはきいた、だがテオドール殿の言葉でそれを聞きたい」


4人とスルトスが視線を俺に合わせる。


「ならもう一度言いましょう


お前ら、国を作る気はねえか」


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