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監視されることになりました

「私ですか?」


俺はそんなに疑われることをしたか?


「そうです、貴方の目的が知りたいのです」

「目的ですか?」


しいて言えばゆっくり遊びたいとは思うが。


「そうです、貴方はこの国をどうする気ですか?」


意味わからん。何でこんなことを聞くんだ?確かにライルにはいろいろ教えたがこの国をどうこうするつもりはないぞ。


俺が考え込んでいると、痺れを切らして


「答えてください!」


と怒鳴る。普段の様子とは違いおびえた様子を見せる。ステラや後ろの護衛たちも驚いている。


(何でおびえているんだ、何かしたわけでもないの・・・・・・・ん?)


かすかにだが眼に魔力が集まっているのを感じた。これは


「何か見えている?」

「っ!」


どうやら正解みたいだ。


これは生来からある特殊能力(ユニークスキル)だと思う。


(めっずらしい~)


俺みたいに確実に手に入る手段で得たときとは違い、生来の特殊能力(ユニークスキル)を得ている人は1/1000万という確立だ。さらに言えばこの国の人口は100万とちょいだ、普通は一人も居ないなんてざらにある。


その能力は千差万別だ、調べないとわからない。


「何を黙っているんですか、私の質問に答えてください」


そう気丈に振舞っているが、手が少し震えている。それを見て俺はため息をついて答える。


「なにもしませんよ、そもそも私にこの国をどうこうする力などありませんよ」

「その言葉だけでは信用できません」

「それはなぜ」

「あなたが一人でこの城を落とせるくらいの強さなのがわかるからです」

「失礼ですが根拠は」

「ニコルとの模擬戦です」


あれか、でもそれで判断するのも弱いと思うけどなのにあれで判断したって事は、俺があの試合でしかしなかった行動が原因だよな。何した・・・・あれか(・・)


「私のどの場面で判断でしたか教えてもらっても」

「・・・・あなたが魔術を使ったときです」


やっぱりか、たぶんだが彼女の特殊能力(ユニークスキル)は俺と同じ魔眼だな。それと効果は魔力量を測るタイプかな。


「はぁ、俺は何もしねぇよ」

「信用できません」

「でしょうね、なら・・・・・一つ取引しませんか」

「取引ですか?」

「そうですよ、お姫様」

「・・・一応内容を聞きましょう」

「簡単ですよ、私は速くこの国を出たい。ですが友人が危険になるのがわかっていてそのままにしておくことはできない」

「・・・・」

「なので貴方に協力してほしいのですよ」

「もし私が協力するとして何をすればいいのですか?」

「簡単に言えば私はこのくだらない争いを止める準備をしています。なので貴方にはその邪魔をしないで貰いたいのです」


俺のその言葉にここに居る全員(ステラ以外)が絶句している。当たり前だ、いきなり現れた身元不明の人物がこの国の行き先にかかわろうとしているんだからな。


「無論、私がこのようなことを言っても信用されないのはわかっています。ですので契約魔術で縛って貰っても構いませんよ」

「···契約魔術とはなんですか?」


は?え?まさかないの?比較的に簡単に覚えることができる魔術なんだが、それすらも秘術なのか?


(おいおいこれぐらいで秘術って言うんだったら俺が素人に魔術を教えたとしても一年で国を取れるぐらいにできるぞ)


「···ご存知ないのですか?」

「ええ」


マジかよ。


「まさか秘術ですか!」


なんか予想通りの反応が来たな、と思ったら護衛のうちの一人が


「失礼ながら姫様、契約魔術は秘術ではありません」

「そうなのですか?」


殿下に教えたのは、薄っすらと日焼けしている肌に茶色の髪をポニーテールにした少しキツめな美人である。


「失礼ですが貴方は?」

「申し遅れました、私は白月騎士団団長レイチェル·ゾラ·エルクラムです」

「レイチェルさんは契約魔術について知っているのですか」

「ええ存じています」


レイチェルの話では、契約魔術は習得難易度がかなり高く。さらには契約魔術を使っても激痛を与えるくらいで拘束力もほぼ皆無だそうだ。それにより『覚えるだけ無駄』といわれている魔術らしい。


だが困った、これだと意味がなくなるな、まったくこの国で魔術は使いにくすぎる。


「そうですね、私の知っている契約魔術とはすこし違いがあるようにお見受けしますので。一つ実体験をしてもらったほうが早そうですね・・・レイチェルさん護衛のどなたかに実体験をしてもらいたいのですが」

「それは断ります、あなたがどんな魔術を使うとも知れないのに部下を実験に使うなど」

「そうですよね・・・・困りました」


本当に困ったぞ、これではルナリアをこちらに引き入れることができない。


「ではそうですね、ルナリア殿」

「何でしょう」

「ステラを買いませんか」


俺のこの言葉がいけなかったのか、俺に周囲から怒りの視線が集まった。


「貴方はステラが私の友と知っていてその言葉を発したのですか」

「ええ、ステラからそのことは聞き及んでいますよ」

「それを知っていながらも貴方はステラを物のように扱うのですか」

「それがこの国での奴隷の扱いと聞いたので、なにか間違っていますか」


言葉に棘があったので俺も同じようにして皮肉を言ってやった。


俺の好感度は下がったと思うが問題ないだろう。


「まず勘違いしないで貰いたいのですが、ステラを殿下に購入していただくのは証明してもらうためですよ。今ここでステラに契約魔術をかけて効果を確かめてもいいのですが、私の奴隷であるために効果を偽っていると思われてもおかしくありません。なのでステラの所有権をルナリア殿下もしくはレイチェル騎士団長に譲り効果が本物であることを証明してもらいたいのです」

「わかりました。しかしお願いがございます、ステラの所有権を私に譲ってもらいたいのです」


するとルナリア殿下ではなくレイチェルが名乗り出た。


「そうですね、こちらとしても問題ないと思うんですが、殿下はいかがですか?」

「そうですね・・・条件を付けさせていただきます」

「伺いましょう」

「まず一つはこちらで手配した奴隷商人に手続きしてもらいます。そして二つ目はステラの所有権は私が貰います。三つ目、貴方に監視をつけます、私の権利で騎士団から数名監視させていただきます。その際手配した商人が来るまで城の外に出ないでください」


ふむ、すべて問題ないな。ステラの所有権を譲っても問題ないし、監視をつけられても問題ない。そして数日間城に居るのも問題ない(退屈さえしなければ)。


「ええ問題ありません」


この条件を飲んでこのお茶会は終了した。その後自室にて俺の監視役が到着するのを待った。


コンコン


来たのかな。


「どうぞ」

「お邪魔するよ~」

「・・・・」


やってきたのは一人の護衛を連れたニコル殿下だった。



「・・・・何のようですか殿下」

「わぁ、歓迎されてないようだね、まぁいいや頼みがあるんだ」


それからの話だと俺にニコルとその騎士団である紫角騎士団に稽古をつけてもらいたいらしい。


「この王城の訓練場で僕と部下たちに稽古を付けてくもらえないかな~って交渉に着たんだが、どうだろ引き受けてくれないか」

「それは・・・今すぐ返答する必要はありますか」

「そうだね2日後までには返答してほしいね」

「わかりました」

「うんうん、じゃあ二日後にまたくるけど一つ教えとくよ。僕の派閥は内なる敵の選別は終わっているよ」


こいつ知っているな。


「殿下はどこまで知っておられるんですか」

「国盗り、王弟、姉上、それと君の奴隷かな」

「なるほどわかりました、二日後に返答いたしましょう」


そうしてニコルは退室していった、部屋に居るのは俺と三人だけだ。


「ふぅ、こりゃ参ったね。ニコル殿下は知っていたか」


(一度整理してみよう


まず、この内乱だが止めることはできない。原因は宰相ベトロント・ゾラ・マルカリア侯爵にある。すべての派閥に手駒を送っており内乱を誘発しようとしている。ただニコルの派閥だけは選別が済んでいるみたいだ、だが他の派閥が内乱の準備をした段階でまずニコルの派閥も準備しないといけなくなるから意味がないだろう。そして内乱が始まったときにルナリアを傀儡にし内乱に介入する。そして内乱を収めた、その功績を使いルナリアを王にして自分が影から操ると、だがここで疑問になるのがどうやって内乱を収めるかだ)


するとまたドアからノックした音が聞こえた。


「どうぞ」

「失礼します、ルナリア様から仰せつかったハンナ・ゾラ・バーチェルです」

「同じくルナリア様から派遣されたケイト・ゾラ・メクカスムです」


茶髪をツインテールにした方がハンナで金髪ロングのほうがケイトだ。二人は俺から視線をはずしステラに視線を移す。


「久しぶりステラ」

「お久しぶりですステラ」

「お久しぶりです二人とも」

「なんだステラは二人を知っているのか?」

「はい、ハンナは同期でケイトは私の隊の隊長です」


二人はステラの知り合いらしい。ハンナはステラと同い年で騎士団内2位という実力者だそうだ。もう一人のケイトは魔術と剣を使う魔剣士らしい、ちなみに魔剣士は相当珍しいカテゴリーに入るらしい。その実力は何でもありなら騎士団内一位二位を争うらしい。


「それにしても、あなたたちが監視になるとは思いませんでした」

「そのとおりなのよ、それもルナリア様とレイチェル先輩が決めたみたいですよ」

「こら、ハンナ」

「は~い」


俺の強さを理解しているなら騎士団の精鋭をつけるのも当たり前か。


「一ついいか」

「何でしょうかテオドール様」

「君たちもこの部屋で過ごすのか?」

「いえ、私たちは従者専用の部屋で過ごさせていただきます。私とハンナで1日交代で護衛という名目で監視をさせていただきます」


(名目でって言っちゃったな~)


まぁ、ある程度説明を受けると部屋の外に出るときは護衛として一緒にいるみたいだ。でも実際は外で何しているかを知るための監視だけど。


その後、またドアがノックされる。


「ライル殿下の使いです、会食の準備が整いました」

「わかりました」


その後ライルの使いについていくと一つの部屋に案内された。その中にはライルがソファーに座って待っていた。


「来たみたいだな、ん?、確かバーチェル家の」

「ハンナ・ゾラ・バーチェルと申します殿下」

「なぜルナの騎士がテオドールについているんだ?」

「まぁ一言で言うと俺は監視されている」

「なぜ?」

「それはな」


一通り説明した。


「そうか、貴様はそこまでの実力者だったのか」


ライルはなぜか納得していた、なぜ納得できたかと聞くと。


「ルナは小さい頃から人の実力は見抜くのが得意なんだ。私が10のころ近衛騎士団でトーナメント戦をやってみたのだが、そのときルナは始まる前からトーナメントがどうなるのか言い当てた。その後も同じようなことがあってな、それも言い当ててるんだ」


らしいのだ、これは彼女特殊能力(ユニークスキル)によるものだろう。だけど少し予想とは違う能力みたいだな。


「それよりテオドール、これから会食がはじまるから移動するぞ」

「ハンナは?」

「すまんがルナの部下を今回の会食に連れて行くことはできない。よって控え室で待ってもらうことになるがよいか」

「わかりました、ライル殿下」


俺はライルに連れられ部屋をでる。


「どうやら我が思っているよりも貴様の実力は遥か高くにあるようだな」

「どうゆうことだ?」

「いままでルナがそこまでの警戒心を出すのがお前が始めてだからな」

「信用してんだな」

「実績があるからな」

「そっか」


部屋に向かうまでライルと話しながら進む、すこしすると大きな扉の前に着いた。


「(・・・ここからは敬語でしゃべってくれ)」

「(了解)」


ライルは扉の前に居る衛兵に聞こえない音量で伝えてきた。中に入るとさまざまな貴族に歓迎された。だがこれといって特別なことはなく、俺を勧誘したり、漏れても問題ない話題や他愛ない話のみの会食だった。そして会食が終わるとライルが近づいてきて


「少し話がある、時間をもらえるか」


俺らは会食が終わっても俺とライルはこの場所にとどまる。周りに誰も居ないことを確認してから。


「これについて聞きたい」


右手の人差し指についている魔法具のことだ。


「見た限りでは6割ほど貯まっているみたいだな」


どうやら想像以上にライルは想像以上に魔力量を持っているみたいだな、少し気になって状態確認(ステータス)で調べてみると。


name:ライル・ザラ・ヘクメス

種族:(ヒューマン)

年齢:20

状態:良好

生命力:120/120

魔力量:543/543

腕力:87

脚力:93

敏捷性:99

耐久力:64

器用度:76

魔質:346

魔抗:195

視覚:E

聴覚:E

触覚:E

嗅覚:E

魔法適正:火・水

【種族特性】

特殊技能(ユニークスキル)


となっている。


(これは完全に魔術師タイプだな、常人よりも魔質と魔力量が高い)


これならあの貯まる速度にも納得がいく。魔質とはゲームである魔術の威力に関する項目見たいなものだな。


「これなら明日の内に守護獣を作ることができそうだな」

「そうかなら明日、これの使い方を教えてほしい」

「わかった、ちなみにだが召喚器にするものを用意しておいてくれ」

「ん?これが召喚器ではないのか?」

「違うよそれは守護獣を作り出すものであって、その守護獣とライルを繋ぐ物じゃないんだよ」


ちなみに召喚器とは離れた場所に居る契約したものを呼び寄せるためのものである。まぁ口寄せ、もしくはサモンとかそんな感じだな。


「それにしてもどんな守護獣ができるんだろうな」

「それは我も少し期待している、ちなみにテオドールの守護獣はいるのか?」

「いることはいるよ」

(グレールやチールが俺の守護獣みたいなものだしな)

「どんなものなんだ」

「それは秘密だ、ちなみに師匠は龍を呼び出していたな」

「龍?」


こちらでは龍とは言わないらしい。


(ドラゴン)のことだ」

「  」


ライルは口をあけて間抜けな顔をさらしている、その顔も元に戻ると少し期待した顔をした。


「そうか、これはドラゴンすらも誕生させることができるのか」

「一応忠告しとくがこれは一人一度きりしか使えないようになっているからな」

「わかった、ただいいのか貴様にメリットがないように思えるが」

「そうだな・・・・もし心苦しいならこの内乱が終わったら一つ報酬を貰いたい」

「わかった、何がいい」

「それは内乱が無事終わったら考えるさ」


明日の朝食後に魔法具を使うのが決まった。


自室に戻り就寝する。





翌朝、朝食を済ますと昨日と同じメイドが使いとしてやってきた。


案内されたのは城から少し離れた屋敷に案内された。


「待っていたぞテオドール」

「ここは?」

「ここは我の別荘だ、ここなら何かしらの情報がもれることがないが・・・」


ライルの視線はケイトに注がれる。


「わかりました、私は別室にて待機しています殿下」

「すまんな、現状ではルナの部下でも遠慮してもらう必要があるのでな」


その後、俺とライル、そしてその護衛1名が屋敷内の一室に移動した。


「それでは始めたいのだが」

「わかりました殿下、まずは昨日申し上げたとおり召喚器とするものはどれですか」

「これだな」


渡されたのは銀の腕輪だ。


「わかりました、では始めます。殿下こちらに来てもらえますか」


まずライルの指にある魔法具を発動させる。それにより半径7メートルほどの半球体の魔術式が浮かび上がる。


そして魔法が発動すると部屋全体が光に溢れた。


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