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小説『雨上がりの虹』  作者: 中野奏仁
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第一章 (愁視点) 3

次に愁の視界の白い靄が晴れたとき、愁は天使風の男に腕を引っ張られ、青い空の中に浮かんでいた。


眼前を見下ろすと、東京のビル群がミニチュアのように視界に広がっていた。ビル群の景色は彼らの移動に応じて、徐々に変化していった。最初は高層ビルが多かったなか、時折整備された公園がビル群の中にぽつぽつと混じるようになった。都心から移動しているのだろうか。


「これが俺の死んだ後の世界……」


愁は呟いた。


景色はどんどん変わっていく。その移り変わりの速さから、二人の飛翔速度の速さがうかがい知れた。ミニチュアのビルの高さがどんどん低く平たんになって行き、壁面の色は都会的な黒から赤茶けた灰色に移り変わっていく。整備されていない緑地の黄みがかった緑も増えていった。


「何も変わらないな……何も」


飛翔のスピードが少々遅くなり、高度が低くなった。通り沿いの歓楽街やあまり高くない雑居ビル群が良く見渡せるようになった。


「変わるさ。 賭けてもいい」


羽根の男は言った。


立ち並ぶビルの高さがまた一段二段と低くなった頃、彼はまた一段階、飛行速度を落とした。徐々に高度も下がり、ビルが大分近づいていく。


その一つの中に、羽根の男は愁を連れて向かってゆく。

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