一章 プロローグ
人は生まれながらにして社会の奴隷である
生まれながらにして社会の仕組みを叩きこまれ、大きくなるにつれ学校に通わされ洗脳され自由を奪われる。
大人になれば自由どころかせかせかと働きアリのように働かされる。
なら、その仕組みから外れた奴隷にすらなれなかったヤツらはいったいなんなのだろうか。
柄にもなくそんな事を考えるのは昨日の放課後に倫理の教師に捕まりマンツーマンでみっちりとテスト範囲を叩き込まれたからだろう。
みなまで聞くな…男だ…
女教師ならヤル気になるとかそういうのではない!何故ならそろそろ
ープルルルル プルルルル
携帯が鳴る事前提、別に予知したわけでもなんでもない。予知能力が備わっているのならロト6でも当ててもっと裕福で自堕落な生活を送っている。
この時間に携帯がなるのは同然
時刻は現在朝の10時
すなわち学生さんもサラリーマンさんも皆揃って遅刻の時間だからだ
何故こんなにのんびり余裕をかましているかってのは
それが日常だからとしか言い様がない
私立虹ヶ丘高等学校に通う1年
ほぼ毎日登校は昼からの社長出勤である
学校からそれが許されるくらい頭が良いとか、病弱だからとかは一切ない
寝て、起きて 学校へ行こうかと思ったら時間が先走っているだけなのだ
けして学校に行きたくないわけじゃない時間が…時間がああ…
……
…
さて、そろそろ電話に出てあげないとミチヨが泣くな
ちなみにミチヨとは担任の名前である
もちろん女教師!アラサーだ!
「はいはい おはよう 起きてる起きてる」
「瀬戸君!おはようじゃないでしょ!毎日毎日毎日なんでアナタは普通に学校にこられないの!」
瀬戸とはもちろんこの遅刻常習犯の名前で
瀬戸勇気という
年齢はピチピチの16才!モーニングコールのお相手はピチピチの花も恥じらう30歳!
「なんでってこれが俺の普通だし、今から学校行くし良いじゃん」
「当たり前です!今日は授業あるから迎えいけないからちゃんと学校きなさいよ!」
ーへいへい
と返事をしてそそくさとユウキは電話を切った
ユウキには母親と姉がいるが姉は長いこと入院している。
母親も女手1つと言う事もあって朝から夜遅くまで仕事漬けで遅刻していようが早退していようが事後報告でしかわからないのである。
学校までは電車で4駅でこちらの学生はそのくらいの距離は普通で
電車は海岸線を走り景色は良い、虹ヶ丘高等学校…略して虹高も海が見える位置に立っている
けしてそういった美的センスで学校を選んではいない、ただ…ユウキの成績ではここしか入る所がなかった それだけの事である
いい加減支度をして学校へ向かわないとミチヨにフライパンで頭を叩かれかねないと慌てブレザーの袖に腕を通して家を出る事にした。