7日目:赤色の部屋
目を覚ますと真っ赤に装飾された部屋で目を覚ました。俺はベッドの上で目を覚ましている。目を擦って確かめる。やはり現実だ。
昨日の記憶が蘇る。俺の記憶が確かならば、壁は紫色に装飾されていた筈だ。
体が痛むが、何とかベッドから起こして部屋を見渡す。
部屋はそんなに広くない。むしろ狭いぐらいだ。
ちょっと歩いた所に洗面所がある。そこからやや離れた所にドアがある。
だけどこれがどうだ。体が痛くて思うように動かないじゃないか。
俺は溜息をついて再び枕に頭を落とした。すると俺は気づいた。
俺の目線の先に縦長の物置が置いてあったのだ。
いや、大事なのはそこじゃない。物置の1番上、そこに写真立てが飾れていたのだ。その写真立てを見た途端に俺の鼓動は早まった。
思い出したのだ。ああ、思い出したくもない事を俺は今思い出したのだ。
しかしこういう時ほど興奮が冷めない時はない。
俺はすぐさま写真立てを手にとった。
痛い。
あの時に受けた心と身体の痛みが滲むように蘇る。
痛い。
「あ、ああ、あああ……」
痛い。痛い。
不意に頬を伝った涙がとめどなく溢れだした。
痛い。痛い。痛い。
「わああああああああああああああ!!」
尋常でないくらいに震える手は写真立てを手放して、ベッド下へと落とした。しかしそれで俺の心身の高揚が抑えられる訳でもなく、俺の身体は暴走し始めた。
痛い。痛い。痛い。
何もかもが痛いのだ。
痛い。助けて。痛い。
俺はいつの間にか複数の医療服を着た男達に取り押さえられていた。
無我夢中で押さえつけてくる人間を振り払う俺。それでも奴らはめげなかった。それにそもそも身体の痛みを堪えていた俺だ。結果なんてものは既に見えていた。
俺はいつの間にかベッドに横になっていた。
もう俺には何もない。何もないのだ。ただの空虚に身をまかせるしかない。
そう思って目を閉じようとした時だ。
ベッドのすぐそばに女性が来ていた。後ろには彼女にそっくりな少女がいる。
誰だ? どうやって俺に近づいた?
いや、そんなことはどうだっていい。微笑んで俺を見守る彼女が悪魔だなんて、俺には到底考えられない。そうだ。その逆だ。彼女は天使だ。そう思って迎えてあげようじゃないか。
彼女はそっと俺の手に手を重ねた。
温かい。俺は微笑む彼女にそっと微笑んで返した。
じわっと。
俺と彼女は次の瞬間に唇と唇を重ねていた。
彼女が誰かなんて俺にはわからない。
でもこれだけはわかるのだ。
そう。この今感じるものそれこそが“愛情”そのものであると。
どこか眩しくて瞬く。
その瞬間、俺の目の前は真っ白になった。
身体の中を流れる血流も生暖かい感触もない。
俺はどうやら正真正銘の“無”と化してしまったようだ。
だけど悔いがある。
そうだ。悔いがあるのだ。
どうか神様とは言わない、誰でもいい、何でもいい、俺にチャンスをくれよ。ほんの少しでもいいから時間をくれ。
さっきまで傍にいた天使に、後ろで怯えていた少女に。
俺はたった一言伝えたかった。
だから伝えさせてくれ。俺の声で。俺の言葉で。
愛していると――
∀・)読了ありがとうございました♪えっと、結局わけがわからんという感想をお持ちの方、それでも可笑しくはないと思います(笑)1日ごとに過ごす部屋が変わるという話を描きたくって執筆しました。どうしても内容に納得がいかないという御方は「7日目:赤い部屋」から逆に読み進めていったら何かがわかってくるかと思います。余計わからなくなったらごめんなさい(笑)ともあれ、7日連続投稿成し遂げました(ニッコリ)さっき買ってきたリアルゴールドでも飲みながら余韻に浸ろうと思います。ここまで読んでいただいた皆様、心より御礼申し上げます。また次回作でお会いしましょう♪♪




