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わくわく異世界冒険?  作者: りんごはるさめ
3章
96/102

88話 其々の戦場

今話は別視点の話です。

主人公とヒロインも登場はしますが喋りません。


それとお礼の報告です。

なんとブクマ件数が150を突破しました!

ありがとうございます!

頑張って完結目指して頑張ります。


では本編をどうぞ。


 88話 其々の戦場


 ーーーノルン視点ーーー


「リーン!右だ!」

「……分かって、るっ!」


 俺の指示と同時にリーンがオークの攻撃を掻い潜り、短剣を首へとねじ込み息の根を止める。


「はぁはぁ、ゲイル!左からゴブリンの集団だ!前線を作るぞ!」

「おうよ!」

「セーラ!リーン!支援を頼む!MPはまだ大丈夫か!?」

「了解!まだまだ余裕よ!」

「人使いの荒い、リーダー……です。」


 俺たち前線組が魔物達と交戦に入って數十分が経っただろう。魔物たちはその数を確実に減らしている筈だが、その様子は伺えない。

 くそっ!本当に終わるのか!?この戦いは!……いや、終わらせる!そうでないと街を守る事は出来ないんだ!

 それにさっきの魔法で魔物の大半が倒されたんだ。これくらい俺たちが倒さないでどうするんだ!


 俺は左から迫ってくるゴブリンを盾でシールドバッシュして、右から来るゴブリンを剣で突き刺す。

 右のゴブリンはそれで絶命し、左のゴブリンは体勢が崩れたところをリーンが首をはねた。


「ナイス!リーン!」

「当然……です!」


 ゲイルも数体のゴブリンをまとめて吹き飛ばして倒しているようだし、セーラは支援の合間を縫って魔法でゴブリンを仕留めている。

 ゴブリン達の集団を倒したところで俺はみんなに指示を出す。


「……よし!一旦、後退するぞ!」

「「「了解!(……です)」」」


 とりあえず迫って来る魔物は全て倒す事は出来たが、その分俺たちもかなり疲弊してしまった。

 みんな動きが鈍くなっているし、このまま無理をすると確実に誰かが大きなて傷を負う。そうなってからでは遅い。

 俺はそう判断して一度、後衛まで下がって体力の回復を図った。


「……しっかし、ハヅキはさっきまであんな魔法を使ってたってのに元気だなぁ、おい。」


 ゲイルの言う方向へと視線を向けると、遠くでハヅキがオークの集団を相手に全て斬り伏せている姿があった。

 正確には斬り伏せているだろう姿、かな?彼の太刀筋は速すぎて見る事が出来ないし、彼が通った後は血を流しながら地に伏せる魔物しかいないから。

 ハヅキの側にもう一人メイド?の格好をした女性がいるが、おそらく彼女が前にハヅキが言っていた仲間なんだろう。


 俺たちは数週間前にハヅキと一緒の依頼を受けた……いや、正確には俺たちが依頼の助っ人をお願いしたと言った方が正しいか。

 その時にハヅキの強さを垣間見る事があったんだが、それは本当に彼の強さの片鱗だったという事を今日改めて思い知らされた。


 數十分前まで止むこと無く放たれていた魔法や弓だが、その中でも一際破壊力の違う魔法があった。

 それは光として地に落ちて魔物を蹂躙していき、さらに雷として現れた竜の化身が魔物の群れから群れへと渡り、まるで意思があるのかの様に次々と蹂躙していく。

 他にも巨大な竜巻がいくつもあったり、竜巻の様な竜がいたり、氷剣の雨などが降り注いでいたりしたが、その魔法が一番印象に残った。

 まるで夢物語や天変地異そのものの様な光景だが、その雷魔法を使ったのはなんとハヅキだという。(後衛部隊にいたセーラから聞いた)


「……多分ああいう人が英雄って呼ばれる存在なんだろうな。」


 ゲイルの問いに答えるでもなく独り呟いた言葉だったが、妙に俺の中でしっくりときた。


 の人物は剣1振りで1万の魔物を討伐した。

 彼の人物は強大な魔法を操り10万の魔物を討伐した。

 彼の人物は聖剣を手に魔王を討伐した。


 この世界にいる人間なら誰でも知っているお伽話だ。

 街や国を救う様な英雄はこうして勇者様に擬えられる事がある。

 ……そうだ。ハヅキはあの勇者様・・・に似ているんだ!その強さも、黒髪黒眼という容姿・・・・・・・・も!

 確かに黒い髪や眼をしている人は他にもいる。だけどあそこまで純粋な黒い色を今まで見たことがない。

 それこそ、勇者様と同じ異世界か・・・・ら来た・・・と言われても違和感がないくらいに!

 …………いや、俺の考えすぎか。それよりも早く戻って回復に努めよう。


 俺は先ほどまでの思考を無理やり奥へと仕舞って、みんなと共に急いで後衛陣地まで退がった。



 ーーーガルム視点ーーー


「どらぁぁぁ!!!」


 俺は何体目か分からないゴブリンを頭から左右に真っ二つに斬り倒す。


「おぉい!ケイトォ!そっちは終わったか!」

「……はっ!……今、終わったぜ!旦那ぁ!」

「よし!それじゃ各自報告だ。」


 俺たちはさっきから羽虫の様に湧いてくるゴブリンどもを片っ端から討伐していき、たった今襲ってきた奴らを討伐しきったところだ。

 この程度で根を上げる奴らじゃ無いことは重々承知しているが、戦闘後の報告を怠る事は出来ない。

 ここは戦場だ。戦場では相手が格下であろうと何が起こるか分からない。

 それならその万が一を起こらない様に徹底する事は当然の事だし、何より今は俺たちの本領を発揮していない。尚の事気を使う必要がある。


「私はかなり余裕がありますね。今の戦闘ではほとんど何もしていない様なものですから。」

「俺も大丈夫だ。寧ろ旦那のペースが速過ぎる気がするんだが……。」

「んあ?俺か?俺なら余裕だ。色々と試しながら戦闘していたせいで少し張り切っちまっただけだ。」

「……この状況で実験をしながら戦闘をするなんて……。はぁ。」

「まぁそう言うなよ、シルヴィア。既に試したい事は粗方試した。……一度後衛まで戻るぞ。そろそろエリルも復帰してくる頃だろ。」

「「了解。」」


 俺たちは今、3人・・で前線に参加している。さっきの会話でも分かると思うが、今この場にいないのはランとエリルだ。


 ランは今回の作戦では支援部隊に回っていて、俺たちとは別行動だ。おそらく、今回の作戦では一緒に行動をとる事はないだろう。

 回復役のランがいない分、余計なダメージを負うわけにはいかないし、いつもよりも支援が薄い訳だ。当然、無茶は出来ない。

 特にこの面子だとケイトは魔力での身体強化が出来ないから注意が必要だ。


 そしてエリルだが、こいつは遠距離部隊に配属された。

 あいつクラスの魔法を使う奴は人族では滅多にいないし、納得も出来る。と言うか、そうでないとおかしい。

 だが、既に遠距離部隊による支援攻撃は終わっていて、遠距離部隊にいたハヅキやラナンキュラスの嬢ちゃんは近接戦闘を開始している。

 それなのにエリルはこの場にはいない。


 その理由は簡単だ。あいつは体力が無い。あれだけ魔法を使った後だ、MPポーションをがぶ飲みしてるに違いねぇ。

 その状態で走ったりしてみろ、確実に横腹が痛いとか言い出すぞ。そうなりゃ敵の恰好の的だ。それが分かっている為、落ち着くまでの間あいつを支援部隊のところに置いてきた。

 ……本人は納得していない様だったがな。


「ったく、もうちっとエリルにも体力をつけて欲しいんだがなぁ。」

「旦那ぁそれは無理というか、厳しい注文じゃないか?」

「いえ、ガルムの言う通りですよ。いくら魔法使いでもモヤシ過ぎます。」

「いやいや、女の子だしそんなもんだと思うんだけどなぁ。」

「やはりこの作戦が終わった後にエリル専用の体力強化メニューを作るべきでしょうか……。いえ、それならいっそランの分も……。」(ボソボソ)

「おーい!シル?シル!?聞いてんのか?……だめだ、聞いちゃいねぇ。」

「こうなったシルヴィアは止められねぇよ。とばっちりを喰らいたくなけりゃ、黙っといた方がいいぞ?」

「流石旦那だ。いつも怒られてるだけあって鋭いねぇ。」

「……ケイトにだけは言われたくないんだがな。」


 俺たちは前線を離れてかなり後衛の方まで下がってきた為に、こうして雑談をする余裕まで生まれている。

 と言うかそうこう話しているうちにエリルの元まで着いた。


「……遅い。」

「だとよケイト。」

「え!?ここで俺に振るのかよ旦那!?」

「……まぁいいや。早く行こう。」

「そうですね、行きましょうか。それと、この作戦が終わったらエリル、あなたの体力強化メニューを作りますよ。ついでにランの分も。」

「……え!?……いや、いい。いらない。」

「そう言うわけにも行きませんよ。体力が無いとこれから先も大変でしょう!」

「……むぅ。ケイトのせい。」

「だからなんで俺に振るんだよ!」

「ついでですからランの分のメニューも作りましょう。」

「……ラン、なむ〜。」( ̄人 ̄)

「しかも無視か!?」


 くっくっく。本当に笑わせてくれる奴らだぜ。やっぱこいつらといると飽きねぇな。

 俺は沸き起こった笑いを堪える様に深呼吸して気合を入れる。


「それじゃおっ始めるぞ!エリル!体調は大丈夫か!?」

「……元々大丈夫。」

「よし!一応言っておくが、今回はランがいねぇ!回復も支援魔法もほぼ無い状態での戦闘だ!立ち回りには気をつけろよ!」

「「了解!」」

「……了解。」

「それじゃ、さっさと仕事を終わらせて一杯飲みに行くぞぉ!」


 回復も支援魔法も無し……。っは!オーガ共との戦いを思い出させてくれるじゃねぇか!上等だぜ!

 俺は滾る血に思わず口角が吊り上がるのを感じながら、咆哮と共に前線へと駆ける。


「一番立ち回りが心配なのは旦那じゃねぇか。」(ボソッ)

「その通りですね。」(ボソッ)

「……激しく同意。」(ボソボソ)










ご視聴ありがとうございます。

ブクマ、評価ありがとうございます!


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別作品の宣伝を少し失礼します
お時間がありましたらこちらもお願いします
私、勇者召喚に巻き込まれて死にました?
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