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わくわく異世界冒険?  作者: りんごはるさめ
1章 あまり好きになれない国
9/102

2話 恰幅のいい店主と俺の欲望

ここで少し主人公のスタンスがわかると思います。

ただ、欲望に忠実なだけとも言えますがw


10月29日に改稿してます



 2話 恰幅のいい店主と俺の欲望


「いらっしゃい!今日はどうしたんだい?飯なら空いてる席に座りな。」

「いえ、宿泊に来ました。まだ空きはありますか?」

「あいよ。宿泊なら一日3000ゴールドで朝と夜の二食分飯が付いてる。体を拭くお湯が必要なら一日一回は無料だよ。それ以降は50ゴールド貰うからね。」


 安いな!1ゴールドが何円かは分からないが今の手持ちでも相当な日数泊まれるぞ。

 まぁ、レティからお金を貰ってなかったら街にも入れなかったんだけど。


「分かりました。それじゃ取り敢えず二日分お願いします。」


 俺はそう言って銅貨6枚を取り出し店主のおばちゃんに渡す。


「あいよ。確かに貰ったよ。飯の時間はいつでもいいけど、出来れば朝は日が昇り切る前、夜は沈み切る前に済ませておくれ。昼も酒場は空いてるから飯がいるなら普通に注文しな。料金は別途かかるけどね。」

「分かりました。」

「そんじゃ部屋は203号室を使いな。これがあんたの部屋の鍵だよ。」


 そう言って鍵を渡してくれる。


「ありがとうございます。」

「あたしゃミーシャってんだ。困ったことがありゃ言いな。できる限りは都合してあげるよ。」

「俺はハヅキって言います。よろしくお願いします、ミーシャさん。」

「あいよ。飯がまだなら荷物を置いてから降りてきな。」


 俺は言われた通りに一度部屋に行き荷物を置いてくるフリだけして1回の酒場に戻って夕飯にした。

 出て来た料理は黒いパンとホワイトシチューだった。パンはぼそぼそと粗く硬かったが、シチューは絶品だった。具材の味が絶妙に溶け出しそれらが互いを支え合うようにして味の軸が作られ、それらを牛乳?でまろやかに仕上げている。特に肉はほろほろと口の中で溶けて最高だ。


 異世界での予想外の絶品料理に舌鼓を打ち食事を終えると、カウンターでミーシャさんからお湯の入った桶を受け取り部屋へと戻る。

 俺は早速受け取った桶で体を拭く。正直、日本人としては風呂に入れないというのは辛いが、無い物ねだりをしても仕方がない。手早く体を拭き終えて部屋の中を見渡す。


 部屋の造りは外から見たレンガ調の石造りからは想像できないが、木材を使って造られていた。窓にも現代と同じくらいの精度とはいかないがガラスが使われており、鏡まで備え付けられていた。こういった宿屋にも使われているあたりことさら高級品というわけでもなさそうだ。

 しかし、電気製品の類は無く、照明もカンテラを使用している。さっき渡されたお湯も井戸から汲み上げた水を沸騰させて温度を調節させたものだと言うから、水道は完備されていないのだろう。……なんか技術の進捗がちぐはぐ過ぎる。

 宿に来るまでの間街の中を見た印象もあり、中世ヨーロッパ位の文明力と思っていたがどうやら一部を切り取れば高度な文明を持っていそうだ。


 不思議だなぁと考えていると、俺は見当違いな事を考えている事に気づいた。

 そもそも此処は異世界だった。まず俺がいた世界を基準に考えるのがズレている。この世界には『魔法』が存在するが俺たちの世界には無かった。それなら全く違う文明に進化していてもおかしくない。というか実際そうなんだろう。

 『十二分に発達した化学は魔法に等しい』だっけか?その十二分な科学力と似た様な力の『魔法』が存在するのだ、科学を発達させる必要が無かったのだろう。


 こういったことを考えると少し頭が良くなった気がするな。

 ※意見には個人差があります。


 俺はベットに身を投げ出しこれからの事を考えてみる。と言っても大体の方向性は決まっているのだが……。


 まずは現状の把握が最初だろう。この世界に連れてこられたのか、巻き込まれただけなのかは分からないが、元の世界に戻るのはおそらく難しいだろう。

 色々と準備してようやく呼び出すことができるのだ。元の世界に返すのは中々難しいのでは?と考えてしまうだろう。逆に色々準備すれば帰れるのか?うーん情報が少なすぎるな。


 そもそも俺は元の世界に戻りたいのか?……分からない。

 ただ、『戻りたくない』のと『戻れない』では意味合いが全く違って来る。今は戻りたいと思ってないがこの先も同じとは限らないので素直に日本へ帰る方法を探すのが良いだろう。

 そして、方法を探すのは良いがその為には彼方此方移動し続ける事になる。国から国へ移動するにはある程度の身分が必要になって来るだろうから、門番の男が言う冒険者は都合が良いと言えるだろう。


 何せ言い訳は作りたい放題なのだ。例えば、依頼の都合で〜なんて言っておけば大体は大丈夫だろうし、新しい拠点を探していて〜なんて言うことも出来る。非常に便利だ!

 それに、異世界での冒険者って物は定番も定番なので、憧れがあるというのもある。


 そう言った諸々を含めて俺は明日はギルドで冒険者の登録をするつもりでいるのだが、一つ問題がある。


 俺は目立ちたくないのだ!……目立ちたくないのだ!!大事な事なのでry)


 レティとの話で大体俺の性能はチータークラスだと言うことが分かった。……ネトゲーマーとしてはチーター、ツーラー呼ばわりは多少イラっとするが、実際反則っぽい力なのでぐうの音もない。


 そして、自称オタクな俺はこういった転生物の話もそれなりに読んでいるが、毎回疑問に思うのだ。

 なんで主人公はみんな俺tueeeeしたがるのかと。

 いや、気持ちは分からなくもないよ?急にとんでも能力を手に入れたら試してみたくなると思うよ?

 でもさ、自分の知らない世界、知らない常識、知らない脅威があるとしたらさ、まず考えるのは自身の安全と保身じゃない?


 ……俺のラノベ主人公に対する意見具申はどうでもいいが、実際問題ここで目立つわけにはいかないのだ。

 ここ、ブリリアント皇国は勇者を召喚した人族至上主義国だ。勇者召喚前に戦争をして領土拡張をしたりする碌でも無い国だ。(俺の中で)

 つまり、何も考えず明日ギルドに行ったとする。

 そして、能力測定をする→『すごい能力ですねー』と目立つ→国のお偉い様に目をつけられる→俺の頼みを断ると国が相手になるよ?と脅される→断れず渋々したがっていき沼る→ど♡れ♡い♡化!……これ詰んでね?

 という未来が見えるわけだ。


 せっかく異世界に来たんだ。自由に過ごしたいし、できることなら可愛い女の子とイチャイチャしたい!イチャイチャしたい!

 俺は心の底からの欲望と当面の目標のため明日をどうやって乗り切るか考えた。






ご視聴ありがとうございます

ブクマ、評価ありがとうございます!



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私、勇者召喚に巻き込まれて死にました?
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