79話 漫才集団?いいえ、Aランクの冒険者パーティーです
つい数日前に近所の電化製品屋さんで品薄だと聞いていたス◯ッチを購入しました。
……開封すらできていませんが。
早くイカをやってみたいんじゃぁ〜
2018年1月15日に改稿してます
79話 漫才集団?いいえ、Aランクの冒険者パーティーです
翌朝の早朝、俺たちはギルドに来ていた。昨日の話し合いで一度ギルドで落ち合ってから馬車で移動という事になったからだ。
その時の話し合いは大変だった。
ガルムはどうやら俺のことを気に入ったらしく、バシバシと背中を叩きながら笑うもんで中々話は進まなかったし、背中は痛いしで相手をするのが途中から面倒になったくらいだ。
シルヴィアがガルムを叱りつけてくれていなかったらどうなっていた事か……。っと話が逸れたな。
馬車になった理由は歩きだと時間がかかるし、馬で行こうにも全部で7頭もの馬を用意しないといけなくなってあまり現実的ではないからだ。
まぁ、俺とララだけなら走って行くことも出来るが今回はガルムたちもいる為、最初から候補に入っていない。
何よりガルムたちは自前の馬車を持っていた。だから俺たちがそこに乗せてもらう形で話がついたというのが主な理由だ。
準備が整い次第、すぐに出発した俺たちはシルヴィアが御車をすることで問題なく森についた。
………。
うん、言いたい事は分かってる。でも何も言う事が無いんだ。
道中に出て来た魔物はみんなが寄ってたかって瞬殺するし、盗賊が出ることもない。4時間くらいで難なく森へ着いてしまったのだ。
陽が昇りきっていないし、まだ昼にはなっていない頃合いだろう。
一応この後の行動の方針も昨日の話し合いで予め決めてはいるが、確認は必要だろう。現場に着くと予想とはまるで違う状況でしたなんてのは仕事ではよくある話だ。
まぁ、幸いなことに今のところは変わった状況は見受けられないが。
「さて、ここまで問題なく着いたが……どうする?予定通り偵察からするか?」
「そうだな、俺もそれがいいと思う。まずは俺とララちゃんで偵察に行こう。……ララちゃ〜ん。俺と愛の逃避行に行こうぜ〜。」
「……。ハヅキ様、アレはいかがいたしましょう?」
「ケイトっ!こんな時までふざけないで下さい!」
「おいおい、シルはヤキモチさんだな〜。俺はシルの事だって愛してるぜっ。(ウィンク)」
「……その気色悪い目を潰しますよ。」
「………現実問題、偵察は大事。」
「ですがこの状況で少人数で動くと危険じゃないですか?」
「またまたシルは照れ屋さんだな〜。」
「………それくらいでやられるような奴はこの場にはいない。それに昨日の話でもそれで大丈夫って事になった。」
「うーん、でもやっぱり危ないと思うんですよね〜。」
「……二度と口を開けないようにしてあげます。そこを動かないでくださいね、ケイト。」
「じょ、冗談!冗談だってシル!マジになるなよ……って、わっ!マジで剣を抜くなよ殺す気か!?」
……ナニコレカオス。
俺はただ、行動方針の確認をしただけなのになんだこの状況は。
あのパーティー唯一の真面な人間だと思ってたシルヴィアが剣を片手にケイトを追い回してるし、そんな連中はがん無視してエリルとランは偵察の人数について話を進めているし、ララはニコニコと俺の側を離れないし……。
もう一度だけ言う。ナニコレカオス。
「……ガルム、こいつらいつもこうなのか?収拾がつかねぇぞ。」
「……うちのが悪いな。こいつらも多分緊張してんだ。その裏返しとでも言えばいいか……。」
神妙な面持ちで言うガルムの言葉も分からなくはないが……幾ら何でも酷くないか?
ちなみにガルムたちに対してタメ口なのは『あくまで対等な立場で依頼を受けた仲間だから敬語なんて使うな』とガルムが譲らなかったからだ。よっぽど気に入られたらしい。
ガルムは一度深呼吸をすると先ほどまでの様子とは一転して、少しだけ怒気を孕んだ声音で口を開いた。
「……おい。そろそろ始めるぞ。」
「へ〜い。分かってるよ旦那。だからそんなに怒らなくてもいいじゃねぇか。」
「すみません、ガルム。」
「……私たちは真面目に偵察の話をしていた。」
「………エリルさ〜ん、空気読みましょうよ〜。」
ガルムの言葉で空気に一応の緊張感が戻ったところで俺は口を開いた。
「まずは偵察をしたいんだけど、少人数で動くのはこの状況下では下策もいいところだと思う。あまりにも危険だからな。」
「だが全員で動くわけにもいかねぇだろ?」
「だから俺に考えがある。……ララ。」
「かしこまりました。」
俺はララに目配せをして合図する。
ララはそれだけで俺の意図を読み取り、森に落ちている影へと歩み寄り手で触れる。
ララが今使っているのは影魔法と空間把握を併用した魔法?技術?みたいで彼女が触れている影に存在するモノなら位置や敵の種類などの情報を全て得ることが出来ると言うものらしい。
実際は全ての情報を得ようとすればララの魔力でもかなりキツイらしいし、そんなに大量の情報を一度に得てしまうと頭がおかしくなるとの事で、かなり情報制限をかけているらしい。だからあくまでも出来ると言う可能性の話だと本人は言っていたが……。
ぶっちゃけ、この魔法チートすぎると思うんだよね。
敵の位置を知る事が出来るだけでもかなりのアドバンテージを得る事が出来るし、何よりこの魔法は使用制限が結構緩い。
影の中ならいつでも使える為、今回のような森が場所だと森の中全域を把握できる。しかも、夜の間でも使う事が出来るらしい。その分、屋内だと使いにくいそうだが十二分な能力だろう。マジでぶっ壊れの索敵能力だと思う。
ちなみに、この3週間はこの魔法で魔物を見つけて討伐するサーチアンドデストロイ方式をとっていたため、普通ではありえないであろう量の魔物を討伐できた。
……まぁ、その必要があったのか?と思うくらい魔物の量が多かったんだけど……。
数秒の間、ララが静かに集中して目を閉じていたかと思うと、こちらを向いて口を開いた。
「ハヅキ様、捕捉しました。」
「場所は?」
「はい。ここから真っ直ぐ森の中心へ向かったところです。直進距離にして十数キロかと思います。それとおおよそですが、この森には現在、1000〜1500程の魔物がいると思われます。」
「ありがとう。」
流石の一言に尽きるな。数秒で敵の位置とおおよその戦力が分かっちゃったよ。
……ララがこうも頼もしくなって嬉しい半面、彼女も人外の仲間入りだと思うと悲しくもある。いや、自衛の手段を持っている事は非常に良い事だとは思うが……。
そんな俺を置いてガルムは苦笑い混じりにララに声をかけるが、ララはガルムの言葉を否定する。
「……流石は絶対たる従者か?主人の命令は絶対に遂行するってか?」
「いえ、ガルム様。今のは命令ではございません。私はハヅキ様の願いを叶えたに過ぎません。」
「そうかい。……全く本当にとんでもない連中らしいな。ますます気に入ったぜ。」
とんでもない連中とは失礼な奴だな。
……まぁ、どう考えても気になるだろうに、さっきのララの魔法について誰も言及せず、暗黙の了解を守る辺りからも彼らの気の良さが分かるだが。
……この依頼が終わったらみんなで一杯ひっかけに行くか。
俺は依頼後の事に思いを馳せながら森の中へと足を踏み入れた。
ーーおまけーー
名前:ガルム
種族:人族
年齢:32
称号:鬼喰い
LV52
HP 2181/2181
MP 171/171
STR 1562
VIT 718
DEX 501
INT 219
AGI 1021
スキル(身体系):<魔力制御LV2><身体強化LV6><縮地LV1>
スキル(その他):<胆力LV-><威圧LV->
スキル(武術系):<剣術LV5><大剣術LV6><体術LV4><見切りLV2>
スキル(魔法系):<生活魔法LV-><火魔法LV1>
名前:ケイト
種族:人族
年齢:25
称号:千里眼
LV45
HP 1187/1187
MP 297/297
STR 416
VIT 271
DEX 891
INT 102
AGI 1271
スキル(身体系):<身体強化LV4><索敵LV5><隠密LV2><罠感知LV4>
スキル(武術系):<短剣術LV4><体術LV3><見切りLV1>
スキル(魔法系):<生活魔法LV-><風魔法LV2>
名前:シルヴィア
種族:人族
年齢:23
称号:不沈の盾
LV50
HP 2618/2618
MP 182/182
STR 791
VIT 1692
DEX 417
INT 182
AGI 615
スキル(身体系):<魔力制御LV1><身体強化LV5>
スキル(その他):<料理LV2>
スキル(武術系):<剣術LV5><盾術LV5><体術LV3>
スキル(魔法系):<生活魔法LV->
名前:エリル
種族:人族
年齢:19
称号:水氷の魔女
LV48
HP 361/361
MP 2819/2819
STR 71
VIT 90
DEX 191
INT 1873
AGI 281
スキル(身体系):<魔力制御LV4><身体強化LV1>
スキル(武術系):<杖術LV2>
スキル(魔法系):<生活魔法LV-><火魔法LV3><土魔法LV3><水魔法LV5><氷魔法LV4>
名前:ラン
種族:人族
年齢:19
称号:清涼の巫女
LV41
HP 301/301
MP 1926/1926
STR 66
VIT 201
DEX 416
INT 1211
AGI 471
スキル(身体系):<魔力制御LV3><身体強化LV2>
スキル(その他):<料理LV3>
スキル(武術系):<杖術LV3><体術LV1>
スキル(魔法系):<生活魔法LV-><光魔法LV5><水魔法LV3><風魔法LV3>
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