1話 実は良い奴の門番と黒歴史
ようやく1話です。キャラがぶれないように書いていきたいですが難しい……。
そしてヒロインは現在行方不明です……。
いつになったら登場することやら。
10月29日に改稿してます
1話 実は良い奴の門番と黒歴史
俺はこの世界で初めて会話をした人?達と別れを告げ、夕暮れを背景に一人身悶えていた。
何だよ『絶対に迎えに来るから待ってて欲しい(キリッ)』って!馬鹿じゃねぇの?てか馬鹿だろ俺!あ"あ"あ"あ"んもぉお。あの時の俺を殺したい!いっそ今殺せ!
ーーー数分後ーーー
一頻り暴れた(脳内で)後、忘れたい過去をふるい落すように辺りを見回し大きな街を見つける。
おそらくあれがレティの言っていた最寄りの街だろう。街へ向かうなら早く行った方がいい。日が完全に暮れてしまうと動きにくくなるし、泊まれる宿も無くなっていくだろう。
しかし、ここで一つ問題が出てくる。……金がない!
一応レティがくれたお金があるがどうなんだろ。足りるのかなぁ……。
恐る恐るといった様子でレティに貰った巾着袋の中身を見てみると金貨、銀貨、銅貨がそれぞれ10枚ずつ入っていた。(1金貨=10万ゴールド、1銀貨=1万ゴールド)全額で何と111万ゴールドも入っていた。
レティさん、ありがた過ぎるけどおこずかいにしては奮発しすぎなのでは?ありがとうございます。
俺はお金の入った巾着袋を収納して、街の門の方へと歩いて行った。そして、街へ入ろうかというところでこの街の憲兵?門番?らしき男に呼び止められた。
「止まれ!お前一体どこから来た!身分証を出してみろ!」
かなり高圧的な物言いだったがそれに腹を立てて面倒ごとになるのも嫌なのでここはプランAでいく。プランBは勿論無い。
「あぁ、すみません。私実はかなり偏狭な村から出て来まして、旅をしているんです。せっかく大きな街にきたので補給がてら少し観光をと思いまして……。そう言った訳で身分証の類を持ち合わせていないんですよ。」
定番な言い訳だが男は納得した様で、さっきまでの態度を謝り、少し調べることがあるからついて来てくれと言った。
何だ、別に横暴な訳じゃないんだな。あくまでさっきのは仕事だったからという事か。確かに見張りの仕事中に怪しい奴が近づいて来たら警戒もするわな。
男に連れられて来たのは交代で使うような小さな休憩部屋の様な所だった。部屋には机と椅子、それと机の上に水晶みたいな物が置かれていた。
「その水晶に手を置いて今から言う俺の質問に答えてくれ。」
「分かりました。」
「今までに犯罪行為をしたことは?」
「無いです。」
俺がそう答えると水晶が薄い青色に光った。え!?なに!?これってまずい!?
そう思ったのもつかの間それは杞憂だと知る。
「よし問題ないな。ようこそリカルデの街へ!」
「あぁ、びっくりした。急に光るんですもん。」
「ははは、最初はみんなそうやって驚くよ。」
「……因みになんですがもし犯罪歴があった場合はどうなっていたんですか?」
「その場合は水晶が赤く光る。そうなったら街へ入れるわけにはいかなくなる。と言うか逮捕だな。」
デスヨネー。そりゃ犯罪者を中に入れるわけにはいかないよねー。
「それでなんだが、初めてこの街へ来た場合、税金として1000ゴールドを徴収する事になっているんだ。さらにお前の場合は身分証が無いから仮身分証を発行しないとならん。これには1万ゴールド必要になるから全部で1万1000ゴールド必要なんだが……すまんが金はあるか?無い場合は同価値の物でもいいが……。」
「大丈夫ですよ。」
俺は収納空間から銀貨と銅貨を1枚ずつ取り出し男に渡す。
「うむ。確かに受け取った。仮身分の金だが冒険者ギルドに行って登録してくれば全額帰ってくる。まぁ登録にも金が掛かるが登録すればギルドカードが貰えてそれを身分証に使える。だから今回みたいに面倒な事にならなくていいし、どの街どの国でも使えるから便利だぞ。登録するならギルドの場所を教えるがどうする?」
やっぱりいい人だ!最初身勝手そうとか思ってごめん。
「そうですね、登録してこようと思います。あと、宿を取りたいんですがオススメのとことかありますか?」
そうして俺はギルドと宿の場所を教えてもらい街の中に足を踏み入れた。
街は地球で言うところの中世ヨーロッパの様だった。ただ、ゴミが散らかってる訳ではなくとても綺麗だ。
街並みは建物が石造りの物が大半だ。ちょくちょく木造の建築物もあったが基本はレンガの様な石で作られていて、木材は所々補強する様にして使われている。
夕暮れということもあって人の通りも多く、ちらほら冒険者風の人も見える。
しかし、よくあるファンタジーな世界のエルフや獣人、ドワーフといった人は殆どいない。
いたとしてもおそらく奴隷の証であろう首輪を付けていたり、ボロボロの布切れを纏っていたりとあまりいい格好はしていない。
「奴隷か……まぁ、俺には縁のない話だよな。」
やはりと言うか、奴隷の扱いはあまりいいとは言えないようだ。同情の念がないとは言い切れないが、明日は我が身と言うしとりあえずは生きることを考えていこう。
ただ、この国を拠点にするつもりは毛頭ない。
この国にはおそらく日本から召喚された勇者がいるらしいし、面倒ごとに巻き込まれる前に早くこの国を出たい。
まぁ、その為に色々と準備が必要なんだが。
俺は先に教えて貰った宿へと足を運んだ。
ギルドに行かなかったのは既に夕暮れで仕事帰りの冒険者が多いだろうとか、登録には恐らく時間がかかるだろうから宿を取るのが難しくなる取ろうとか、その他多くの理由からだ。
まぁ明日にでも行けばいいだろう。
宿の名前は『鍵猫の尻尾亭』と言って、安い割にベットはしっかりしていて飯も美味いとのこと。
宿に着くと酒場になっているであろう1階はかなり賑わっていて、店員さんが慌ただしく動いていた。その光景を入り口で眺めているとカウンターの方から声がかけられる。
声の方を見てみると店主であろう恰幅のいいおばちゃんがニカッと音がする様に笑ってこちらを見ていた。
なんか定番も定番って感じの店主だなぁ。異世界の宿屋って厳ついおっさんか恰幅のいいおばちゃんかのどっちかな気がする。
そんな失礼なことを頭に浮かべつつ俺は声の方へと歩み寄った。
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