66話 メイドオブメイドへの道?
今回はヒロイン視点ではなくてオフィーリアの視点での話です
いわゆる閑話に近いのですが、この話も見て頂いた方がこの後の展開も分かりやすくなると思います。
11月22日に一部改稿してます。
66話 メイドオブメイドへの道?
ーーーオフィーリア視点ーーー
「うーん、どうしてなかなかに優秀なのかしら。……これも彼への愛ゆえかしら?」
彼女は私の成長予測線を大きく超えて成長している。
当初の予定では本当にギリギリの予定を組んでいたけれど、今では他の訓練をする余裕すら生まれた。
まぁギリギリの予定になってしまったのは彼女を『メイド』として修行させようとした事が原因の一端ではあるのだけれど……。彼女も乗り気だったしそれは別にいいでしょう。
彼女も知っていた通り魔力を纏っての戦闘は本来数年をかけて習得するものだ。纏う所までは出来ても、それを意のままに動かすとなると話が別物になってしまう。大抵の人はそこで躓いてしまう。
それが蓋を開けてみれば彼女はものの数日で習得して見せたのだ。無意識にしても使っていたので、もしかしたらという希望はあったけれど、ここまでのものだとは思っていなかった。
人間死ぬ気になれば何でも出来るという事かしら?実際に彼女何回か死にかけてるし。
「……それともあの特異性が関係あるのかしら?」
彼女には闇魔法と光魔法の両方の適性がある。これらの属性は本来反発しあって同居することは見られないのだけれど、彼女はその両方が使える。
おそらく光魔法の方は強力な光魔法をその身に受けた時にその魔力が彼女の中に定着してしまった事が原因で使える様になったんだと思う。ゴブリン・ハイロードと戦った時に彼が彼女を無茶苦茶な魔法で治療していたからまず間違い無いと思う。
そのせいか元々適性があった闇魔法が弱まっている気もするけれど、今はもう大丈夫だろう。きちんと魔力の制御ができているのだからどちらかに偏るという事も無くなる。
彼女には特殊魔法が〜何て言ったけれど、それも要因の一つではあるが、私はこちらが本命だと思っている。
まぁこれは彼女も気が付いているだろうからわざわざ言う必要も無いのだけれど。
それにしても…………。
「ふふふ、明日からが楽しみね。」
思わず笑みがこぼれる。
彼女の戦闘センスは本物だ。私の教えを恐ろしい勢いで吸収し、自分の物にしていくその速度が尋常じゃない。
数日前の体術のみの稽古も油断があったとはいえ、私相手にあそこまで攻撃しきるとは思っていなかった。おかげで2発もいいものをもらってしまった。あれは中々に効いた。
それからの稽古もきっかけをつかんだのか、それまでのものがお遊びに感じるほど動きが洗練されてきて、今ではまるで別人の様な動きをする。
それに魔力での訓練を終えてからは私が遠慮しなくても付いて来れる様になったのだから彼女は十分こちら側に足を踏み入れている。
……一体どこまで私の技を吸収出来るだろう?
明日からは森で実戦訓練を行う。今までのが稽古だとしたら明日からはサバイバルだ。
別に私は彼女を鍛える事が目的だから殺し合いにはならないだろうけど、彼女には私を殺す気で来てもらわないと稽古にすらならない。私が彼女に教えようとする技はそういう類のものだ。
私がその域に辿り着くのに十数年かかったこれを彼女は果たして習得できるだろうか?こればっかりは手取り足取り教えてというのが難しいというか、出来ない。実際に目にして、体験して彼女自身が物にするかどうかだ。
彼女にはその力を手にする素質も資格もある。だけど、覚悟が無い。私の時と同じだ。
いずれは私と同じ答えに行き着くだろうけど、おそらく時間がかかる。それが早まる手助けが出来ればいいのだけれど……。
「……これじゃ本当に師匠の様ね♪」
あの人の頼みだからと始めた様なものだけれど、こうして面倒を見てみると、どうして中々に可愛いのだろう。
まるで娘の様に可愛がってしまう。これが弟子馬鹿というものだろうか?まぁそれで稽古を緩くするという事はあり得ないが。
…………今誰か私も子供がいてもおかしくない歳だとか考えたかしら?私が?あの人以外の子供を?孕む?……戦争をお望みなのかしら?一国程度なら相手になるわよ?
……あらごめんなさいね、少し興奮してしまったわ。殺気で彼女が起きてしまう。
とにかく私は彼女が可愛くて仕方がない。
……彼との恋が実れば良いのだけれど。少しだけアドバイスをあげようかしら?どうもあの子は自分が奴隷だということを引きずっている様だから……。
私もそうだったし気持ちは分かるのだけれど、彼も異世界人ならあの人と同じ様にあまり身分なんて気にしないと思う。
というか彼があの子のことを奴隷として扱う気なら今のあの子の待遇はありえない。その点からも十分に見込みはありそうだけど……。
「……いえ、これは私が悩むことじゃないわね。」
私はあの子の師匠として応援するだけだ。でもその前に……。
「ふふふ、明日からが本当に楽しみ。」
私は緩む頬を締められないまま床に着いた。
いい夢が見れそうだ♪
ご視聴ありがとうございます。
ブクマ、評価ありがとうございます!




