プロローグ6 美女の願いは……断れない!
もうお気づきと思いますが、このプロローグは謂わばチュートリアルみたいなものです
なので所謂神様とか女神様みたいな奴らの代わりに精霊王様に説明してもらってます
……あと1話だけ続くんじゃよ
2017年10月29日に改稿してます
2018年1月19日に一部修正してます
プロローグ6 美女の願いは……断れない!
俺は先ほど考えついた隷属の事について質問してみる。そういった事は可能なのか、出来るなら俺にそういった類の魔法がかかっているかを確認出来るか。魔法がかかっていた場合、それを解除出来るかどうかといった事だ。
レティは俺の質問にかなり驚いていたが理由を説明すると納得してくれた様で俺の質問に答えてくれた。
結論から言って召喚と同時に隷属させる事は不可能らしい。
まず魔法を使うには使いたい魔法の属性の適性がないと魔法を習得出来ないらしい。適性があり、なおかつ『スキル』としてその属性の魔法を習得していれば魔法が使えるようだ。
さらに魔法を使う際は複数の魔法を掛け合わせて複合魔法として、同時に使う事が出来るそうなのだが、対になっている属性の魔法同士は複合できないらしい。例えば、火↔︎氷、風↔︎土、光↔︎闇、等。
これはどんなに大きな魔法でも同じ事で、世界の理として定められているらしい。
勇者召喚の際に使われる魔法は光属性の魔法と時空属性の魔法を掛け合わせたものなのだが、隷属させる為の魔法は闇属性の魔法のため、光属性と効力が反発し合って魔法として効果を発揮しないらしいのだ。
ちなみに時空属性の魔法が使えると転移魔法が使えるようになるらしいのだが、勇者召喚に使われる魔法は魔法陣?とかの色々な補正を組み合わせて何とか出来るものらしく、召喚した巫女さんは転移魔法は使えないらしい。
さらに言えば、光属性と闇属性は強く反発し合っている為、両方の属性を持つ者はまずいないとのこと。(だから精霊契約が出来ないでいたらしいが)
仮に居たとしてもこの二つの属性を同時に扱う事は不可能とも言っていた。
……レティさんや、それはフラグというやつです。
ちなみに勇者を召喚したのは皇国の巫女と呼ばれる第三皇女の巫女さんらしく、闇属性は持ち合わせていないらしい。
念には念を入れて隷属魔法が掛かっていないかも調べてもらったが、俺の心配は杞憂に終わった。
ホッとしているとレティから遠慮がちに声がかけられた。
「……あの、ハヅキ様。一つお願いがあるのですがよろしいですか?」
お願いか……。できるだけ叶えてあげたいけどさっきの話の後だとなぁ……。レティはそんな事しないだろうけど……。
そんなことを考えていたのが顔に出ていたのかレティが慌てたように首を横に振った。
「いえいえいえ!ハヅキ様にご迷惑をかける様なお話では無いのです!先程の精霊契約のお話なのです!」
「……?精霊契約?魔力が足りなくて出来ないんじゃなかったの?」
「はい、今の時点では出来ません。ですがハヅキ様はまだレベル1だと仰いました。なのでこれからまだまだ魔力が増えていくと思われます。なので私と契約出来る位まで魔力が増えたら私と契約して頂きたいのです。……ダメでしょうか?」
結論から言おう。俺は快諾した。一度は許可した事だし今更断るのも変だからな。……決してお願いされた時の顔が可愛かったとかじゃ無いぞ。……無いったら無い。
「ありがとうございます。話は変わりますが先程魔力量を調べた時にも思ったのですがハヅキ様の魔力の流れは少し歪んでいます。このままでは魔法を使う事が出来ないので治してしまいましょう。宜しいですか?」
「え?あ、うん。お願い。」
「かしこまりました。少しピリッとしますので我慢して下さいね。」
何?俺魔法使えなかったの?チート臭いスキル持ってた癖に意味が無かったの?ダメじゃん俺……。
そんな事を考えていたら、不意にレティに手を握られてドキッとした。それもつかの間、全身にビリっと電気が走った様な感覚がした。
例えば、強めの静電気を全身で受けた感じ。何それこわい、痛そー。てか痛かった。
「はいっ!終わりましたよ。どうですか?魔力の流れが感じられますか?」
すごい!体から湯気みたいに吹き出ている!これが魔力なのか!いかにもファンタジーって感じ!
俺はようやくとも言えるゲームっぽいこの世界のなけなしのファンタジー要素に感動した。
だってこの世界に来て早々、生々しい戦争の話聞かされてんだぜ……ねぇよ。
……ねぇわ。
ご視聴ありがとうございます
ブクマ、評価ありがとうございます!