50話 うふふな混浴?
例によって例の如く長くなってしまったので分割して投稿します(;´Д`)
11月7日に改稿してます
50話 うふふな混浴?
土下座。それは命への執着。
土下座。それは欲望の表れ。
土下座。それは人類最後の手段……。
あっ、開幕茶番です。え?いきなり何でこんな話かって?それは目の前に土下座している少女がいるからだよ……。
ーーー二時間ほど前ーーー
俺は二人分の料金をとりあえず1泊分だけ支払い鍵を受け取る。だって高いし……実際にお金を払う時になって冷静になれてよかった。
この建物が何階建てか分からないが、俺とララは3階の1室に案内された。
「それではこちらの部屋をお使いください。鍵は先ほどの物ですので、長くここを開けられる際は受付へお渡しください。」
「分かりました。」
「ご夕食はこちらにお持ちしますがお時間はどうされますか?」
「あっ、じゃあすぐにお願いします。」
「かしこまりました。ご不明な点がございましたら我々スタッフをお呼びください。ではごゆるりとおくつろぎください。失礼致します。」
はー、すげぇな。
この世界のことをバカにするわけじゃないけど、中世っぽい雰囲気の世界で日本とそう変わらないレベルの接客技術って相当だぞ。
老紳士風の店員さんに少し驚きつつ部屋に入るとさらにびっくりした。
でかでかとベッドやらクローゼット、ソファなどの家具が配置されているにもかかわらず圧迫感をまったく感じさせない。どんだけ部屋がでかいんだよ。
そして部屋の奥へと進むと扉があり、その先には大人が3人は入れるのでは?というサイズの浴槽がドヤ顔で鎮座している。
……なんだこれ。
「これは……すごいですね、ご主人様。」
「あ、あぁ。さすがにびっくりしたな。こりゃ10万ゴールドもするわけだ。」
鍵猫の尻尾亭と比べると同じダブルルームでもまったく違う。……料金も10倍以上違うけどな。
俺たちは早速装備を外したり洗浄魔法で身を清めたりする。え?風呂があるなら洗浄魔法はいらないって?いやいや、食事前は綺麗じゃないとダメだろ?風呂は食後に入る予定だし。
そうこうして準備をしていると料理が運ばれてきた。
☆ミ
「……すごい料理でしたね、ご主人様。」
「……そうだな。」
俺たちは食事を終えて食器類を片してもらった今、ソファに座って少しの間食休みをしている。
運ばれてきた料理はまさかの3星フレンチシェフ顔負けのフルコース料理だった。フルコースなんてもの日本でも食べたことないのにまさか異世界で食べることになるとは……。
料理の質は当然のこと量もすごかった。こんなもの毎日食ってる貴族様はそりゃぶくぶく太りますわ。
落ち着いてきたところで俺は立ち上がって一つ気合をいれる。
さて、お待ちかねの……。
「よし、休憩もしたし風呂の準備だ。」
「……あの、ご主人様はお風呂に入られるのですか?」
「うん?そうだよ。まずは準備をしなきゃだけど。」
俺としては当然といった感じなんだけど、ララにしては不思議なようで首を傾げている。え?何がおかしいの?
「先ほど食事をとる前に洗浄魔法でお体を綺麗にしましたよね?」
「うん、したね。」
「入浴とは体を清めるためにすることだと聞きました。それなら入浴される必要はないのではないでしょうか?それに……入浴されたからといって完全に綺麗になるわけではないとも聞きました。それなら洗浄魔法で清めた方が良いのではないかと思うのですが……?」
あーそういうことか。うん。確かにララの言うことは一理ある、と言うか概ね正しいと言える。けどそうじゃないんだよ!……そうじゃあないんだよ。
「もしかしてララは風呂に入った事ないの?」
「はい。知識としては聞き及んでいるのですが…。お風呂自体が貴族でないと入らないようなものですし……。」
なるほど、確かにそうだったな。ただ風呂の魅力は入らないと分からないからなぁ。
「ならララは今日が風呂デビューだな。」
「え!?いえいえいえ!奴隷が入浴するなんて聞いた事がありません!そんな恐れ多い事は出来ません!」
「ほんとーーに、何度も言ってるけどララを奴隷扱いする気は無いよ。それに風呂の魅力は入ってみないと分かりにくいんだよ。ララにも好きになって欲しいし。」
「ですがご主人様と一緒に入浴している最中に私が何か粗相をしたらと思うと……。」
「だからそんなの気にしなぁぁぁぁぁあ!?」
思わず奇声をあげてしまったのは許してほしい。
うぇいと、うぇいと。ちょっと待って。今あの子何て言った!?一緒に入るとか言ってなかった?いやいやいや、何考えてんの?どういう思考回路を辿ったらそうなったんだよ!
まさか奴隷界隈ではそれが普通なのか?……違うとは言い切れないあたりがマジで怖いな。
ララを見てみると突然の奇声に驚いていたが今は不思議そうに首を傾げている。……ごめんな。こんなわけわからん主人で。
そしてララと目が合った瞬間、俺に電流が走る。
ッ!?!?待て待て落ち着け俺。もし仮にだぞ、仮に奴隷は主人と一緒に風呂に入らなければならないと言う決まりがあったとしよう。そうすれば、日本では完全に犯罪なはずの『17歳の美少女エルフとうふふな混浴』が合法になるのではないか!?なんてことだ……。
……ふぅ。どうやら俺は真理の扉を開いてしまったようだ。
この時の俺は冷静ではなかったようで、日本にも『普通』の混浴はあると言うことと、たとえ異世界だろうと字面的に完全にアウトなことにまったく気がついていなかった。
前半は混浴経験どころか温泉経験自体が皆無だったので仕方ないにしても……はぁ。
どうやら俺は紙一重で馬鹿な方だったらしい。
これはフラグが立った!
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