48話 相手のこと気遣いしまくりbot
長くなったので分割して投稿します。
最近サブタイトルの方向性が迷子になってます……どうしよう((((;゜Д゜)))))))
11月6日に改稿してます
48話 相手のこと気遣いしまくりbot
「先ほどは大変失礼いたしました!」
「え?」
ケルヴィンと話をした執務室を出てもといた受付へと案内してもらっていると、突然アリアが謝り倒してきた。それこそ土下座でもするのかって勢いで。
「申し訳ありませんでした。先ほどはハヅキ様がBランク冒険者だとは知らず失礼をしました。どうか、どうか寛容なお心でご容赦ください。」
「………。」
絶句である。
なに?俺ってそんなに怖いやつだと思われてんの?波風立てないように接してるつもりなんだけど?軽くってか半日寝込むくらいにはショックなんだけど。いやーすみませんね豆腐メンタルで。
俺のダメージも大きいのは大きいがそれは一旦置いといて、アリアを気遣うことにする。だって俺が黙っているとアリアの顔がどんどん青白くなっていくんだよ。あっ、膝も震えてら。
「あー別にそんなこと気にしてないですよ。大体そんなに謝るほどのことなんですか?」
「え?Bランク冒険者ですよ?私如き一般ギルド員なんてハヅキ様の一言でクビですよ?」
「なるほど、そう言うことだったんですね。」
「……はい?」
はいはいそう言うことね。つまりは『俺』自体が怖いんじゃなくて俺の持つ『Bランク冒険者』って肩書きが怖いわけね。
よかったよかった。そう言うことにしておこう、精神衛生上的な問題で。
「さっきも言いましたが私は気にしてませんよ。だからアリアさんをクビに〜なんて言いませんって。」
俺がそう言うと気が抜けたのか、は〜っと大きく息を吐いて彼女は座り込んでしまった。
「よかっっった〜〜〜。私もうダメだと思いましたよ。やっと就職できたのにまさか1週間経たずにクビになるのかと……。」
新人だったのか。
あと……どこの世界でも就活というものはあるらしい。しかも話の流れ的に何社も落ちてそうだ。あまり知りたくない情報だったな……。
半分放心状態のアリアに声をかけると彼女はビクッと体を震わせた。
「す、すみません。みっともないところをお見せしまいた。」
あっ噛んだ。
「……みっともないところをお見せしてすみません。」
「い、いえお気になさらず。」
つい十数分前までは『仕事できます!』みたいな雰囲気があったのになぁ。新人って言ってたし気合いが入ってたんだろうなぁ。
「とりあえず戻りましょうか。」
そう言って戻ろうとすると声がかかった。
「あの!」
「……?何でしょうか?」
「あの……腰が抜けてしまって………その、すみません。」
「……お、お気になさらず………。」
結局アリアが落ち着くまで数分かかった。
☆ミ
「すみません、お騒がせしました。」
「いえ、お気になさらず。」
さっきからこれしか言ってない気がするが仕方がないだろう。今の俺は『相手のこと気遣いしまくりbot』になっているのだから。
……いや、なんだよそれは。
落ち着いてきたところでふと思いついた疑問を聞いてみる。
「そういえば、あまり高ランク冒険者について詳しくないんですが、そういう事(職員をクビにするとか)はよくある事なんですか?」
もともとBランクくらいになると貴族のような扱いになるとはリカルデのギルドでエリエットに教えてもらっていたが、その冒険者がどんな態度を取っているかは聞いてなかったんだ。その時は俺には無縁のものだと思ってたし。
俺の質問に首を傾げながらアリアは答えてくれた。
「いくつかそう言った事例があるとは聞きましたが件数は少ないですね。」
あれ?そうなのか。ならどうしてあんなにビビってたんだ?……まさか俺が半日寝込むダメージを受けないといけないのか?
「………私ってそんなに怖いんですかね?」
アリアはこの言葉でようやくというか、俺のさっきの質問の意図が分かったと目を大きく開き慌ててフォローしてくれた。
「い、いえいえいえ!決してそういう訳では無いんです!ハヅキ様は冒険者の中でも物腰が柔らかいと思いますしそんな事は無いです!」
ありがとう、その気遣いが逆に辛いです。俺、泣いていいですか?
「ただ……。」
「ただ?」
え?まだえぐるつもりなの?俺のライフポイントはとっくに0なんだけど。
アリアは恥ずかしさと気まずさを混ぜ合わせたような顔で続きを言うべきか悩んでいる。だが意を決したと言う風に言い放った。
「その…実はここに入った時、先輩職員の方に『Bランク冒険者以上の人に粗相してみな?一発でクビが飛ぶよ。仕事的にも物理的にもね!ははは。』と言われまして……。冗談だとは分かっているのですが、つい想像してしまって……。」
「………。」
何も言えねぇ。
冒険者って蛮族か何かだと思われてるのかよ。物理的にもって…ダメだろ。
アリアの微妙なカミングアウトに反応できず沈黙が流れていると受付に戻ってきた。
対人会話スキルをもっとあげたいです……。
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