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わくわく異世界冒険?  作者: りんごはるさめ
2章 ご主人様と奴隷ちゃん
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46話 新しい街と…

今回から2章です。


11月6日に改稿してます


 46話 新しい街と…


 大きな道を行きゆく人たちを眺めながら俺たちはここまで来た感想をこぼす。


「ここがブレストの街か……。ここまで意外と長かったな。」

「そうですねご主人様。ですが、私はずっと閉鎖的な村で育ったので今回のような旅は新鮮で楽しかったです。」

「それは良かった。これからも旅をする事になるだろうし、楽しいと思ってくれるなら俺はとても嬉しいよ。」

「はいっ!ご主人様!」


 ララと出会った皇国を出て、野を超え山を越え俺たちはブレストの街にやって来た。いや、実際は平坦な街道オンリーだったけどね。

 いやー、本当に長かった。どれだけの距離を歩いたかは分からないが、皇国を出るのに約5日、そこから最寄りの街(ブレストの街)に着くまで約3日。大体1週間以上ずっと歩き詰めだったわけか……。


 話をしながら歩いていたとはいえ話題がずっと持つわけはないし、何よりいつ魔物が襲ってくるか分からないためそれなりに気を配りながらの進行になるため余計長く感じた。

 しかし、その甲斐あってというか襲撃があったのはこの旅の中2回だけだった。その事自体は嬉しいのだが、襲撃してきた相手は両方とも魔物ではなく盗賊だった。

 その襲撃も不意打ちとかではなく、俺たち二人の前に堂々と姿を現し『女と金目のものを置いて逃げれば見逃してやるぜ、グヘヘ』なんて定番のセリフを言うお粗末なものだったし……まぁ、俺たちは常に周囲警戒していたし、不意打ちして来たとしても簡単に看破していただろうが。


 夜にしたってそうだ。

 二人で見張りと就寝を交代でしていたため一人で全て賄うよりも格別に楽だった。夜襲もなかったし。

 え?ムフフな展開?あるわけないじゃないですかー、やだー。

 いつ、どんな敵が襲ってくるか分からない状況で、恋人でもない旅の仲間と?……俺だって命は大事にしたいです。あとそんな度胸は持ち合わせていません。持ち合わせてないんです……。

 そういった訳で道中は比較的安全だった。


 いやーよかったよかった、安全に街について。

 これからやりたい事もあるけどとりあえず……。


「今は昼くらいか?どうする?俺としては昼食をとって先にギルドに行きたいんだけど。」

「はい、私もそれで問題ないと思います。」


 腹が減っては…って言うしね。

 俺たちは近くにあった店に入り食事をとったが、その店というかこの街はかなり盛況としているようだ。

 建造物のレベルはリカルデとそう大差はないが、通る人の活気というか熱気がすごい。これも多種族連合国が成せる技なのだろうか。

 人族はもちろん、獣人やドワーフにエルフなど多種族が沢山いる。中には有翼種もいてこれにはララも驚いていた。

 ちなみに有翼種とは文字どおり背中に羽がある種族で数が少ない。いわゆる天使のような見た目をしており、女性しか存在していないそうだ。……一体どうやって子孫を残しているのだろう………。いやそこは突っ込んだら負けなきがする。


「なんというか、みんな生き生きとして見えるな……。」

「そうですね、皇国にいたのでよりそう感じます。」


 食事を終えギルドの場所を聞いた俺たちは先ほどの道に戻り教えてもらった道なりを進む。

 その中で様々な人たちとすれ違うが冒険者風の格好の人物が多い。さすが冒険者の街と呼ばれるだけはあるか。そして一際大きい建物の前まで来ると心なしか柄の悪そうな大男が多くなったように見える。

 外観はリカルデのギルドとそう大差ないがこちらの方が綺麗で大きい。

 俺たちはスイングドアを押し中に入る。……やっぱりここも西部劇風のデザインなのか。


 中も外と変わらず賑やかだった。しきりに聞こえる笑い声と乾杯の音頭、これから依頼なのだろうか集まり相談している者たちなどそれぞれが思い思いに過ごしている。

 中に入った瞬間少し注目された気がするがすぐに興味は薄れた。まぁ俺たちの装備は明らかに初心者のものだし、当然といえば当然だ。……ここでは目立たないように行動するつもりだし好都合だ。いっておくがフリじゃないぞ、フリじゃないからな!


 周りの興味が薄れたところで俺たちは受付へと行く。

 ちなみにララは皇国でしていたようにフードをかぶっている。美人さんって目立つし。


「すみません、受付はここでいいですか?」

「はい、間違いありませんよ。」


 話しかけた受付嬢は綺麗な水色をした髪の人族だった。というかここの受付女性しかいないんだがギルマスの趣味かな?……ありがとう。


「あの、どうかされましたか?」


 周りを見た俺が黙ってしまったので不審に思ったのか懐疑的な視線を送ってくる。おっとイカンイカン。


「すみません、私たちは別の街から来た冒険者でして……。私はハヅキと言います。彼女はラナンキュラスです。」


 俺が挨拶をするとそれに合わせてララもお辞儀をした。


「これはご丁寧に、私はこのギルドで受付を担当してますアリアと言います。以後お見知り置きください。早速ではありますが本日はどのようなご用件でしょうか?」

「ここのギルドマスターに手紙を預かっていまして、面会はできませんか?」

「手紙ですか……。」


 隠す事もなく疑いの目を向けてくる。そりゃそうだ。身分証も提示しないでトップに会わせろなんて通るわけないよな。

 俺は空間魔法インベントリから渡された手紙とギルドカードを取り出しアリアに手渡す。

 訝しげにこちらを見ていた彼女だったが、俺のギルドカードを見て目の色を変えて奥へと引っ込んだ。


「しょ、少々お待ちください!」


 俺たちは取り残される形になったが待つ事数分、息を切らせてアリアが戻って来た。

 あーそういう反応なのね。Bランク以上の冒険者が少ないって聞いてたけどここまでとは……。


「すみません、お待たせしました。ハヅキ様、ギルドマスターが面会されます。こちらへついて来てください。」


 いやいや、ハヅキ様って。


「……分かりました。彼女は?」


 そう言ってララに目配せするとアリアは申し訳なさそうに顔を歪めた。


「すみませんが、ここでお待ちください。お時間は取らせませんので。」


 ララを一人で残すのは少し心配ではあるが(フラグ的な意味で)、ここで波風立てても仕方がないか……。


「……ララには悪いけどここで待っててもらえる?すぐに戻るから。」

「かしこまりました、ご主人様。」


 ララが目立たないように壁際へと寄って行ったのを尻目に、俺はアリアの後をついて行く。


「こちらです。ギルドマスター、ハヅキ様をお連れしました。」

「うん、入ってくれるかな。」


 何かフラグが立ったような……。

 俺は開かれた扉を前に言い表せない不安を感じた。










ご視聴ありがとうございました。

ブクマ、評価ありがとうございます。

感想やレビューなどもお待ちしてます。

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