プロローグ5 この世界と勇者と魔王と
もう少しプロローグが続きます。
な、長い……。
ヒロイン登場までどれくらい時間が掛かることやら
追記:非常に今更ですが、この話には宗教関連の話が出て来ます。ですが実在の宗教、および団体には一切関係はございません。中には不快に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、あくまでフィクションの、想像の産物だと笑って頂ければ幸いです。
2017年10月29日に改稿してます
2018年1月19日に再改稿してます
プロローグ5 この世界と勇者と魔王と
「はぁぁぁあああ!?」
レティの絶叫が辺りに響く。落ち着いて話したい、話したいが……これはツッコミ待ちか?ツッコミ待ちなのか?
まずレティ、キャラが壊れてる。お淑やかな口調はどこに行った。次に三人娘、目が死んでる帰って来なさい。
「……えっと、嘘をついていたことはいいんですかね?」
「どうでもいいですよ!そんなこと!それよりも異世界から来たって本当なんですか!?」
『『『…………。』』』
うわーい許してもらえたぞー(棒)。
「あーっと……とりあえず落ち着こうか。レティ、キャラ壊れてるから。フィーラ、アリエス、シルフィもぼーっとしてないでこっちに帰って来なよ。」
俺の言葉で少し落ち着きを取り戻した4人は少し間を置いて話し始めた。
「すみません取り乱しました。それで先程の質問なのですが本当に異世界から来られたのですか?」
『『『……。(こくこくこく)』』』
「うん。俺は日本という国から此処へ来たんだ。まぁ確たる証拠は無いけど。」
「成る程……やはりハヅキ様は勇者様でいらっしゃるのですか?」
「えーと、ゴメン。質問に質問で返して悪いんだけど勇者ってどういう事?この世界は勇者が呼ばれる様な状況なの?確か昔、勇者が居たんだよね?アリエスが言うにはその人が当代の精霊王と契約したとかどうとか……。」
まず、話のバックボーンを確立させて認識を共通させてから話を進める。これ、会議の基本な……まぁ先輩の受け売りなんですけどね。
要はお互いに最低限の知識がないと話がこじれてややこしくなるって事だよ。
レティも俺の言いたい事が分かったのか一から説明してくれた。
まず、この世界は『タリエント』と言って魔族と人間が争っているらしい。しかし、魔王との戦いは今回だけでなく過去にも何度かあったようだ。
で、俺が倒れていた場所(フィーラ達に話しかけられた場所)は『ブリリアント皇国』と言う。
皇国というので分かる人もいると思うが、この国は宗教国家だ。ただ人族至上主義の国らしく、俺みたいな人族以外、つまりエルフや獣人、ドワーフなんかを亜人と蔑称して差別の激しい国だと言う。
ケモミミっ子やエルフっ子を迫害するなんてこの国はクソだな!
※意見には個人差があります。
今回の魔族との争いが泥沼化しつつある現在、業を煮やした各国の首脳陣は勇者召喚を行いこの争いに終止符を打とうとした。
そして、その勇者召喚を担うことになったのが今いるブリリアント皇国だ。
しかし、当の皇国はと言うと自身の領土を拡張する事にご熱心な様で、勇者召喚の際に紛れて隣接する小国を攻め滅したとか。蛮族かよ。
その情報は入念に伏せられていたため大国の首脳陣くらいしか知り得ない情報らしいが、精霊には関係の無い話だそうでかなり詳細に教えてくれた。
攻め込んだ国はどうやらドワーフや獣人の混合国の一つで前々から侵略の準備を進めていたようだ。
一応は魔族と抗争中であるため一方的な侵略は躊躇われていたが、都合よく?勇者召喚の話が舞い込んで来たため、侵略をしつつ召喚をする事で有耶無耶にしたのではないか?とのこと。
捕まったドワーフや獣人は代表を残して多くが奴隷として捕まったとか……。(代表は処刑された)
それだけのことをして何故強く糾弾されないのかと言うと勇者召喚の他に実に面倒な事をこの国は抱えていたからだった。
それは、宗教だ。
この世界において宗教とは一つしかなく、また魔族以外の全ての種族がこの宗教を信仰している。
ざっくりとその聖書を訳せば、『みんな良い所があってみんな悪い所がある。だからみんな協力しましょう!』みたいな内容らしいのだが、何をトチ狂って読み違えたのか今の皇国の枢機卿は『人族こそが優れた存在!多種族は家畜だ!だから人族が先導するべきなんだ!』みたいな考えらしい。うーん、どこの組織も長い間、変革がないと腐っていくもんだなぁ。
……N◯Kかな?……やばい!消されるぞ!
とまぁ、その為に皇国は他の大国と比べてもかなり大きな発言力を有し、強い立場にあると言って良い。
そのため、神聖な神様に仕える皇国が勇者を召喚する事は当然の事で、勇者を召喚したのは皇国なのだからその所有権、もとい勇者の滞在地は皇国だ。などとふざけた事が容認されてこの様な事態になったらしい。
実際、召喚された勇者は皇国にいる。
召喚された勇者は今の俺と同じ位の年齢らしい。外見と中身が一致するなら高校生だ。
偏見かもしれないが、このゲームみたいな世界で馬鹿みたいに舞い上がらずに冷静に判断出来るとは思えない。一応は社会人の俺でも舞い上がってたりするんだ。憧れが強いほど冷静に判断ができなくなるだろう。
そしておそらくだが、召喚された勇者たちは口車に乗せられて戦争に参加させられると思う。話では勇者はこの世界ではかなりの強者だと言っていた。つまり『この世界の知識がない体のいいコマ』になるわけだ。
おぉ、怖い怖い。
そして冷静に判断できた場合でも、召喚された際に無理やり隷属させられている可能性だってあるのだ。確か昔読んだラノベにそんな感じの話があった……って!あぁ!
そうだ!召喚された際に隷属させられている可能性は俺にもあるじゃん!なんで気が付かなかった!
皇国がそこまでのことが出来るかどうかはともかく、俺の中での皇国はそんな碌でもない事しかしない、碌でもない国という認識になっていた。
その為可能性があるなら確実にその可能性を潰さないと不安で仕方がない。俺だって奴隷の様な扱いはご勘弁願いたい。
「……成る程、話は分かった。話を聞く限りだと俺は勇者ではないと思う。それはレティも薄々勘付いていると思う。」
「そうですね。異世界から来られて何もこの世界のことをご存じ無いのは当然ですが、勇者でありながら何も知らされていないというのは違和感があります。」
「ん、納得して貰えた様で嬉しいよ。それでさっき聞いた話で一つ疑問に思った事があるんだけどいいかな?」
「……?はい、勿論です。」
俺はただの思い過ごしで当てくれと思いながら自分の考えを口にした。
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