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わくわく異世界冒険?  作者: りんごはるさめ
1章 あまり好きになれない国
47/102

40話 残業それすなわち神の思し召し

大変お待たせしました。

続きの投稿です。

サブタイは……気にしないで下さい。別に私は病んでません。

11月6日に改稿してます


 40話 残業それすなわち神の思し召し


 俺はこれ見よがしに大きなため息をつき例の貴族と向き直る。


「……貴族様は人の話が終わるまで待つことも出来ないんですね。」

「貴様ぁ!昨日に続き今日も僕を愚弄する気か!この街で生活出来なくしてやる!」


 ……どうやら会話も出来ないみたいだ。

 それにしても物騒なこと言うな。まぁ、この街どころか国を出て行くつもりなので関係ないが。


 俺はまたため息をついて考える。

 どうしたもんか。こっちの話を聞くつもりが無いせいか非常に面倒臭い。下手に口を出すより黙ってた方が良いんじゃないか?


「おい!何を黙ってる!今更僕が怖くなったのか?もう遅いぞ!その長耳を寄越したところで貴様の未来は………」


 ………そうでもないみたいだ。


 こうして奴が喚き散らしていると知った顔が二人出てきた。エリエットとボルチーニだ。

 助かった。爺さんならあの面倒な奴もどうにか出来るだろ、仮にもギルマスなんだし。


「おいおい、これは一体何の騒ぎだ。」


 爺さんが登場した事で騒ぎ囃し立てていた連中も静かになり、騒いでいるのは奴だけだ。


「ボルチーニ!良いところに来た!今から決闘を行うからお前、見届け人をしろ!」


 ガツンと言ってやって下さいよアニキ!あの三下調子こいてますぜ!……なんて小芝居を視線で送りつつ反応を見てみるが、爺さんの返答は俺の期待とは微妙に違うものだった。


「べレッチェ様。貴方はこの国の貴族ですがここは冒険者ギルドで、貴方は一冒険者です。このギルドの秩序を守る者として言わせてもらいますが口の利き方には気をつけて下さい。」


 爺さんの言葉には有無を言わさない圧力があった。

 その圧力に負けて彼も苦虫を潰した様に顔をしかめているが何も言えないでいる。

 てか名前は馬鹿貴族様ベレッチェくんなのね、覚えたぞ。


 流石爺さん!もっと言ったれー!


「……そして決闘ですか?………どなたとされるので?」


 あれ?そこ聞いちゃうの?


「あ、あぁ。ボルチーニには見届け人を頼みたい。相手はそこの黒づくめだ。」

「………なるほど。分かりました。では私がこの決闘の正式・・な見届け人となりましょう。」


 爺さんは俺の方をチラリと見てそう言い放った。

 ……いやいや違うでしょ!そこは『そんな決闘は認められん!』って断るところでしょ!?

 周りも勝手に盛り上がっちゃってるし、貴族様はニヤニヤ笑ってやがるし、勝手に話進めないでよ!


「これで昨日の様なイカサマは使えないぞ!貴様の様な下賎な輩がこの僕に楯突いたことを死んで悔やむがいい!」


 俺が唖然としている間にあれよあれよと話が進んでいく。

 ……なんだこの茶番。


「ではべレッチェ様は彼に何をお求めになるので?」

「奴の財産全てだ!当然その長耳も僕の物だ!」

「……それでよろしいのですね。ではハヅキはどうする?」


 ……一体何がよろしいのだろうか。俺の意見は丸無視じゃねぇか。

 あと、馬鹿貴族様べレッチェくんはさっきからララを見る目がいやらしいんだよ。そういうお年頃なのは分かるが下半身に忠実すぎるだろ。あれだぞ、モーブ達より酷いぞ。


「……はぁ。じゃあ、俺が勝ったら金輪際俺たちに関わるのは止めて下さい。」


 むしろ視界にすら入れたくないのだがそれは無理な話だろう。

 まぁ、俺たちはこの国を去るわけだし、これ以上は関わる事は無いだろうがなんと言うか精神的にね。


 爺さんが視線で『それだけでいいのか』と聞いてくるので黙って頷く。

 ………そんな気遣いが出来るならこの決闘自体をどうにかして欲しかったんだが。


「では時刻ですが……『今からだ!』」


 食い気味だなぁ。何をそんなに焦ってるんだか。まぁ、早く出発したいし今からやるのに反対は無いが……。

 いや、決闘自体は反対なんだけどね?今更足掻いても仕方が無さそうじゃん?ならさっさと終わらせるに限るかなって。

 あれだよ、残業みたいなもんだよ。嫌だけどどう仕様もない感じ。

 まぁ、これは残業代なんて崇高なものは出ないけどね。


「それでいいですよ。」

「分かった。それではこれから決闘を始める。両者共に地下の練習場に移動するぞ。」


 爺さん一言で我先にと馬鹿貴族様べレッチェくんが動き出し、その場に居合わせた冒険者の大半も移動しだした。

 えっお前らまでどこに行くの?まさか観戦?観るものなんて何も無いと思うんだがなぁ。


「ご主人様頑張って下さい。私は参加出来ませんが応援いたします。」

「………ありがとう。」


 俺が呆然と流れて行く人を眺めているとララが気合を入れてくれた。


 やっぱり男って単純だなぁ。可愛い女の子にちょっと応援されただけでちょっとやる気になったよ。

 ……俺がチョロいだけか?いや男なら誰だって頬が緩むに決まってる。(暴論)


 そんな微笑ましい?やり取りをしているとエリエットが慌ててこちらに来た。


「ちょっとハヅキさん一体どう言う事ですか!?私が居ない間に何があってこんな事になったんですか!?」


 逆に俺が聞きてぇよ、何でこんな事に巻き込まれてんだか。こういう役回りは主人公の勇者様御一行のものだろ?


「さぁ?昨日の一件が気に入らなかったんじゃないですか?入って来るなり怒鳴りつけてきて決闘だって言い出すんだから、俺にもどうしようもないですよ。」

「アレですか……確かに酷かったですからね。貴族なんて自尊心の塊みたいなものなのに粉々に打ち砕いてましたからね。むしろよく今日ここに来ようと思ったくらいです……。」

「……確かにそうですね。」


 そう考えれば彼のメンタルは凄いな。


「それにしてもと言いますか、タイミング悪いですね。私がここを離れて数分しか経ってないですし……私が居たところで何か変わったとも思えませんが。」

「そういう事もありますよ。しかし……普通はこういう決闘は止めたりしないんですか?俺が言うのも何ですが結果は見えてますよね?」


 エリエットも俺と同じ疑問を抱いているようで首を傾げている。


「そうなんですよ。ギルド長も元冒険者なせいか、貴族はあまり好きでは無いみたい何ですが……。何を考えてるんですかね?」


 ………まさか馬鹿貴族様べレッチェくんを懲らしめさせて彼の言動を自重させようとか?

 あぁ、ありそうorz。


 爺さんの思惑はわからないが、さっさと終わらせて旅に出ますか!







ご視聴ありがとうございました。

感想やレビューなどお待ちしてます。

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私、勇者召喚に巻き込まれて死にました?
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