37話 戦いを終えて一息…
こういった感情が絡むお話は難しいです……
あれ?難しい事だらけな気が…
11月2日に改稿してます
37話 戦いを終えて一息…
ギルドを出た俺たちは宿屋へと向かう。
しばらくの間、沈黙が流れていたが破ったのはララだった。
「申し訳ありません、ご主人様。私の起こした問題にお手を煩わせてしまって。」
「いや、気にしなくてもいいよ。元はと言えば種族差別が激しいって知っていながらララを一人にした俺のせいなんだし。ごめんね、嫌な思いさせて。」
「いえいえいえ!ご主人様は何も悪くありません!悪いのは私なんです!」
「いやいやいや、俺が。」
「いえいえいえ、私が!」
俺たちは少しの間睨み合った。そしてどちらともなくプッと笑い出した。
少しして笑いがおさまると俺たちは宿に向かって歩き出した。
「ご主人様、失礼します。」
ララは一言そう言って俺の隣にピタッと寄り添うようにして俺と歩幅を合わせる。
あぁ、俺幸せだわぁ。リア充してるわぁ。こんなに可愛い子がそばにいてくれるなんてチート能力様々だな。時間が止まればいいのに。
俺はせめてもの抵抗として少しゆっくりと歩いていたが、幸せな時間というものはすぐに過ぎてしまうらしく宿屋についてしまった。
俺は名残惜しいが、非常に名残惜しいが店主のミーシャさんにもう一泊分の料金を支払い、食堂の席に着く。
2日も寝ていただけあって食欲は旺盛だ。この食堂は冒険者も御用達ということでかなりの量が出るんだが、出された料理に追加で3杯もおかわりをしてしまった。
おかわり分の料金を支払い部屋へと入る。さて、明日からの話をしないといけないんだ。
ララもベットに腰掛けたところで話を切り出す……より早くララが頭を下げた。いつか見た光景、DO☆GE☆ZAだ。
「申し訳ありません、ご主人様。どうか、どうか捨てるのはご容赦下さい!」
………は?何を言ってるんだ?この子は?
そう思ってララを注視するとかすかに震えている、どうやら本気で言っているらしい。
え?何?さっきまでいい雰囲気だったじゃん?もしかして俺だけ?ちょっとリア充見たいとか思っちゃったじゃん。
てか、何かあったの?…………もしかしてさっきのバカ貴族のせいか?だとしたらまじで息の根を止めてやろうか……。
「ちょ、ちょちょっと待って。何があったの?もしかしてさっきの貴族?」
「い、いえ違います。その……ゴブリン・ハイロードとの戦いのことです。」
え?なんかあったけ?そりゃ、ララが攻撃されて心配はしたけど結果としては助かったし、次に活かせばいいと思うんだけど。
むしろ反省点は俺の方にあるのでは……。
「ご主人様が戦っているというのに私は何もできませんでした。それどころか私のせいでご主人様に、ご…ごめい、わくまでおかけし、して。」
ララは嗚咽交じりに話す。
「ごしゅ、ごしゅじんさまが、目覚めな、かったらど、どうしようって……わた、私のせいなのに。で、でも、ご、ごしゅじんざばど、はなれだぐ、ないんでず。」
そこから先は涙でなんと言っているか分からなかった。ただ、彼女が俺と離れたくないと言ってくれたことが嬉しかった。
………やっぱり心配かけたよね。人目につかなくなって感情の糸が切れのか。
俺は頭を下げたまま泣く彼女を無理やり起こして抱きしめる。
「ララが俺と離れたくないって言うなら俺は離す気はないよ。それこそずっとそばにいて欲しいと思う。まぁ、ララが離れたいって言うなら俺は何も言わないけど。……ララはどうしたい?」
俺の中ですすり泣いていた彼女は少しだけ落ち着いたようでおずおずと答える。
「……その、私なんかがそばにいてもよろしいのですか?」
「もちろん。少なくとも俺はいて欲しいと思ってるよ。」
「ですが私ではご主人様のお力になるのに力が足りません……。」
「なら一緒に強くなればいいんじゃない?俺だってまだまだ力が足りないし、ララだけには任せておけないから。」
「………。」
俺は抱きしめたままララに言葉を返す。ララは今、俺の胸に顔を埋めるような格好になっているため俺の顔を見ることはできない。と言うかさせない。なぜなら……。
あっつい!顔熱いよ!
こんな歯の浮くようなセリフよく言えたな。絶対今顔が真っ赤だよ。こんなセリフ言っておいて顔赤くしてたら格好がつかねぇわ。
内心身悶えていた俺が落ち着いて来た頃にララが口を開いた。
どうやら覚悟が決まったらしい。
俺は廻していた腕をほどき正面を見る。ララも真剣そのものだ。
「私は……ご主人様のそばにいたいです。色んなところへ行って、色んなものを食べて……一緒にいたいです。私は、そんなことを望んでもいいんでしょうか……。」
俺を見つめる目は怯えながらも静かに答えを求めている。
「もちろんいいんだよ。ありがとう。ララ。これからもよろしくね。」
ララは目に涙を浮かべているがそれが流れることはなかった。涙をいっぱいに溜め込んだまま彼女は笑って答えてくれた。
「はい、よろしくお願いします。ご主人様。」
明日の事とか、これからの事とか色々と話をしないといけないのだが今日はそんな気分にはなれず寝ることにした。
昨日と同じく一つしかないベットに少し距離を開けて入る。
その距離が少しだけ昨日より縮まった。そんな気がした。
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