31話 選択と衝動
戦闘の話という事で一気見の方が良いかな?と思いまして投稿します。
今更?とかのツッコミは無しでw
休憩中にもう1話だけ投稿します。
10月31日に改稿してます
31話 選択と衝動
すごい、あのゴブリン・ハイロードを圧倒している。
私はご主人様があのデカブツを抑えている間に取り巻きのゴブリン・ナイトとゴブリン・エリートを倒すように言われた。
そんなこと聞けるわけがない!いくらご主人様でもハイロードを、しかも亜種の個体一人で相手するなんて無茶すぎる!そう思っていたのだが、私の認識はどうやら甘かったようだ。
まず、攻撃が全く当たらない。ご主人様があの攻撃を受けてしまえば戦闘の継続は困難になるのはわかるが、完全に見切っているように見える。攻撃を躱し、隙間を縫うように一撃離脱。なんでもないようにご主人様はやっているがあれは普通じゃない。私では到底できないだろう。
戦闘中に悠長に他の人を気にしている場合かと思うかもしれないが、実のところ私の戦闘はすでに終わっている。
ご主人様の指示を受けた私はいち早く取り巻きを倒しご主人様の加勢に出るべく駆けた。
盾持ちのナイトが壁になるように前に出てくるので剥ぎ取りで使っているナイフを一本ナイトの『影』に向けて投げる。
投げたナイフは狙い通りしっかりとナイトの影を踏んだまま地面に刺さっている。
見当違いのところに飛んだとナイトは油断して笑っているが狙い通りだ。
「影縫い」
私が影魔法を使うとナイトはピタリと固まり動かなくなった。というより動けないのだ。これが私の奥の手の一つ『影縫い』だ。
これは私自身か私が魔力を込めた物を対象の影に当て続けることで対象を束縛するという<影魔法>の一つだ。今回みたいにナイフとかの投擲武器で相手を拘束することが主な使い方だ。
練度が上がっていくと同時に複数を縛ったりできるが今の私の練度では一体が限界だ。
ナイトを縛ったのはエリートと差しで戦うため。
基本的に私の戦闘スタイルは一対一を想定していて多対一は得意ではない。魔法を使う遠距離では話が変わるが。
ともあれ一対一の体制は作った。あとは迅速に目の前の敵を始末するだけだ。
敵はゴブリン・エリート。装備は片手の長剣と革製の鎧と兜だ。……面倒な。頭と心臓の急所両方を守っている。できるだけMPは温存したいけど仕方ない。早くご主人様に加勢しないと。
私はエリートに一気に接近し肉薄する。エリートは私の動きに合わせて突きを放ってくるがそれを逆手に握った右手の短剣で往なしてすれ違い様にエリートの『影』を切る。
「影閃」
すると音もなくエリートの首が落ち、あたりに血だまりを作っていく。これが私の奥の手その2『影閃』だ。
この魔法は非常に強力で対象の影を切ることで切った影の形に相手を固定してしまう。どういう事かというと、この魔法を使えばどんなに硬い鱗を持つドラゴンだって一刀両断にできる。
まぁ、そんなに大きなものを切るには私のMPが全く足りないが。
そう、一見無敵に見えるこの魔法にも弱点はある。さっきも言った通り燃費がすこぶる悪い。影魔法自体燃費はよろしくないがこの魔法は群を抜いて悪い。それこそ今の私の魔力量で連発すれば数回で気絶するほどに。
しかも、切ろうとする対象が大きいほど消費される魔力も多くなる。そのため本当にここぞと言った場面以外では使えないのだ。
エリートの首を飛ばした私はナイトの元まで行き、首と頭に短剣を突き刺した。ナイトが大きく痙攣して絶命したのを確認しご主人様の方を見る。
ここで冒頭に戻るが、私は当然ご主人様の加勢に入るつもりだった。だったが入る隙が全くない。
一進一退の攻防、私が割って入ろうものならその関係は一気に激変するだろう。しかし、必ずしもご主人様の有利に働くとは限らない。ご主人様を危険に晒すわけにはいかない。
このままご主人様がハイロードを押し切れればそれで戦闘は終わる。ご主人様がこのまま押し切れる保証はどこにもないが、私が下手に手を出すよりは安全だろう。
………私にもっと力があればご主人様を危険に晒すこともなく加勢できて、ご主人様のお力になれるのに……。悔しい。
私が何もできずに歯を食いしばり、ご主人様の戦闘を見ているだけになっていると、戦況が大きく変化した。
幾度となく繰り広げられる攻防の中、ハイロードの動きが突然速くなったのだ。
ハイロードが乱雑に振るう双剣をご主人様は往なしているがその動きが一瞬乱れた。
ハイロードはそれを見逃さず距離を取ろうとするご主人様に迫り、肩口から体当たりをかました。
何もかもがゆっくりに見える。ただ、私の中にある何かが大きく鼓動し、私を支配し、赤黒く染め上げていく。
ハイロードの体当たりをくらい、宙を舞うご主人様。
手応えを感じたのか不敵に笑うハイロード。
幸いご主人様は受け身を取り、地面に叩きつけられるという事は無かったが、この時の私には見えていなかった。
「お前ぇぇーーー!!!」
気がつけば衝動に身を任せ、私は叫び駆けていた。
ただ『私の最大の敵』を殺すためだけに。
ご視聴ありがとうございます。
ブクマ、評価ありがとうございます!




