23話 いわゆる童貞卒業
8月29日に初評価を頂きました!ありがとうございます!
励みにしてこれからも頑張ります(`・ω・´)
今回、戦闘の描写があるんですが…難しい(;´Д`)
ダ◯クロのGMの描写とは感じが違うのでなかなか上手く書けない……。
あっ、今回微グロ?注意です。
10月30日に改稿してます
23話 いわゆる童貞卒業
「どうララ?スキルの扱いには慣れてきた?」
「はい。<影魔法>の使いどころがまだまだ甘い気がしますが概ね形にはなったかと思います。……それにしても未だに信じられません。この私が魔法を使えるようになるなんて。」
「呪いのせいで力が出せなかっただけで、元々これくらいの実力は持ってたんだけどね。」
俺たちはゴブリン狩りという名のレベリングを終えてちょっとした感想戦をしていた。
宿に帰ってからもきちんとしたものをするし、ここでする必要はないがなんとなくだ。
因みに、これからもレベリングに関しては自重せずにやっていくことがこの話し合いで決定した。
理由はレベルが上がってステータスが上がればそれだけ死ににくくなるからだ。目立ちたくはないが命には変えられない。俺も死にたくはないしね。
それに今回の収穫の魔石も一気に全部出さずに、少しずつ出していけば騒がれる心配もないということですよ!(ドヤァ)
コホン。まぁ色々と手段はあるということだよ。
そして、ふと気になったんだが……俺が死ぬとどうなるんだろう?まさか日本に帰るとか?いや、流石にないか。
……まぁ、ここで考えても仕方ないか。当面の目標はこの国を出てレベルを上げつつ日本に帰る方法を探すことだ。
「……帰るか。」
「はい、ご主人様!」
今日の収穫は薬草6束とゴブリンの魔石86個。
薬草もしっかりと集めているため二人とも問題なくランクアップできるはずだ。
魔石というのは魔物の中で生成される魔力の結晶のようなものだ。これは様々な用途で使われるため基本的にどういったところでも買い取ってくれる。といっても価格はピンキリで、ゴブリンのような低級な魔物からドラゴンのような凶悪なやつまで幅が広いらしい。
因みに、ゴブリンの魔関の価格は最低単価の1000ゴールドだ。……高いのか低いのか分からん。まぁ、命をかけて1000円と考えると全く割りに合わないが。
数がゴブリンの討伐数よりも少ないのはまぁ……あれだ。加減を間違えて魔石ごと吹き飛ばしたり、魔石ごと切ったりしたからだよ。
そんなこんなで話をしながら俺とララは街へと戻る。
そうしていると<索敵>に3『人』の反応がかかる。
この<索敵>は非常に便利なもので、俺の周囲100メートル位(練度によって距離が伸びるらしい)の敵、味方、その他の存在を教えてくれる。しかも、それぞれを色ごとに分けてくれるためパッと見ただけで敵かどうかわかる(敵は赤、味方は青、中立は黄色)のだ。
まぁ、ララの持つ<空間把握>はもっと便利らしいけど……。俺は持ってないから分かんね。
因みに最初、索敵を怠ってゴブリンに奇襲をかけられたのは内緒だ。幸い一匹だけだったし、狙いが俺だったため速攻返り討ちだったけど。
その時は『私がしっかりと索敵をしていれば』と落ち込むララをなだめたり、自分の危機管理能力の低さに落ち込んだりと色々あったが見方を変えれば、怪我もなかったし良い経験になったとすることにした。現に今回はしっかりと見抜いたし。
そういったこともあり俺もララも索敵には気をつけている。
そのためララもこの反応には気がついているはずだが……そう思って視線をやるとララもコクリと頷いて腰につけた武器をすぐに出せるよう警戒している。
敵は前の方の木の陰に潜伏している。
少しずつ敵反応の3『人』と近づいていき15メートルくらいの距離になったところで声をかけられる。
「おい!さっきはよくも恥を掻かせてくれたなぁ!あぁ!?どう落とし前つけてくれんだよ!」
そう声を荒げながら出てきたのはギルドで絡んできた不良?冒険者だった。
………すっかり忘れてたよ。
てか、潜伏してたのにわざわざ姿を現すって馬鹿じゃね?いや、潜伏は見破ってたからこれ以上近づく気は無かったし、向こうから声を掛けてくれたから手間が省けてラッキーだったけどさ。
「いや、落とし前も何もお前たちが勝手に絡んできただけだろう?」
「んるせぇんだよ!お前が口答えしなけりゃ……。」
とここで怒鳴り散らしていたリーダーと思しき男の口が止まり、残り2人の男も交えてニタニタと下卑た笑みを浮かべて笑い出した。
「テメェの連れはエルフの女だったのか!っは!上玉じゃねぇか!顔を隠してるからどんなブスかと思いきやこりゃついてるぜ!」
「……あ?」
「今更詫びてもおせえぜ!テメェの前で犯して奴隷商にでも売り飛ばしてやるよ!おい!野郎ども!やっちまうぞ!」
そういって不良冒険者たちは各々武器を抜いた。
おいおい、こんなところでも下半身優先かよ。ある意味男の鏡だな。
いや、それよりもまずは状況の確認だ。
敵は3人、こっちは2人。ギルドで確認したステータスではレベル1の俺でも倒せる程度の相手だったし遅れは取らないだろう。
だが、できればララには戦闘をしてほしくはない。
そうなると1対3。獲物は片手直剣が二人に両手剣が一人。魔法持ちも無し。問題ないか。
なら、次の手は……。
「ララ、ここでこいつらを殺しても『法律的』に問題ないか?」
「えっ、あっはい。問題ありまs……。」
間合いを伺っていた3人だったが俺がララに声をかけたのを隙と見て襲いかかってきた。
ララは少し驚いていたようだったが、俺はこの事を予想していた……いや、そうなるように誘ったため逆に打って出る。
先頭のリーダー格の男が袈裟斬りに剣を振る。奴は俺がまだ刀を抜いていないのを見て口を歪めて笑っている。おそらく、自分の攻撃の方が俺の防御より速いと思っているんだろう。
しかし、それは大きな間違いだ。
俺はあいつの攻撃を防御しようなんて考えていない。
俺は左手で鞘をもち右手で柄を握ったまま男に肉薄する。そして親指で鯉口を切った、そう周りが見えた時には既に男が剣を振るう右腕と首を断ち切っていた。
そう、防御ではなく攻撃。俗に言う『抜刀術』だ。後の先を取り、相手の息の根を狩る必殺の一撃。
その出来事は一瞬すぎて、切った男は未だ原型を留めている様に見えるだろう。
俺は斬り伏せた男の横を駆け、残り2人の男たちに迫る。
男たち2人は動揺しているように見えた。それでも攻撃の手を止めるということは流石に無いようで、2人目の男は突きを放って来た。
剣術や剣道における『突き』という攻撃は構えから最速の攻撃であり、袈裟斬りと比べて点での攻撃のため防ぎにくい。さらにこの密集戦だ、味方への攻撃を避けるという点でも悪い選択ではない。
しかし、この攻撃は見切ってしまえさえすれば、これほど捌きやすい攻撃はない。
俺の頭を狙ってくる突きを前に出ながら首を傾けて避ける。その避けざまに男2を胴薙ぎにする。
あと一人。
最後の男は両手剣を最上段に構え、俺がここまで抜けて来た時の隙に全力を叩きつけるために剛腕を振るっている。
これは避けてから攻撃しても良いが、敵が大ぶりのため先手を取って沈めた方がなお良い。
避けて反撃するには最小の動きで無駄なく避けなければ次には繋がらないからだ。
俺は前進する力をそのまま使って最速の突きを二回放った。
狙いは首と額。
二発放ったのは、一発目は避けさせて誘導し、二発目で仕留めるためだ。その方が確実だし。しかし、その誘導は無駄に終わった。
何故なら男3は碌に反応もできず二発とも食らって剣を振りかぶったまま前のめりに倒れたのだ。
10秒にも満たない戦闘。
俺は刀についた血を払うように2度振るい鞘へと納める。
振り返ると俺が通った後を示すように男たちだった物が転がっている。
不思議だ……。人を殺したというのに対して何も感じない。
大学時代の心理学か何か学んだが確か、『させたい事をいくつかの段階に分けて、それを一つづつ繰り返し慣れさせていく事で、その行動に対する忌避感を薄める事ができる』だっけ?
小難しく言ったがようは慣れということだ。
俺はこの世界に来て既に数十の命を奪っている。それも短期間(数時間)で行なっているのだから精神が変化しても不思議ではない。
それに、今の戦闘にしても、こんなチャンバラじみた事と無縁に生きて来た俺がいくら魔物を討伐して来たからといっても冷静すぎる。
精神汚染を受けていると深刻に受け止めるべきなのか、死ぬより安いと考えるべきなのか難しいところだ。……今の所は自我を失うということはないし様子見でいいか?
<胆力>を習得しました。
………何も言うまい。突っ込んだら負けだろう。
それよりララが心配だなー。
だって考えてもみな?柄の悪い男どもに絡まれたと思ったら、昨日あったばかりの主人(笑)が男どもを容赦なく斬り殺す……。
ないわー。引くわー。俺なら引いてビビってちびってるわー。
俺は祈るように笑顔を貼り付けてララの元へと歩く。どうか引かれませんように。
俺の祈りは通じたのかララは普通に笑顔を見せてくれた。
助かった、これで『ドン引きですよご主人様。そんな方だったんですね。』なんて蔑まれたら新しい性癖に目ざ……ゲフンゲフン、もとい立ち直れないわ。
ご視聴ありがとうございました。
ブクマ、評価ありがとうございます!




