プロローグ3 漫才かな?精霊トリオとの出会い
プロローグの続きですがまだ続きます……
ヒロインの登場はまだ先です……
10月29日に改稿しています
プロローグ3 漫才かな?精霊トリオとの出会い
『こんにちは!こんにちは!』
『私たちの声が聞こえますか?』
『わ〜すごい魔力!きれ〜』
「えーっと……誰?俺のこと知ってるの?てかどこにいるの?」
俺が返事をすると目の前に3人?の背中から羽の生えた15cmの小人?が現れた。
俗に言う妖精のような格好をした3人は何が楽しいのか俺の顔の周りを踊るように飛び回っている。よく見てみるとそれぞれ色が違って赤、青、緑色の色をしている。
『ここにいるよ!見える?』
『失礼しました。これでみることができますか?』
『私たちと友達になりましょ〜?』
それぞれが好き好きに喋るからどう返事して良いか戸惑いがあるものの状況を整理しながら話をする。
「そんなに一気に話されても困るんだけど……。取り敢えず一人ずつ話してくれる?俺は雨宮葉月って言うんだけど君達は?」
『フィーラだよ!』
『私はアリエスと申します。』
『私は〜シルフィです〜』
順に赤、青、緑が話す。
「よろしく、で君たちは一体何者なんだ?人間……ではないよね?」
『そうですね……では私が代表してご説明させて頂きますね。』
『えー!アリエスずるいよぉ!フィーラもおしゃべりしたい!』
『ん〜フィーラちゃんだと話が進まないんじゃないかな〜?』
『そうですよフィーラに難しい話はできません!それにきちんとご説明しないとレティシア様に怒られてしまいますよ?』
『それはやだ!アリエスお願い!』
『『はぁ……。』』
なにやら赤い子……フィーラが拗ねているようだが、話はまとまったみたいだ。
『失礼しました。私たちが何者なのかというところからでしたね。』
「あ、あぁよろしく頼むよ。」
『では、私たちは精霊です。一応は高位精霊を名乗らせて頂いてます。精霊がどういった存在かはご存知ですよね?』
「あぁ……悪いんだけど説明してもらっても良いかな?記憶喪失?みたいでこの世界の知識とかが全くないんだよ。」
『そうなのですか、それは大変ですね。……分かりました。では最初からご説明します。』
『えー!記憶がないの!?大変だね!』
『記憶を戻すには〜どうしたらいいのかな〜?』
『きっと叩いたら直るんだよ!』
『『………。』』
『でもどこを叩けばいいのかな?頭?』
なんというか騒がしいな。女3人寄れば姦しいとはこのことか、しかも話が進まないし。
『……この世界には魔法という概念が存在します。』
無視して話し出したよ……。
『精霊はその魔法が意思を持ったような存在だと人間……主に人族は考えているようですが正確には違います。まず私たちは魔法は使えません。私たちに魔力は無いからです。』
ふむふむ。
『その代わりと言っては何ですが私たちは精霊術と呼ばれるものが使えます。簡単に言えば精霊用の魔法と思って頂ければ大丈夫です。基本的に出来ることは魔法と変わりませんから。ただ、私たち精霊の方が自然に近い存在なので魔法と比べて力を行使出来る規模が大きいです。』
なるほど……って、ん?それならもしかして精霊って結構チートな存在だったりする?
『少し話が飛びますが、私たち精霊と人間は古くから交流があり良き隣人として付き合っているんです。その最たる例が精霊契約です。精霊契約は精霊が人間から対価をもらうことで精霊が色々な力を貸し与える契約のことなんです。』
まぁ、定番な話だよな。
『そういった事もあって、人間の方々は精霊術のことを精霊魔法と呼んでいますね。』
「それで人間は精霊が魔法が意識を持った存在だと思っているわけなんだ。」
『はい。そしてその精霊契約自体はお互いの承認があれば誰でも出来るんです。それこそ、小さな子供からご老人に至るまで本当に誰でもです。かの勇者様もその昔、当代の精霊王様と契約されて魔王の討伐に向かったと記録されています。』
「へー勇者もねー。という事は契約って結構簡単にできたりする?」
『いえ、そんなに簡単な話ではありません。精霊には格があって高位な存在になってくると人族の負担が大きくなってきますし、契約した精霊は契約者の許可か契約内容が不履行になった時、契約者が死亡するまで行動を共にする義務が生じますから。』
『そうだよ!契約はよく考えてしなさいってレティシア様が言ってた!』
なるほどね。まぁ普通というかなんというか……。要は約束は守りなさいって事だろ?常識じゃね?
ただ、複数契約する時には注意が必要って感じかな?契約の数だけ枷が増えるようなもんだし。
「ふーん。それで、アリエスたちはどうして此処へ?高位精霊っていうには結構偉いんでしょ?」
『偉いかどうかは分かりませんが力の強さで言えば精霊王に次いで、ですかね。まぁ精霊王であるレティシア様に比べれば私たちは雛同然ですが。』
精霊王つえー。流石一種族の頂点だ。しかし、この流れは……。
『そして今回ハヅキ様にお会いしたのは他でもありません。私たちの王であるレティシア様がハヅキ様と一度お話されたいという事でしたのでご挨拶に伺いました。』
『レティシア様がねー大事なお話があるんだって!』
『フィーラちゃんもう少しお話があるから我慢しましょうね〜』
フィーラがもう我慢出来ないと踊る様に俺の周りを飛んでいるが、それをシルフィが嗜める。
なんというか姉妹みたいだな。フィーラが末っ子でシルフィが次女、アリエスが真面目な長女って感じで、なんだか微笑ましい。
「分かった。それで俺はどうしたらいいんだ?」
『ありがとうございます。それでは私たちがお連れ致します。』
『レティシア様はねとっても優しいんだよ!』
『ありがとうございます〜。少し目を閉じていて下さいね〜。』
言われるままに目を閉じて待つ。するとその瞬間、一瞬だけ浮遊感を感じた。……え?まさかもう終わり?
『はい、もう着きましたよ。』
「……早くない?今のって転移魔法とかそんな感じ?」
『そうですね。先ほども言ったように魔法ではないんですが、それに近いものです。確か人間の……人族の間では転移魔法は今では使い手がいない失われた魔法になっているそうですし、驚かれるのも無理はありません。』
精霊つえー!
人族には出来ない事を平然とやってのける!そこに痺れる!憧れるぅ!
………すみません。少し興奮しました。しかし、高位精霊でもこんなことができるとか……これを雛扱いする精霊王は化け物か。
俺は今更ながら緊張して来た。………夢なら覚めて。
ご視聴ありがとうございます
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