19話 鍛冶屋のおっちゃん
ここの話を書くにあたって日本刀について調べたのですがイマイチわからんw
なので描写もいい刀なんだなぁくらいの解釈でお願いしますw
10月30日に改稿してます
19話 鍛冶屋のおっちゃん
俺とララは今、教えてもらった鍛冶屋の前にいる。外観は小さくどちらかというとみすぼらしい。正直、初見でこの店に入ろうとは思わないだろう。
「ここだね。じゃあ入ろうか。」
「はい。」
武器屋の兄ちゃんが教えてくれたこの鍛冶屋では刀を取り扱っている。正確に言えばここの店主は刀鍛治師らしい。日本で言うところの刀匠に当たる人物だが一応他の武器も作ったりもしているみたいだ。
その技術は1級品でこの街では結構有名らしい。
ただ、少し気になったのがここを紹介してくれた武器屋の兄ちゃんの表情がどうにも冴えないというか、渋々と言った感じだったのだ。
見間違いかもしれないし、あまり踏み込んだ事を聞いて地雷を踏むのも嫌だったのでそのままにしたが実際どうなんだろう……。
まぁ、悩んでも仕方ないしなるようになれ!
俺は意を決して店の扉を開ける。中に入るとゴツゴツとしたいかにも職人といった面構えのドワーフのおっさんがいた。
ん?ドワーフ?ドワーフがいるよ!さすがファンタジー!まぁ、ララがいるからドワーフもいるだろうなぁと思っていたがまさかこんなに早く会えるとは!いや、奴隷商でも見たけどドワーフって言えばいかついおっさんなんだよ。
………もしかして武器屋の兄ちゃんが渋っていた理由はこれか?この国人族至上主義だもんな。
「こんにちは、刀を買いに来たのですが少し見てもいいですか?」
声をかけられたドワーフのおっさんは恐らく『帰んな』そう言おうと口を開こうとしたのだろうが、俺を見て目を見開き、口を開けたまま呆然としだした。
え?何事?何を言うか忘れたとかいうオチじゃないだろうな。
「あの〜、どうかされましたか?」
「……お前さん何者だ?その若さでその技量……普通じゃねぇ。どこから来た?」
おっさんは人でも睨み殺すのかってくらい俺のことを注視している。
こえーよ。その目、子供が見たら泣くぞ。
と言うか……やっぱわかる人にはわかるのか。
俺のスキルには<刀神の器>というものがある。これは刀の扱いが上手くなるよーといったものだが、これには他にも効果があって、その一つが体の扱い方だ。
体の扱い方と一言で言っても『刀を用いた戦闘に適した』体の扱い方というのが正しい。
それは歩き方から、重心の置き方、果ては呼吸の仕方まで多岐にわたる。
しかし、その事で害が有るという訳では無くて、むしろ体に馴染みすぎていて心地よさすら感じるくらいだ。多分魔眼でスキルの詳細を見なければ補正がかかっている事に間違いなく気付けなかっただろう。
ファンタジー補正というかチートスキルすげー。
ただのサラリーマンが一端の剣士に早変わりだよ。
「俺の名前はハヅキです。どこからと言われるとアヅマ国ですね。」
「……その技術はどこで?」
その言葉には答えずにニコッと作り笑いを浮かべて肩をすくめると数秒の間、睨み合うようにお互いの目を見る。
昨日の甘酸っぱい見つめあいとはえらい違いだ。
因みにそのララは俺の斜めうしろで口を挟まずじっとしている。
そして急におっさんが大口を開けて笑い出した。
「いやぁ、お前さんみたいなおもしれぇ奴は久々だ。確かハヅキだったか。俺はグレイヌ。ここで鍛治師をやってる。もうすぐ店を畳んじまうがな。」
おっさんの名前はグレイヌというらしい。どうやら気に入ってもらえたようだ。
……ん?さっきとんでもない事言わなかったか?
「それはどうも。よろしくお願いします、グレイヌさん。それで刀を見てもいいですか?」
「おう、もちろんいいぜ。大したもんはないだろうがな。」
グレイヌは口ではそう言うがその顔にははっきりとした自信がみなぎっている。
事実、店にある刀はどれもレアリティが高く、低いものでも4、高いもので6と今まで見た装備品の中で群を抜いている。
因みに武器屋で買ったものは全てレアリティは2だった。(最高レアリティは10)
試しに壁に立てかけてあるものの中からレアリティ:6のものを手に取ってみる。
「抜いても?」
「あぁ、構わねぇぜ。」
許可をもらったことで刀を左手で握り鯉口を切る。力が入ったことにより抵抗なく滑らかに鞘の中を刀身が滑り刀身が露わになったところで、刃を返して目の高さに持ってくる。
俺はその出来の良さに思わず感嘆の声が漏れた。
地鉄は珍しい綾杉肌でしっかりと詰んでいて、刃文は大きくゆったりとした曲線を描く湾れが美しい。
「銘は『龍波』だ。」
なるほど、この刀にふさわしい銘だな。俺は礼を言って刀身を鞘に戻し元にあった棚に返す。
「ん?気に入らなかったか?」
「いや、そんなことはないです。素晴らしい出来でした。」
グレイヌは棚に戻した時には顔を顰めていたが、俺の言葉ですぐに顔をほころばせた。
「正直、これほどのものとなると手持ちが足りないんです。これほどの業物はこの中にはそうはないでしょう。あるとすれば……。」
俺はそう言って壁に掛けてある一本を手に取り抜いた。
「この刀くらいですかね。まぁこの刀もさっきの龍波には劣りますが。」
「……そこまで分かるのか。ほんとにただもんじゃねぇな。」
まぁ、俺の中にある刀関係の知識は全部スキルのおかげなんですけどね。
「それに、そっちの嬢ちゃんも普通じゃねぇ気配を感じるしどうなってるんだ?見た目とのギャップがすげぇぞお前ら。」
見た目というのは恐らく、いかにも駆け出しといった装備をしていることだろう。
それにしてもララの気配が普通じゃないって?どういうことだ?確かにAGIとかDEXとかMPとかはこのレベルの帯ではかなり高いが、総合的に見れば少し強いくらいだと思うんだが……。
そう思ってララをちらりと見るとニコッと効果音が出てるのではないかという笑顔を向けられた。いや、可愛いがさっきから笑顔すぎやしないか?
何かいいことでもあったのか?
グレイヌに視線を戻すとニヤニヤしていた。
「熱いなぁおい!」
「からかわないでくださいよ。別段そういうのじゃないですから。」
そういったからかいは俺の精神にくるんです。
「ガハハ、悪かったなぁ。話を戻すがハヅキ、お前さんの言う通りさっきの刀が『ここにある中』では最高の一振りだ。だから、半分は正解だな。」
「引っかかる言い方をしますね。『ここにある中』ですか。」
「あぁ、そうだ。確かにあれはどの刀よりも優れてるかもしれねぇが、武器としては認められねぇ。俺から話を振っといてなんだが人に勧めていいもんじゃねぇんだよ。」
「……妖刀ですか。」
俺の言葉に沈黙が流れる。
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