14話 魅力的な少女6
かなり長かったのでこの話も分割して投稿していきます。
……休みの日って素晴らしいヽ(≧▽≦)ノ
10月30日に改稿してます
14話 魅力的な少女6
お互い黙ったままだが先に沈黙を破ったのは俺だ。
出会って数時間だけどララの行動基準は多少は分かったと思う。この状況は絶対ララからは話をしないだろう。
「えっと、とりあえず顔をあげなよ。急にどうしたのさ、何かあった?」
「申し訳ありませんでしたご主人様。私の傷を完全に治して頂いたのにみっともなく泣きついて、挙句にはお召し物を汚してしまうなんて奴隷にあるまじき愚行です。どのような罰も受けますのでどうか私を捨てずにお許しください。」
依然土下座状態のままだが理由は分かった。あの状況で泣きだすなって方が難しいだろうし気にするもんでもないと思うんだが……。
にしても……『どのような罰でも受けます』ねぇ。……おっと、いかんいかん。ゲスが見えた。
「顔をあげて。」
今度はしっかりと顔を上げる。開かれた目はしっかりと俺を見据え何か決意を感じるが、そこには不安が混じっている。
さっきは目や喉が治っているかが心配で確認していなかったが体の方も何も無かったように治っている。
……めっちゃ綺麗だな。いやいや、顔が緩む。表情筋を固く保て!
「うん、ちゃんと治っているようだね。さっきは傷を治してもらったのにとんだ愚行を〜なんて言っていたけど俺は気にしてないよ。服にしたってほら……。」
俺は涙やらでぐしゃぐしゃになった服に洗浄魔法をかけた。
「この通り。それに傷にしたってララを買うときに治すって決めてたし。そう気にするもんでもないんだけど。」
「ご主人様!それは……!」
「納得できない?でも俺は君のことを奴隷として扱う気は無いよ。俺が欲しかったのは背中を預けられる仲間であって小間使いの奴隷じゃ無い。まぁ、色々と事情があるんだけどさ。」
それでもまだ納得がいかないと言った顔をするララ。なにこの子?ドMちゃんなの?そんなにお仕置きされたいの?
ドMのエルフっ子……オーク……閃いた!……鬱だ、死のう。
「なんなら奴隷から解放してもいいしね。」
俺がさらりと言うとララは顔を真っ青にして首を振り懇願してきた。え?なにこの反応?普通喜ぶもんじゃ無いの?
「そ、それだけはお許しください。」
「え?何か勘違いしてない?どう言うこと?」
理由を聞いた俺はなんとまぁ自分の頭がハッ○ーセットだったか知った。
ララ曰く、国によって多少は違いがあるが、奴隷に落ちると言うことは今までの生活基盤等は全て失い、購入された主人以外に拠り所など無いと言う。
そんな状況で主人から解放されようものなら、行く宛ても無くのたれ死ねと言われるようなものらしい。
ララくらい賢ければ自分でお金を稼いで生きていけそうだとも思ったが、元奴隷ということだけで碌な仕事にもつけず、最悪の場合犯罪者として捕まってしまうとまで言われた。
特にこの国(皇国)は奴隷に対して厳しく、さらに異種族のエルフであるララが奴隷じゃないのに街を歩いていればそれだけで、よくて奴隷落ち、悪ければその場で処刑されるかもしれないとまで言った時には驚きと呆れで顔が引きつった。
この世界ってかこの国は奴隷に恨みでもあんのかよ。こういう話を聞くと現代日本がいかに裕福な国だったか感じるな。
「話は分かったよ。ごめんね不安にさせて。俺はララを手放すつもりはないし頼りにしているんだよ。」
「そ、そんな!ご主人様もったいないお言葉です!」
「それにものは考えようじゃない?俺はララを買って色々と買い与えたけどまだ何も返してもらってないよ?なのに俺が手放すと思う?」
倫理観がまったく違うため感情論で話しても釣れないなと思った俺は損得勘定で話をすることにした。
どうやらララにはこの考え方の方がしっくり来たみたいで、俺の説明でハッとした表情を浮かべていた。
「そう言った訳だから少しずつ慣れていって欲しい。不安だとは思うけど俺はララと対等な関係を築きたいと思ってるから。もし、今のままじゃ心苦しいと思うならこれから頑張ってくれればいいよ。……期待してるよ?」
「は、はい!かしこまりました!」
俺が最後に意地悪く笑うと彼女は満面の笑みで了解した。
……奴隷って大変だなぁ。
と、ここで彼女が未だに裸なことに気がついた。
……いや、いろいろと予想外で頭から抜けてたんだよ。
「それじゃあ、まずは服を着ようか。そのあとに改めて自己紹介ということで。ちゃんとララの口からも言って欲しいからね。」
「かしこまりました。見苦しいものをお見せして申し訳ありません。」
いやいやいや、眼福でした。セクハラっぽいから言わないけど。
ララが服を着終わったのを確認してから自己紹介を始める。
「まずは俺からかな。改めて、俺の名前はハヅキ。一応ララの主人ということになりました。これからよろしくね。」
「はい。私の名前はラナンキュラスと言います。至らぬところもありますがこれからよろしくお願い致します。」
まだ堅い気もするがまぁ徐々に慣れていけばいいだろう。
「あっ、さっきからラナンキュラスのことをララって呼んでるけど愛称ね。嫌だった?」
ララは顔を赤くして首を振りお礼を言った。どうやら気に入ってくれたみたいだ。……よかった気に入ってもらえて。ネーミングセンス皆無だもんなぁ。
それからは重なる部分もあるが色々と話をした。
俺は冒険者として活動しようと思っていること。そのためにパーティーメンバーとしてララを購入したこと。そのためララにも戦闘をこなしてもらうことになること。今のところは考えていないが場合によっては仲間を増やすこともあるということ。
「さて、ララを買った目的は言った通りだけど、確かララは今の状態だと魔法が使えなかったよね?というか多分戦闘自体が難しいよね?」
ララは俺の言葉に表情を暗くして肯定する。
「はい、申し訳ありません。」
「いやいや、怒ったりはしてないよ。それより原因はわかる?」
「いえ、わかりません。私は村ではエルフなのに魔法の使えない欠陥品だと言われてきました。その……それだけじゃ無くて弓すら満足に扱うこともできませんでした。」
ララの表情がどんどん暗くなっていく。
欠陥品ねぇ、間違いなく呪いのせいなんだけど気づいてないのかな?
「あーごめん。辛いこと思い出させちゃったかな。」
「いえ、そんなことはありません。ご主人様にも知って頂くべき事だと思いますので。」
それからララは自分の過去について語り出した。
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