10話 魅力的な少女2
ヒロインとの初会話?回です
相変わらず話の展開が遅いですがご容赦を……
10月30日に改稿してます
10話 魅力的な少女2
部屋の中に入ってきたラナンキュラスを改めて見てみるがやはり美少女だ。
目や喉に切りつけられたり火傷の跡があるとはいえ顔は整っているし、着替えたのであろう貫頭衣の肩口からは傷跡が見え隠れしているが肌は綺麗な白色でシミ一つすらないように思える。
髪にしたって風呂に入っていないから当然ベタついてはいるが、遠目から見ても細く癖のない髪だろうからきちんとすれば綺麗になるのは目に見えてわかる。
これで値がつかないのか……。ぶっちゃけ今まで見てきた子よりも可愛いぞ。
スタッフの女性に促されるようにしてラナンキュラスは進みエビルの傍、俺の前まで進み一礼した。
そこで俺は彼女を観察していてふと違和感を抱く。目が見えないにしては動きに手探り感があまりにもない。
最初は目が見えないのでその補佐に女性スタッフが付いて着たのかと思ったが、彼女は少女を部屋まで案内したらすぐに下がってしまった。
つまり、この少女は目が見えなくても生活に支障を来さないのだろう。もしかしてスキルが関係してる?しかし、スキルは呪いで封印されているはずだし……。
俺が色々と考えを巡らせているとエビラが口を開いた。
「それではハヅキ様。先ほどの紹介と重なりますが改めてご紹介を。こちらの名はラナンキュラスと申しまして、エルフでございます。ご存知の通りエルフは見た目が良く、さらに魔法も得意としている種族ですので、戦闘奴隷や性奴隷としてとても人気がございます。中でも女性のエルフはさらに人気がございまして、処女ともなると金額も相応になります。当然こちらも処女にございます。」
やっぱりと言うか、ファンタジー通りの情報だな。そんで処女なのね……その情報って重要なの?性病の心配は無いよってことなのか?というかそもそもヤルこと前提で話されても困るんだが……。
確かにヤりたくないといえば嘘になるが、無理やりというのは気がひける。俺だってそこまでクズに成り下りたくないし。
「しかし、見ての通り目には切り傷、喉には火傷の跡がありまして目と声を失っております。また、体にも大きな傷が残っておりまして……。」
エビラが手を叩き合図するとラナンキュラスは貫頭衣に手をかけて脱ぎ出した。一瞬何をと思ったが直ぐに傷の跡を見せるためだと気がついた。
促されるように露わになった体を見てみる。
腕を見て分かってはいたが肌はとても綺麗だ。シミ一つなく綺麗に透き通っているが、病的な不健康さは一切感じさせない。碌な食事をとっていないせいかガリガリに痩せ細ってはいるが。
男の目を惹きつける二つの山は大きくもなく、小さくもなくと言った大きさでとても整った形をしている。まさに美乳と言ったところだ。……こほん。
しかし、それだけに左の肩口から右の腰にかけて伸びる三本の爪痕が目立つ。傷は致命傷とはいかないように思えるが跡をしっかりと残すぐらいには深い。
それに、腹部や背中など服を着れば隠れるあたりに痣がかなり残っているのも気になった。
そこで俺は目や喉の傷は魔物によるものではないと感じた。見てみれば目に走る切り傷は綺麗に横一線に一本走っているだけで荒々しさは感じられないし、喉に至っては火傷だ。
魔物にやられたのであれば傷を負う場所がピンポイントすぎる。そして、痣。明らかに人為的なものだ。
俺が傷跡の具合を確認したのを見計らってエビラが忠告をしてきた。
「ご確認頂けましたようにこのものは外見に難がありまして……。また、失礼ながらハヅキ様の今回のご要望である『戦闘奴隷』の任をこなすのはいささか難しく思いますが。」
「問題ないです。というより、それも含めて話をさせて頂けたらと思います。」
「かしこまりました。それではお時間は10分ほどでいかがでしょうか?」
「えぇ、それでお願いします。」
そこまで話をするとエビラはスタッフの女性が出て行った扉から同じく退室していった。部屋には俺とラナンキュラスの二人が残る。
関係のない話だが彼女は全裸のままだ。本当に関係のない話だが。
限られた時間を無駄にするつもりはないので、困惑気味な彼女をよそに俺は話を進める。え?服を着させないのかって?まぁいいじゃないか。
「とりあえず、俺の名前はハヅキ。君のことを購入しようと思っているんだけどその前にいくつか質問しようと思っているから、質問に対して肯定的な意味なら頷いて、否定的な意味なら首を振ってほしい。いい?」
少女は俺が名前を名乗ったあたりで一礼して、俺の説明が終わった後了解したと言わんばかりに頷いた。
「うん。それじゃまず、君は目が見えないということだけど今のその状態で日常生活に支障はあるかい?」
「……。(ふりふり)」
「俺は冒険者をしているんだけど今回奴隷を買いに来たのはパーティーメンバーを探すためなんだ。そのため魔物と戦闘をすることになると思う。今の状態でできるかどうかは置いて、戦闘に参加する気はあるかい?」
「……。(こくこく)」
以外にも即答で頷いた。魔物が怖くないのか?……いや違うか。この子は俺に変われようと必死なんだろう。
恐らくというか間違いなく、俺に買われなかったら鉱山行きで死ぬまで労働になる。それならまだ助かる見込みのある俺の世話になった方がいいという判断だろう。
その為に俺に少しでも気に入られようと必死なのだろう。……同情するわけじゃないが少しかわいそうだ。
「分かった。じゃあ次だけど、君は魔法は使えるかい?」
「………………。(ふりふり)」
できれば答えたくなかったのだろうか、今までは即答だったのだが少し間が空いた。それでも答えないという選択や嘘をつくということはなく正直答えた。
まぁ当然か、そんなことをすれば自分の立場を悪くするだけだし。
「それは声が出せないから?」
「…………。(ふりふり)」
これにもきちんと答えている。ラナンキュラスが正直なだけなのか、自分の立場を考えての回答なのかは分からないがきちんと考えて回答していることは伝わってくる。
他にも色々と生活に必要そうなことを質問していく。
そういった質問は彼女を購入した後に宿でゆっくりとすればいいと思うだろうが、建前というのはとても大切だったりする。
あくまで『話をしてみた結果とても気に入ったよ、だからこの子を購入するよ』ということにしなければ、エビラからすれば欠陥品の彼女が目当てだと言われるようなものだ。
それでは彼の面子に関わるし、変に軋轢が生まれるかもしれない。もうここで奴隷を購入することはないだろうが、商会を敵に回すのは得策ではないし、何より敵対しても損しかしない。
ならばここは彼を立てておく方が波風が立たず穏便に済むという訳だ。
まぁ、『建前は大切』というのは俺の会社の教育係だった先輩の口癖だっただけなのだが、まさかこんなところで役に立つとは……。
一応形だけとはいえ聞きたいことを聞いたので一度話を区切る。すると見計らったように扉がノックされ失礼しますとエビラとスタッフの女性が入室してきた。
「お話はお済みになられましたかな?」
「はい、ありがとうございます。もう大丈夫です。」
「かしこまりました。それでは……。」
そういうとラナンキュラスと女性スタッフは退室する。二人が退室したところで先にエビラが口火を切った。
「早速ではありますが、いかがでしたでしょうか?」
「そうですね、話をした感じではいいと思いました。まぁ、料金次第というところはありますが。」
そう言って愛想笑いを浮かべると、エビラはふむと顎に手を当て一つ考えた。
さて、交渉の時間だ。
確か、奴隷の相場は金貨2〜5枚だったはず。
傷跡があるとはいえとても美人だということ、エルフだということ、さらに人気だと言われる女性奴隷だということ。正直これだけ好条件が揃っているとなると白金貨数枚の世界になってくるのでは?そのクラスを平均相場まで値切るのは正直骨が折れるだろうがやるしかない。だって金ないし。
俺が人知れず気合を入れているとエビラから驚きの金額を告げられた。曰く……
「それでは10万ゴールドでいかがでしょう?」
「は?」
思わず素っ頓狂な変な声が出てしまった。
いや仕方がないだろう、ふっかけられると思っていたのにかなり下手に出てきたのだから。正直エビラの意図がわからなかった。
当のエイラはというと俺が驚いたのが安すぎたからではなく高すぎたからだと勘違いしているらしくさらに金額を下げてきた。
「では4万ゴールドでいかがでしょう。これ以上となるとこちらとしましても維持費等を差し引くと赤字になってしましまして……。」
「……何か企んでいらっしゃるんですか?」
俺の言葉は疑心感が露わになったせいか心なしか低く聞こえた。
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