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ライバル船
いよいよだ、
と、迫る瞬間を待ちわびる観客の歓声が、
一際大きくなった。
手綱を引き、三匹に帆船を引っ張らせスタート位置まで向かう。
飛竜艇数十隻が横並びになって移動するだけで激しく波立ち、
湖面が荒れ狂う海のようになった。
それも無理はない。
両隣とその奥、つまりほとんどの飛竜艇は、
最低基準ぎりぎりの大きさしかない俺の船と違い、二倍以上巨大だ。
当然、それらの船を引くドラゴンも相当大きい。
それに大きさだけでなく、
どの船も全体を細かな装飾品で飾り立てているから嫌が応にも目立つ。
右側の船を引くドラゴンも、珍しい双頭の大型種だ。
「ずいぶんと貴重なドラゴンを連れてきたもんだな」
感心する俺とは反対に、ハイルは闘争心剥き出しで睨み付けていた。